ルネサス テクノロジ、デュアルコアの次世代カーナビSoC「SH-Navi3」 処理速度や3DCG機能を強化し、画像認識処理機能を新搭載 |
ルネサス テクノロジは1月19日、次世代車載端末向けのSoC(System On a Chip)「SH7776(SH-Navi3)」を開発したと発表した。2009年4月よりサンプル出荷を開始し、サンプル価格は1万2000円。
SH-Navi3は、同社が既に製品化している32ビットCPU「SH-4A」を2個搭載する、カーナビへの搭載を中心とした車載用SoC。デュアルコアとしたことで、1つのOSのもとで2個のCPUコアを並列処理するSMP(対称型マルチプロセッシング)、および異なるOSをそれぞれのCPUコアで実行するAMP(非対称型マルチプロセッシング)に対応しており、例えばカーナビ表示と車両連動の走行支援システムを並列で高速動作させることができる。また、2つのOSを連携させる「ドメイン連携」や、分離させる「ドメイン分離」機能を搭載しており、高信頼性や開発期間短縮が実現できるとしている。
このほか、DDR3-SDRAMメモリーインターフェイスをカーナビ用デュアルコアSoCとして業界初搭載し、最大4.27GB/秒のデータ転送を実現。また、 Serial ATAインターフェイスやPCI Expressインターフェイスも搭載しており、これらの機能によって同社の前世代カーナビ用SoC「SH-Navi2」と比較して、処理能力で約2倍の最大1920MIPS(Million Instructions Per Second)を実現しているほか、消費電力も約半分に抑えているとしている。
仕様概要 | システム構成例 | |
デュアルコアによる性能向上や機能の概要 |
このほかのデータ転送高速化機能 | SH-Navi3による次世代車載端末のイメージ |
SH-Navi3より追加された新機能では、英IMG社の3DグラフィックスIP「PowerVR SGX」を搭載しており、より高性能な3D CGの描画が可能になったとしており、既に搭載されている当社独自のグラフィックスプロセッサと併用することで、高品質な3DオブジェクトやGUIの描画を実現したと言う。
また、カーナビ用デュアルコアSoCでは業界初の画像認識処理機能を内蔵。同機能は日立製作所と共同開発したもので、従来製品「SH7774(SH-Navi2V)」に搭載されているものより画像認識処理を約3.5倍の処理速度で実行可能としており、白線検知などの走行支援システムに利用できるとしている。このほか、歪み補正モジュールも搭載しており、カメラで撮影した画像データを、任意の形に変形することも可能だ。
同社によれば、2009年4月よりサンプル出荷を開始し、2010年1月から月産2万個で量産を開始。2013年1月からは月産10万個の量産を予定していると言う。
PowerVR SGXの概要 | 同社グラフィックスプロセッサの概要 | 画像認識処理機能の概要 |
ルネサス テクノロジのマイコン統括本部自動車事業部副事業部長の山内直樹氏によれば、今回のSH-Navi3の開発は近年のカーナビ性能や走行支援システムの向上に伴う高性能化と、車載用電子制御ユニットの増加に伴う低消費電力を両立するために、デュアルコア構造を採用したとしている。
また、自動車市場状況は2008年~2009年には落ち込むものの長期的に伸長するほか、車載半導体は自動車生産台数よりも大きく伸長し、2015年には自動車生産コストの40%を占めると予測。同社としても、売上高の約20%を占める重点分野として注力して、現在のカーナビ向けマイコンのシェア1位を維持・拡大するほか、車載用マイコンシェアや自動車用半導体シェアで1位を獲得することを目標としていると言う。
株式会社ルネサス テクノロジマイコン統括本部自動車事業部副事業部長の山内直樹氏 | 自動車市場動向と同社の予測 | 自動車における電子制御ユニットのコスト比率 |
車載用マイコンなどのシェアと同社のポジション | 同社の車載用SoCのロードマップ | 次世代車載用SoCのニーズ |
■URL
株式会社ルネサス テクノロジ
http://japan.renesas.com/
ニュースリリース
http://japan.renesas.com/fmwk.jsp?cnt=press_release20090119.htm&fp=/company_info/news_and_events/press_releases
(編集部:大久保有規彦)
2009年1月19日