トヨタ、新しく2種類のプリクラッシュセーフティを開発
「前側方プリクラッシュセーフティ」と「プリクラッシュシートバック」

 トヨタ自動車は2月26日、車の安全性能を向上させるため、ミリ波レーダーにより斜め前方からの出合い頭衝突に対応する「前側方プリクラッシュセーフティ」と、前後方向からの衝突に備えてシートバックを引き起こす「プリクラッシュシートバック」を世界で初めて開発したと発表した。この技術は、間もなく発売を予定する新型車に採用する。

レーダーの監視範囲を広げた前側方プリクラッシュセーフティ
 従来のプリクラッシュセーフティでは、ミリ波レーダーで正面からの衝突の可能性を感知していた。しかし、死亡・重傷事故のうち最も割合の高い事故が出合い頭の事故であり、また、乗員の死亡率が最も高い事故が正面衝突であるということから、前側方向に向けたミリ波レーダーを新たに追加したのが、新開発の前側方プリクラッシュセーフティシステムだ。ミリ波レーダーによる検知範囲を拡大することで、見通しの良い交差点での出合い頭衝突や、対向車がセンターラインをはみ出してきた場合の衝突にも対応できるようにしている。

 ミリ波レーダーで対向車などを感知し、衝突する可能性があると判断された場合には、まず、ブザーやメーター表示でドライバーに注意を促す。さらに可能性が高いと判断された場合、ブレーキペダルの踏み込みに応じて、早期に制動力の補助を行う。次にシートベルトを巻き取ることで衝突時の乗員保護性能の向上を図り、車両側方に衝突される可能性が高いと判断された場合には、エアバッグの作動の準備を開始する。これにより、従来のプリクラッシュセーフティシステムに加えて、より様々な事故形態に対応できるようになる。

前方に加え、前側方にもミリ波レーダーを追加検知エリアを側方に広げたことで、側面や斜め前方からの衝突も予測可能になる危険を感知してからのシステム作動の流れ
プリクラッシュシートバックの作動イメージ

後席の安全性を向上するプリクラッシュシートバック
 もう一つの新技術であるプリクラッシュシートバックは、前方と後方に対応したミリ波レーダーで障害物や車両を感知し、衝突する可能性を判断する。衝突の可能性が高いと判断した場合には、シートベルトやエアバッグの性能を最大限に発揮できる位置まで後席のシートバックを引き起こすというもの。特に後方からの追突に対しては、ヘッドレストを最適な位置に移動させる「プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト」も併せて作動させ、むち打ち傷害の軽減を図ると言う。

(編集部:瀬戸 学)
2009年 2月 27日