インテル、車載/IPメディア・フォン向けCPU「Intel Atomプロセッサー」4製品 車載機器のインターネット化を推進 |
インテルは3月6日、車載機器やIPメディア・フォン向けの省電力CPU「Intel Atomプロセッサー」4製品と、CPUと接続し、メモリーインターフェースやUSBなど各種インターフェース機能を持つチップセット(システムコントローラー)2製品を発表し、説明会を開催した。
組み込み向けCPUとして、「Atom Z530(1.60GHz)」「Atom Z510(1.10GHz)」をラインアップしていたが、「Atom Z530P(1.60GHz)」「Atom Z510P(1.10GHz)」「Atom Z520PT(1.33GHz)」「Atom 510PT(1.10GHz)」を新たに追加。CPUのパッケージサイズを13×14mmから22×22mmに拡大し、Atom Z520PTとAtom Z510PTについては、対応温度範囲を0~70℃から-40~85℃とより広くして産業用途に対応した。
あわせてチップセットも「SCH US15WP」「SCH US15WPT」の2製品を用意。両製品ともパッケージサイズを37.5×37.5mmに拡大し、SCH US15WPTではAtom Z5xxPTと同様に対応温度範囲が拡大されている。
Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTとも、TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)は2.2W、1つのCPUコアで2つのスレッド(プログラム実行の基本となる単位)を実行可能なHyper-Threading機能を搭載する。
基本仕様は以下のとおり。
製品名 | コアクロック | FSB (Front Side Bus) | 温度範囲 | パッケージサイズ | 対応チップセット |
Atom Z530P | 1.60GHz | 533MHz | 0~70℃ | 22×22mm | SCH US15WP |
Atom Z510P | 1.10GHz | 400MHz | |||
Atom Z520PT | 1.33GHz | 533MHz | -40~85℃ | SCH US15WPT | |
Atom Z510PT | 1.10GHz | 400MHz |
■4つの成長分野のひとつとなる組み込み市場
Atom Z5xxPシリーズの製品発表に関連して開かれた説明会では、製品を担当するインテルのエンベデッド・ストレージ製品・マーケティング・マネージャーの金哲也氏がその位置づけを解説。組み込みCPU市場は、家電、MID(Mobile Internet Device)、ネットトップ・ネットブック向けに並ぶ4つの成長分野のひとつであり、Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTは、その市場へ向けて用意されたと語った。
すでにAtomは、電力供給モニタリングシステムや、軍用のウェアラブル(着用可能)コンピューター、鉄道車両のモニタリングシステムなどで使われている。今後ますますインターネット接続可能な組み込み機器の市場は広がり、2015年までに150億台に到達すると推測。IA(Intel Architecture:インテルCPUの設計思想、いわゆるx86互換CPU)製品の市場も高い成長率を維持しており、Atomについても同様の成長を期待できるとした。
Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTがターゲットとする市場は、車載向けの情報機器のほか、インターネットに接続可能な電話機=IPメディア・フォンであると言う。車載用としては、インフォテイメント(インフォメーションとエンターテイメントの造語)向けであり、カーナビやインターネット接続などのインフォメーションと、CDやDVD、ハイビジョン再生などのエンターテイメントを実現するもので、エンジンコントロール用のCPUではないと語った。
そのほか説明会では、OpenPeakが開発するIPメディア・フォンの実機を公開。このIPメディア・フォンは、画面にさまざまなアイコンが表示され、アイコンをタッチすることで天気やグルメ情報を表示。電話としての機能はもちろん、インターネット経由でさまざまな情報を手軽に引き出せるようになっている。2009年秋ごろの発売が予定されているとのこと。
多くのカーナビなどでは、マイクロソフトのWindows AutomotiveがOSとして採用されており、車内での携帯電話やUSBオーディオ機器とのメディア接続をサポートするMicrosoft Autoもフォードやフィアットの車に採用されている(Windows AutomotiveとMicrosoft Autoは将来的に統合される予定)。説明会では、Microsoft AutoがAtomを対応CPUとしたことも語られ、インテルはマイクロソフトと協業して、より高度なアプリケーション動作が見込まれる車載システムでのAtomの普及を図っていくようだ。
(編集部:編集部:谷川 潔)
2009年 3月 6日