【東京モーターショー2009】 モーターショーで見られる個性的なクルマたち(前編) |
千葉県 幕張メッセ
会期:2009年10月21日~11月4日
(一般公開日:10月24日~)
トヨタ自動車の「FT-86 Concept」や、日産自動車の「フーガ ハイブリッド」、三菱自動車工業の「i-MiEV CARGO」など、コンセプトカーやハイブリッドカー、電気自動車などメジャーメーカーの車をこれまでの記事で取り上げてきた。本記事では、そんな話題の車の陰に隠れがちな、魅力的で個性的なクルマたちを紹介する。
■鈴商
2005年の東京モーターショーで発表された2シーターオープンスポーツカー「スパッセ」と、東京モーターショー2009で初お披露目となる「スパッセ-V(仮称)」を展示していた鈴商ブース。スパッセ-V(仮称)は、シャシーを元F3レーサーの鈴木敏夫氏とその子息がデザインしたというクローズドクーペ。今回はプロトタイプが展示されている。ちなみに、スパッセ-VのVは、ヨットの用語で風を受けてよい方向に走ることを意味するVelocity Make Gook(VMG)が由来とのこと。
今回の展示に向けて突貫で作業したという「スパッセ-V」。東京モーターショー2009(プレスデー)の4日前に完成したばかり | ||
2005年の東京モーターショーで発表された2シーターオープンスポーツカーのスパッセ |
■日本自動車研究所
低μ路や悪路、高速周回路などのテストコースで、自動車の走行テストやパーツテストなどを行っている日本自動車研究所は、創立40周年を迎え、これまでに蓄積してきた知見・技術を集結し電気自動車の開発に着手。車体製造時のエネルギー、走行時の燃費、3R(リデュース、リユース、リサイクル)というライフサイクル全体を通して環境負荷を低減させるというコンセプトのもとに開発した、電気自動車「C・ta」を展示している。これからの電気自動車社会に適応すべく、ノウハウを蓄積するために一から開発したと言う。
40Wh/kmという燃費目標を掲げ製作された「C・ta」。1+2というシート構成の3人乗りで、車両重量は300kg。搭載する5kWhのバッテリーで、125km(10・15モード)の走行が可能だと言う。ブースには、走行テストを行うテストセンターのジオラマも展示されている |
■カンパーニャモータース
カナダに拠点をかまえるカンパーニャモータースのブースでは、11月に販売を開始する「T-REX」を展示。エンジンユニットには、北米仕様のKAWASAKI(川崎重工業)製4ストローク水冷4気筒1400ccエンジンを採用。最高出力は約200馬力にもなると言う。すでに、本国であるカナダ、米国、中東に展開しており、今回、新しく日本市場に参入する。
ボディーフレームは1.5インチ・スチールチューブフレーム。ボディーにはファイバーグラスボディーパネルを採用している。ボディーカラーは基本色となる「RED」「BLUE」「YELLOW」「WHITE」「BLACK」のほか、「OPTION STYLIN COLOR」として13色、「OPTION PEARL COLOR」として16色用意されている |
■フィアログループ
デザイン開発会社であるフィアログループでは、「フィアロデザインチャレンジ2009」で募集したカーデザインを具現化。その一部としてワールドプレミアとなるランニングプロトタイプ「P70t CONCH」などを展示していた。P70t CONCHは、都市型Public Vehicleをコンセプトに開発された製品モデル。
環境の変化によって定着場所を変化させる巻き貝(CONCH)をイメージし、シルエットを構成したと言う。ボディーサイズは2875×1775×1860mm(全長×全幅×全高)、車両重量は850kg |
■次世代自動車振興センター
次世代自動車振興センターのブースでは、オートイーブイジャパンの「ジラソーレ」やゼロスポーツの「ゼロEVセラビューバン Li24」、トヨタ車体の「コムス(デリバリー)」の3台のほか、参考出品としてタケオカ自動車工芸の電気自動車が展示されていた。
■国土交通省
国土交通省のブースでは、ユニバーサルデザインのタクシー車両について、啓蒙活動が展開されていた。ブース内で展示されていたのは、日産の「NV200バネット」をベースに試作した「NV200バネット タクシー」。車両後部に車いす用のスロープを備えているほか、車内に配置したグリップには目立ちやすい配色を取り入れ、料金メーターはどの位置からでも視認しやすい様に配置されている。また、後部座席から電子マネーで支払いできる様にユニットが配置されている。
日産が試作したNV200バネット タクシー。現在開発中だが、2010年中には提供を開始するとしている |
■JHFCプロジェクト
JHFCプロジェクト(水素・燃料電池実証プロジェクト)のブースでは、2006年にGMが発表した第4世代燃料電池搭載車両「シボレー・エクイノックス」のほか、水素ステーションの展示を行っていた。現在、JHFC水素ステーションは全国12カ所で展開され、JHFCへの参加車両は64台(燃料電池自動車51台、水素エンジン自動車8台、燃料電池バス5台)。燃料電池自動車と水素ステーションの普及に向けたシナリオとして、2014年までを検証期間とし、2015年には一般ユーザーへの普及を目指すとしている。
現在の水素の価格は、10kmを走行するのに1万円程度かかるという。今後、ステーションや車両を充実させ、1/10程度の価格で提供できるようにしていきたいとしている。また、2015年からの目標として、運用車両5000台、設置ステーション100基という規模を目指して活動していると言う |
(飯塚 直)
2009年 10月 23日