長期レビュー

高橋敏也の“帰ってきた”新型プリウス買ってみたレビュー

第2回 私のプリウス、こんなです

 社会がわるい! 私はわるくない! 大人として人前で口にすべき言葉ではない。だが、ほんの少しだけ、少しだけそう思ったのもまた事実。いや、本当に忙しかったのよ! よいことなのかわるいことなのかは別として、私は短期集中的に忙しかったのだが、Car Watch編集部は常に忙しい。それを踏まえて私のようなライターは基本的に催促されないと原稿を書かない(書けない)困ったヤツなのだ。さて、私は何を言っているのでしょう?

 そう、プリウス連載である。お気に入りのハチロクを手放してまで昨年末にゲットした4代目の新しいプリウス。その連載を始めたはいいが、実はまだ1回しか原稿を入れていない。忙しかったというのは見苦しい言い訳だと自分でも分かっているし、このままではいけないというのも分かっている。そんな中、タイミングよくCar Watch編集部から連絡が入った。内容はというと「サッサと連載再開してね」というお話。

 いい機会である。私もこの半年間、新しいプリウスに乗ってみた訳だし、そろそろプリウスで何かをやりたくなってきた時でもあった。まさにグッドタイミング、Car Watch編集部ありがとう(次回かその次の回に、この言葉は撤回します)! という訳で長らくお休みをいただいてたいたプリウス連載、再開させていただきます!

オプションてんこ盛りにしました

 空白期間が長かったためまずに1回目、すなわち連載初回の内容を読み返してみる。なんてこった! 基本的に「新しいプリウス買ったぞ!」ということしか書いていない! どのグレードのプリウスに、どんなオプションをつけたのか? そういった具体的なことがまったく書かれていないのだ! この状態で連載お休み状態に入ったのだから、これはもう穴があったら入りたいぐらいの恥ずかしさ。

 という訳で余計なことを書いている暇はまったくない! まずは私がゲットしたプリウス、その具体的な中身をリアルに紹介したい。そうしないと話を先へ進められないじゃないか……(と、心から反省)。

 私が買ったのは「E-Four A“ツーリングセレクション”」。色は無難ながら美しいオプションカラー「ホワイトパールクリスタルシャイン」で3万2400円なり。AプレミアムではなくAを選んだのは、基本的にそれで充分だったから。Aプレミアムのプラスアルファ装備、私には不要だと判断した。

 それより何より今回最大のポイントは「E-Four」である。何度も書いてきたことだが、私のような北国(北海道)出身者にとって、4輪駆動はいわば信仰である。雪道において4輪駆動車は絶対的存在であり、それは崇拝に値するものなのだ。ところが残念なことに従来のプリウスにはその4輪駆動が設定されていなかった。だが、今回の新しいプリウスではついにE-Fourとして4輪駆動モデルが用意されたのだ!

 プリウスのE-Fourはプロペラシャフトでエンジン出力を後輪に送るものではなく、後輪部にモーターを設けてそれで後輪を駆動させる。このタイプの4輪駆動はすでに「エスティマハイブリッド」などに搭載されているが、トヨタではそちらを高出力E-Fourとし、プリウスのものとは区別している。パワーは高出力E-Fourほどではないが、プリウスのサイズに合ったコンパクト化が図られたものということだ。

 いずれにしても私の走行環境だとこのE-Fourを必要とする機会はほとんどないだろうし、燃費効率という点においても多少ではあるがE-Fourは不利だ。だが、それでも4駆があるなら「迷わず」4駆を選ぶ! これが北国出身者の性なのだ!

 と、そのほかにも私が選んだオプションを見て行こう。

メーカーオプション

・ホワイトパールクリスタルシャイン:3万2400円
・アクセサリーコンセント:4万3200円
・ITS-CONNECT(プレゼントキャンペーン):0円
・ナビレディパッケージ:3万2400円

1500Wのコンセントは後部座席と荷室に用意されている。近日中に必ず米を炊く!

 アクセサリーコンセントは、プレミアムモデルには標準装備されているらしいが、私が選んだ普通のAではオプションだったので選択。1500Wまで家電製品が使用できるのだから、極端な話をすると電気釜を使ってプリウスで米が炊けるのである(いつか必ずやります)。真面目な話をすると災害時などにプリウスが、発電機として活躍してくれるのだ。いざという時のためにも是非選んでおきたいオプションだ。

 一瞬「?」となるナビレディパッケージ、これはバックモニターとステアリングスイッチがセットになったものだ。対応ナビと一緒に選ぶオプションだが、もちろんそれも導入した。純正ナビで行くなら便利なセットなので選んでおきたい。

 ITS-CONNECTは、プレゼントキャンペーンということでタダでゲットしたオプションな訳だが、正直な話「これから」の機能なので、現時点ではまだ活躍する機会は少ない。簡単に言ってしまうとITS専用周波数で情報をやり取り、安全運転に役立てようという技術だ。交差点で注意喚起をしたり、車車間通信で緊急車両の存在を知らせたりする。今後の展開に期待したい。

付属品(その他)

・フロアマット,デラックスタイプ:2万4840円
・サイドバイザー,ベーシック:1万5120円
・レインクリアリングブルー:1万4040円
・QMIグラスシーラントTYPE-T2:5万8320円
・USB/HDMI入力端子:1万7280円
・DSRCユニット:4万3200円
・ドライブレコーダーDRT-H64:5万8320円
・TCナビ9インチ・DSZT-YC4T:25万560円

コーティングが施されていることを示すエンブレム! まあ、オーナーが満足できればいいんです
センターコンソールに設けられたUSBとHDMI入力端子、カバー付き。ケーブルがドライバーが用意しましょう
DSRCユニットは運転席からアクセスしやすい場所にある

 フロアマット(デラックスタイプ)は、言うなればお約束。純正が好きなので迷わずチョイス。サイドバイザー(ベーシック)は窓の庇(ひさし)とでも言うべきか。好き嫌いの分かれるオプションだが、私は好きだし多少なりとも役立つものと思っているので選んだ。

 ドアミラーに関してはヒーター内蔵が一番の好み。それが設定されていない場合はこの「レインクリアリングブルー」を選ぶことにしている。表面を親水性にして雨の中でも視認性を高め、太陽光でその親水性を回復するというものだ。

「QMIグラスシーラントTYPE-T2」は、いわゆる車体表面のコーティングである。ガラスコーティングなどとも呼ばれるようだが、滑水効果で汚れや雨染みがつきにくくなり、紫外線や酸性雨から車体の塗装面を保護してくれるという。私は新車が納車されたらすぐに業者へ持っていって同様の加工をしてもらうのだが、その手間を省けるということで選んだ。メンテナンスセットも付属してくるので、マニュアルなどを確認しておきたい。

「USB/HDMI入力端子」は、センターコンソール、ドリンクホルダー近くに増設されるカバー付きのオプション端子。スマホなどの充電にも使えるし、iPhoneなどを接続して音楽を再生することもできる。HDMI端子に関してはロングドライブ中に、助手席のポニョ嫁が映画を見るのに使えるのではないかと思っている。現状、メインで使うのはUSBポートだが。

 DSRCユニットは、要するにETCである。必須のオプションではあるが「DSRC」ということでは今後に期待。

写真一番手前のユニットがドラレコのカメラ。有効画素100万というスペック
小物入れの中に隠れたドラレコの本体ユニット。記録メディアはmicroSDメモリーを使用

 ドラレコは今や必須のオプションだと思って選んだドライブレコーダー「DRT-H64」。また、事故などのトラブル対応だけでなく、ドライブをムービーで記録という使い方も楽しいと思っている。ちなみにこのドラレコ、フォーマット形式を間違えなければ32GBのメディアも使用できる(いずれ紹介します)。

 大画面9インチのカーナビとなるプリウス専用T-Connectナビ「DSZT-YC4T」。個人的には愛してやまないパイオニアのサイバーナビを取りつけたかったのだが、新型登場のタイミングなども考えてとりあえず純正にしてみた。バックモニターなどのシステムセットアップが楽なので、これはこれでアリだと思っている。大画面はやっぱり見やすい。

 上記のようなオプションをてんこ盛りにして値引き7万9920円を差し引き、合計50万9760円なり。こうしたオプションの話になるとよく「高いか、安いか」というキーワードが出てくる。私は個人的にそれは見当違いの話で、本当は「満足できるか、できないか」が正しいのではないかと思っている。もちろん私は自分が満足できる構成にした訳だが、まあそのあれだ、決して安いとは思っていないけど……。

 いずれにしても私のプリウスはこんな感じです。個人的に期待大なのはやはりE-Fourである。このE-Four、言うなればフルタイム4駆に近いもので、ドライバーがON/OFFを設定するものではない。そしてE-Four搭載のプリウスでは4駆状態をモニターすることが可能になっていて、例えば発進時などには4駆が少しだけ効いていることが分かる。とはいえ4駆の本番は冬! 雪道! 凍結路面! こう言ってはなんだが、今から冬が楽しみだ。

半年以上、走らせてみた結果

半年も経っているので、当然のごとく初回点検は終えている。ジャッキアップしたプリウス
滅多に見られないプリウスのお腹。空力のためか、結構カバー類がある
PCと接続してログなどをチェック。今となっては必須、そして当たり前の作業(ノートPCがタフネス仕様なことに注目)

 1回目にも書いたことだが前回のプリウス連載とは違い、今回はあまり燃費を気にしないでおこうと思っている。それよりクルマとしてのプリウスを楽しもうと思っている訳だが……「気にしない」とか言いながら、それでも燃費が気になるプリウス乗り。まあ、燃費のよさが大きなポイントのクルマなのだから、別に気にしても罰は当たらないだろう。という訳で新しいプリウスの燃費だが……正直な話、いい! 3代目プリウス初期型に乗っていた自分としては、あっさりと違いが出たことに驚いていたりもする。

 大ざっぱに言ってしまうと3代目プリウスの時は、メーター読みの燃費で20km/Lを超えるのは難しかった(もちろんドライバーそれぞれの運転、環境にも依存する訳だが)。かといって超絶難しいというわけではなく、ちょっとした気配りがあれば20km/Lを超えることはできる。それが新しいプリウスだと何も考えなくても、普通に20km/Lを上回るのだ。

 私の運転、そして走行環境では1Lあたり20kmの走行はひとつの山だった。3代目プリウスの時は満タン法で燃費を記録していたのだが、40回を超える給油の中で20km/Lを超えたのはわずか数回。当時は燃費を気にしていたので、その結果にはかなりショックを受けたものだ。まあ、すぐに開き直ったのだけどね。

初回点検時の燃費データ。418km走って19.9km/L
給油と同時にリセットするトリップAは380.4km走行で21.1km/L!

 そして新しいプリウス。納車されて初の給油で実にあっさりと20km/Lを超えた。しかも私のプリウスはE-Four(4駆)なので、燃費的には不利なはず。実際、カタログスペックを見るとEを除く2WDが37.2km/Lなのに対して、E-Fourは34.0km/Lとなっている(JC08モード)。もっとも3代目プリウスと比較した場合は、3代目が30.4km/L(JC08モード、Gツーリングセレクション)なので新しいプリウスは圧倒的に有利だ。

 いや、カタログスペックからは離れよう。いずにしても私が3代目プリウスに乗っていた時は、満タン燃費で20km/Lを超えるのは難しかった。それが新しいプリウスではメーター読みといっても、あっさり20km/Lを超えてくるのである。給油タイミングなど体感的な面でも「新しいプリウス、燃費がよくなったな~」と実感することができる。走行可能距離の表示で「あと1000km以上走りますよ!」と言われても、あながちウソじゃないと思ってしまうほど。

 これだけ燃費がよいなら、私が気にする必要はない! 当初の予定どおり、私は燃費以外を気にすることにしよう! エアロパーツのこととか、サスペンションのこととか、インテリア系アクセサリーのこととか……。プリウスを楽しむ方法は燃費以外にいくらでもあるのだ! よし、まずはエアロパーツで攻めるか! などと思った私が甘かった。再開したプリウス連載は次回、私の考えとはまったく異なる方向に転がり始めるのであった……。

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、最近10年は真面目なレビュー記事というより、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はオートバイをこよなく愛していたが、体力の衰えと共にクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのプリウス、オートバイはカワサキのNinja 1000とZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。インプレスジャパン、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかにImpress Watchでインターネット動画「パーツパラダイス」を配信中。