JAIA理事長会見、2008年の輸入車は17%減
15年ぶりの低水準に

  JAIA(日本自動車輸入組合)は、1月22日に行ったハンス・テンペル理事長による会見の要旨を公開した。

  会見では、2008年の景気動向について、米国の金融危機に端を発する世界的な景気後退により、自動車産業もかつてない大きな打撃を受けており、2008年の国内市場の状況は、登録車販売台数が約321万台と34年ぶりの低水準に落ち込んでいると説明。また、2008年4月の暫定税率の混乱による一時的な減税が、消費者に自動車に係る税負担の重さを改めて実感させたと分析した。

  輸入車市場においては、2008年は外国メーカー車が前年比約16%減の19万3000台、日本メーカー車を加えた輸入車合計が約17%減の21万9000台と15年ぶりの低水準であったほか、一時的なガソリン高騰、世界同時不況による消費者心理の冷え込みによって販売減少に歯止めがかからない、極めて深刻な状況であったと説明した。

  2009年の見通しについては、雇用不安や所得環境の悪化、個人の消費伸び悩みによる需要の冷え込みに加えて、少子高齢化、若年層のクルマ離れの影響も大きいため、今後も厳しい状況が続くとしている。しかしながら、日本を含めた世界の主要国政府による緊急経済対策の効果が必ず現れてくるものと期待しており、このような危機をむしろ変革のチャンスと捉えて、革新的な新しい技術を積極的に開発・導入することで市場回復に取り組んで行くとコメント。また、ITS(Intelligent Transport System)の大規模実証実験「ITS-Safety2010」に一部外国メーカーが初めて参画することから、国内メーカーと共にITSの実用化に向けた活動を推進するとしている。

  JAIAの活動については、自動車にかかる税負担は複雑で過重であり、欧米諸国と比較しても相対的に高いとして、自動車税制の抜本的改正をほかの自動車関連団体と協調して訴えてきたとのこと。2008年末に発表された自民党の「税制改正要綱」において低炭素化・環境保護に向けた自動車税制の方向性が示されたことを一定の進捗が見られたとして評価したが、本来の目標とは大きな隔たりがあるとして「軽減および簡素化」を実現した税制改正に向けて活動を行うとしている。

  また、ディーラーのサービス工場設置や移転の大きな障害となっている用途地域規制の見直しについてロビー活動を行うほか、JAMA(日本自動車工業会)やJADA(日本自動車販売協会連合会)などの関連団体との協調、輸入車の魅力を消費者に紹介する活動を通じて自動車市場の活性化や日本経済の回復に寄与する、といったJAIA活動方針を明らかにした。

 

URL
日本自動車輸入組合
http://www.jaia-jp.org/
理事長会見
http://www.jaia-jp.org/j/about/report090122.html

(編集部:大久保有規彦)
2009年1月23日