長期レビュー
マツダ「アテンザ ディーゼル 6速MT」カスタマイズリポート
その1:アテンザを買ってクリーンディーゼル補助金12万円ゲット!!
(2014/4/21 11:45)
ども、Car Watch営業の瀬戸です。私ごとですが、ついに新車を買っちまいました。齢39歳、アラフォーにして人生初の新車。今まで乗っていたNAロードスターは、中古で買って15年で総走行距離は約16万km。すでにあちこちにガタが出始めている。そもそも独身のあいだしか乗れないだろうと思って買ったオープン2シーターとまさかこんなに長い付き合いになろうとは……。結婚するのが先か、クルマが壊れるのが先かという間一髪のところで、どうにか結婚にこぎ着けた(いやホント私ごと連発でドーモスンマセン)次第。
結婚してみるとやっぱりあれですな、向こうの親からも「なぜ2人乗りなの?」と極めて的確な指摘が入るわけで、子供ができたら2シーターじゃやっていけないし、ついでに消費税率も8%にアップしちゃうし、ロードスターはいつ壊れてもおかしくないし、ってなワケで、いよいよ新車購入とあいなりました。
クルマを手に入れたらいじりたくなってしまう性分なので、買ったあとでもちょこちょことカスタマイズしていく予定。そのあたりを含めてリポートしていこうと思っているので、以後お見知りおきのほどよろしくお願い致します。
アテンザを選んだ理由は、MTがあって、かつハンドリングがよかったこと。本音を言えば、さらにFRのオープンカー(しかも幌)で5人乗れるクルマがよかったんだけど、今どきそんなクルマは見あたらない。せめて3ペダルMTと走りのよさだけはこだわりたいと、候補となった数少ない国産MT車に試乗したなかで、アテンザが持つFFとは思えない走りと、ディーゼルとは思えないほどよく回るエンジンにすっかりトリコになってしまったのだ。
それと、最近マツダが詠っている「Be a Driver」というキャッチフレーズが、とても強烈に心に響いたというのがもう1つの理由。“ドライバーになろう”って、意味がよく分からんと思われるかもしれないが、これは、運転手の方を見てクルマを作っているという宣言なんじゃないかなぁと勝手に解釈している。
それを明確に感じるのがAピラーの位置だ。たとえば今では多くの国産車に三角窓が採用されているが、あれはAピラーが前方に移動しているため。外から見るとボンネットが短くなったようにも見えるが、車内から見るとダッシュボードの奥行きが長くなっていてAピラーが前方に移動していることが分かる。こうすることで、室内寸法を長くできるとか、乗り降りするときに頭上の空間が確保しやすいなどのメリットもあるのだが、運転してみると、タイトなカーブでAピラーが邪魔だし、ボンネットの鼻先が見えなくて車両感覚がつかみづらいなぁと感じていた。
Aピラーは手前にあるほうがメリットは大きいハズ! そんなことを考えるのは自分だけなのかと思っていたら、アテンザはここにこだわって、先代モデルよりAピラーを手前に持ってきていた。「よくぞ私の願いを聞いてくれた!(別に自分が言ったからじゃないけど)」と大感激! 以前、ロードスターのマイナーチェンジでもブレーキの戻りにこだわった改良をしていて、やっぱりマツダはドライバー目線のクルマ造りをしてくれるなぁ。ならばやっぱりマツダ車を買うしかない!という思いに至ったワケ。
ワゴンとセダンを乗り比べ
同じマツダでアクセラも悩んだのだが、アクセラのディーゼルにはレザーシートや高輝度ホイールなどを装着する、いわゆる“全部入り”のグレードしかなく、価格は306万7200円。一方のアテンザも、最上級仕様のLパッケージだと358万2000円になるが、下のグレードを選べば312万6600円だ。これにアダプティブクルーズコントロールやRVM(リアビークルモニタリングシステム)といった先進安全装備を追加すると+20万円ほどになるが、アクセラは発売直後で値引きが渋いことを想定すると、予算的な違いはそれほど大きくないハズ。購入検討をしていた時点ではアクセラのディーゼルモデルは試乗車もない状態だったこともあり、アテンザにターゲットを絞ることにした。
ちなみに、先行車の車速に合わせて追従走行するアダプティブクルーズコントロールだが、マツダではなんとMT車でも装着できる。まぁAT車と比べれば使う機会は少なそうだが、それ以外でも万が一のときの自動ブレーキ(スマートシティブレーキサポート)や、斜め後方の車両をミリ波レーダーで認識して警告してくれるRVMはとても魅力的。パッケージオプションになっていて個別に選べないのは残念だが、20万円程度なら1回の大きな事故で飛んでいってしまう金額。将来的に下取りのときも差が出るはずと考えて装着することにした。
あとは、ワゴンにするかセダンにするかが悩みどころ。ワゴンは以前に乗ったことがあったのでセダンを試乗させてもらった。イメージではホイールベースが短いワゴンのほうが軽快なハンドリングなのかと思っていたが、乗り比べてみると、ホイールベース以上にリアの重心の高さに違いを感じた。セダンではステアリングを切り始めたときに、フロントとほぼ同時にリアがロールして、前後輪そろってリズムよくコーナリングしていくのに対し、ワゴンはフロント側がコーナリングを始めたあと、ヨッコラセと少し遅れてリアがロールする。さらにロールセンターの高さが前後で違うことも動きに影響している。それはそれでヒラリヒラリとコーナリングを楽しむ面白さがあるのだが、個人的にはキビキビと走るセダンが気に入った。
クリーンディーゼル補助金で12万円ゲット!!
そんなこんなでセダンに決断し、選ぶグレードまで決まってしまえば善は急げだ。その週末にはディーラーに行ってハンコを押してきた。納車が間に合わなくて消費税がアップしてしまうといけないし、ついでにクリーンディーゼルの補助金も予算が尽きれば終わってしまう。消費税については今さらの話なので割愛するが、クリーンディーゼル補助金について、実際に購入してみて分かったことを書いておこう。
クリーンディーゼル補助金とは、正式には「平成25年度クリーンエネルギー自動車(CEV)等導入費補助金」と呼ばれる制度。エコカー補助金はだいぶ前に終了しているが、こちらの補助金はまだ期間が延長されていて、クリーンディーゼル以外でも、EVやPHVの購入者はこの補助金が受けられる。期間が延長された現時点では2014年8月7日(必着)が申請の締め切り。ただし、その前でも予算切れになって終了する可能性もあるので注意しよう。
クリーンディーゼル補助金がいくら出るかは、クルマとグレードによって事細かに決められている。同じ車種であってもグレードが異なれば補助金の額が変わってくるのだ。自分が選んだグレードの場合、補助金は「上限で」12万円になる。そう、ここで注意が必要なのは、補助金は「実際に購入した車両価格」に応じて支払われるということ。正確には、実際に支払うことになる車両価格から、その車種・グレードの基準額を引き、その差額に補助率(今回の場合は2/3)を掛けたものが補助金として支払われる。つまり、車両価格が値引きされていると、補助金が出る額も減ってしまう仕組みになっている。なので、ディーラーで交渉する際には、車両価格からの値引きではなく、オプションのほうで値引きをがんばってもらう方が得策ということになる。
ちなみに、補助金を全額もらうには4年間乗り続けることが条件になる。それよりも前に売却した場合は、補助金を返納しなければならない。といっても返納分も減価償却していくので、必ずしも全額返納するワケではない。事故などで名義を換えないまま廃車にした場合も返納は不要だ。
また、クルマを買っただけでは補助金は手に入らない。これはディーラーから説明があるので間違えることはないと思うが、車両が登録された日から1カ月以内に申請書類を郵送する必要がある。申請に必要な書類は、補助金交付申請書や所得財産管理台帳、車検証の写し、領収書の写しとその内訳明細書、加えて身分証の写し、補助金を受け取る口座の通帳の写しなどだ。ローン購入や下取り車両がある場合などは必要な書類も増えるが、身分証や通帳のコピー以外はディーラーで用意してくれるはずだ。
実際に振り込まれるまでには少し日数を要するが、自分の場合は申請して1カ月半程度で口座に補助金が振り込まれた。
いよいよ納車された愛車でドライブ! 2500km走って燃費は16.3km/L
話はちょっと前後したが、いよいよ納車された我がアテンザ。届いて早々にちょこちょこといじり始めているのだが、その辺は次回以降でお伝えするとして、まずはファーストインプレッションから。
今回は千葉の南房総までドライブに行ったのだが、走り始めて思うのは、とにかく静かだということ。まずは慣らしということでエンジンを3000rpm以上回していないし、加えて高負荷になるアクセル操作をしないように心がけていることもあるが、車内は本当に静かだ。ディーゼル特有のカリカリ音も、負荷を掛けないゆっくりとした加速だとだいぶ抑えられているし、車速が出てくれば風切り音やロードノイズが発生してくるのでカリカリ音は気にならなくなる。さらに停車すればアイドリングストップによって文字どおり無音状態になる。実際に何人かを助手席に乗せたが、ディーゼル車だと言うと驚かれるほどだ。
とにかくこのディーゼルは秀逸で、走り込むほどにこれまでのディーゼルとはまったく別ものだということに気が付かされる。アイドリング付近のトルクも十分に太いが、1500rpmを超えたあたりからブーストが効いてトルクがグッと太くなる。さらに、下だけ強力でも上は回らない普通のディーゼルと違って、そこからスルスルっと回転が吹け上がる。一昔前のターボ車のようなドカンとした吹け上がりではなく、自然吸気のように滑らかに、でも回転数が上がるほどリニアにパワーが出るという感じだ。個人的にはターボのドカンとしたパワー特性は好みじゃなく、回した分だけパワーが出る自然吸気のほうが、MTと組み合わせて操る楽しみがあると思っている。そういった意味で、このSKYACTIV-DはMTとの相性も抜群のエンジンだと思う。
まるでガソリンエンジンのようなこのSKYACTIV-Dはとてもエポックメイキングだ。今は市販モデルにロータリーエンジン搭載車がなくなってしまったマツダだが、このエンジンはそれに代わるぐらい、他社にはないマツダオンリーの技術だと強く感じる。
その一方で、このガソリンエンジンを思わせる吹け上がりは、圧縮比を下げて各パーツを軽量化できたことによるもの。それだけに、耐久性という部分では従来のディーゼルほどのレベルが期待できるかは未知数だ。構造がシンプルなのでトラブルの可能性は低いと思うが、エンジンオイルなどは専用品を選んでおいたほうがよさそうだ。
ちなみに、納車されてから2500km程度走った時点での燃費は、モニター上の表示で16.3km/L。この時期でまだエアコンも使っていないし、慣らし運転中なので低回転中心で走っている状況の数値だから、今後はもっとわるくなるだろう。残念なことに、アテンザには“今回燃費”の表示がないため、燃費データはなかなか取りにくそうだ。また、250km走行に1回程度、DPF内のクリーニングが行われるのだが、このときにゴムが焦げたような特有のニオイがして最初は結構驚かされた。
ほかにもまだまだ書きたいことは山ほどあるが、次回以降、少しずつ自分色になっていくアテンザの模様をお伝えしていきたい。
【お詫びと訂正】記事初出時、クリーンディーゼル補助金を受けるための保有期間を6年と表記していましたが、2013年度分から4年に短縮されています。お詫びして訂正させていただきます。