パナソニック、三洋電機買収に向けて協議を開始
ハイブリッド車向けバッテリーの大手が提携



パナソニックの大坪社長(左)と三洋電機の佐野社長
11月7日発表

 パナソニックと三洋電機は11月7日、パナソニックが三洋電機子会社化するための協議を開始すると発表した。

 両社の全事業領域において、双方のリソースを相互補完し、商品ラインナップ拡充、販売網拡大、コスト削減などの競争力を図る。

 とくに、ハイブリッド車向けの需要が見込まれる2次電池(充電池)においては、双方とも高い技術を持っており、パナソニックはトヨタ、三洋電機はホンダ、フォード、フォルクスワーゲングループといった大口のパートナーを有しており、車載用2次電池では最大手となる見込み。

 両社は同日、大阪のホテルで記者会見を開催。パナソニックの大坪文雄氏、三洋電機の佐野精一郎氏の両社長が出席した。

 大坪氏は「三洋電機は日本の電機産業界における貴重な財産。近い理念を持つ2社が経営資源を共有化し、グローバルな競争力を強化することが、両者の企業価値を高め、消費者、株主、従業員といったすべてのステークホルダーに貢献できると信じている」と買収の意義を説明。三洋電機のエナジー、エレクトロニクス、エコロジーの領域での技術力、商品力を高く評価しており、電池や省エネの分野で両社の総合力が発揮できるベストパートナーとした。

 佐野氏は「金融危機で優先株問題について考えるべきタイミングが早まった。パートナーとしては、十分な企業体力と大きなシナジーを期待できる事業会社が理想。パナソニックは明確に条件に合致する」とした。

 100%子会社とするのか、三洋電機の上場を維持したままの子会社化とするのか、三洋ブランドの扱いや重複事業の処理、三洋電機の雇用をどうするのかなど、決断すべき問題は多い。具体的な方策これからプロジェクトチームを設けて協議を進めるという段階にある。大坪氏は「お互い苦しい時代を乗り切ってきたので、三洋電機のブランドや雇用についての気持はよく理解できる。しかし、経営というものは勝ち残って初めて意味があり、甘い話だけというのはあり得ない」と述べ、今後の推移を見つつ、具体的な施策を打ち出していく構え。

 両社の車載用2次電池事業は「全体の需要から見れば、自動車メーカーの需要は爆発的に伸びる」(大坪氏)と期待している。しかし、両社はすでにそれぞれで異なるパートナーを持っているため、利益相反などの問題が起きる可能性がある。これについて大坪氏は「それぞれで異なる自動車メーカーと取引しているが、強い者同士が手を組めば、自動車メーカーにとっても大きなメリットとなるので、大きな問題はないと考えている」との予測を述べるにとどめた。

 

URL
パナソニック株式会社
http://panasonic.co.jp/
三洋電機株式会社
http://www.sanyo.co.jp/

ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn081107-1/jn081107-1.html

(編集部:田中真一郎)
2008年11月7日