インテル、車載/IPメディア・フォン向けCPU「Intel Atomプロセッサー」4製品
車載機器のインターネット化を推進

Atom Z5xxPシリーズ

2009年3月6日発表




 インテルは3月6日、車載機器やIPメディア・フォン向けの省電力CPU「Intel Atomプロセッサー」4製品と、CPUと接続し、メモリーインターフェースやUSBなど各種インターフェース機能を持つチップセット(システムコントローラー)2製品を発表し、説明会を開催した。

 組み込み向けCPUとして、「Atom Z530(1.60GHz)」「Atom Z510(1.10GHz)」をラインアップしていたが、「Atom Z530P(1.60GHz)」「Atom Z510P(1.10GHz)」「Atom Z520PT(1.33GHz)」「Atom 510PT(1.10GHz)」を新たに追加。CPUのパッケージサイズを13×14mmから22×22mmに拡大し、Atom Z520PTとAtom Z510PTについては、対応温度範囲を0~70℃から-40~85℃とより広くして産業用途に対応した。

 あわせてチップセットも「SCH US15WP」「SCH US15WPT」の2製品を用意。両製品ともパッケージサイズを37.5×37.5mmに拡大し、SCH US15WPTではAtom Z5xxPTと同様に対応温度範囲が拡大されている。

 Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTとも、TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)は2.2W、1つのCPUコアで2つのスレッド(プログラム実行の基本となる単位)を実行可能なHyper-Threading機能を搭載する。

手前が新たに追加されたAtom Z5xxP。奥の従来製品と比べるとパッケージサイズが大きくなっている。これにより基板設計が容易となりコストダウンに寄与すると言うチップセットのパッケージサイズも大きくなった。手前がSCH US15WP、奥が従来製品のSCH 15W。CPU、チップセットともパッケージサイズの拡大のみで、半導体のダイ(チップ)サイズは変わらないAtom Z5xxのブロックダイヤグラム(構成図)。チップセットにDDR2メモリーやUSB 2.0、PCI Expressなど各種インターフェースが統合される

 基本仕様は以下のとおり。

製品名コアクロックFSB
(Front Side Bus)
温度範囲パッケージサイズ対応チップセット
Atom Z530P1.60GHz533MHz0~70℃22×22mmSCH US15WP
Atom Z510P1.10GHz400MHz
Atom Z520PT1.33GHz533MHz-40~85℃SCH US15WPT
Atom Z510PT1.10GHz400MHz

4つの成長分野のひとつとなる組み込み市場
 Atom Z5xxPシリーズの製品発表に関連して開かれた説明会では、製品を担当するインテルのエンベデッド・ストレージ製品・マーケティング・マネージャーの金哲也氏がその位置づけを解説。組み込みCPU市場は、家電、MID(Mobile Internet Device)、ネットトップ・ネットブック向けに並ぶ4つの成長分野のひとつであり、Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTは、その市場へ向けて用意されたと語った。

 すでにAtomは、電力供給モニタリングシステムや、軍用のウェアラブル(着用可能)コンピューター、鉄道車両のモニタリングシステムなどで使われている。今後ますますインターネット接続可能な組み込み機器の市場は広がり、2015年までに150億台に到達すると推測。IA(Intel Architecture:インテルCPUの設計思想、いわゆるx86互換CPU)製品の市場も高い成長率を維持しており、Atomについても同様の成長を期待できるとした。

 Atom Z530P/Z510P/Z520PT/510PTがターゲットとする市場は、車載向けの情報機器のほか、インターネットに接続可能な電話機=IPメディア・フォンであると言う。車載用としては、インフォテイメント(インフォメーションとエンターテイメントの造語)向けであり、カーナビやインターネット接続などのインフォメーションと、CDやDVD、ハイビジョン再生などのエンターテイメントを実現するもので、エンジンコントロール用のCPUではないと語った。

 そのほか説明会では、OpenPeakが開発するIPメディア・フォンの実機を公開。このIPメディア・フォンは、画面にさまざまなアイコンが表示され、アイコンをタッチすることで天気やグルメ情報を表示。電話としての機能はもちろん、インターネット経由でさまざまな情報を手軽に引き出せるようになっている。2009年秋ごろの発売が予定されているとのこと。

Atomの戦略について語るインテル株式会社マーケティング本部エンベデッド・ストレージ製品・マーケティング・マネージャーの金哲也氏Atomプロセッサーを投入することで、インターネット接続可能な組み込み機器を実現インターネット接続可能な組み込み機器は、2015年までに150億台に達すると言う
インテルの組み込み機器での実績は30年以上IA搭載製品では、今後も組み込み機器市場で高い成長率が期待できるとする組み込み機器の今後のトレンドはつながること。インターネットにつながることで、これまでより高度な機能を提供できる
Atomが使われていく市場。800以上の組み込み製品に採用される見込みAtomはこれまでのインテルCPUと比べ、組み込み向けに最適化されて設計されているインテルの最新技術で設計・製造されているAtom。組み込み向け製品として大切なライフサイクルも7年間以上
Atom Z5xxシリーズのラインアップ。上2製品が従来の製品。下4製品が新たに追加されたIPメディア・フォン。インターネットに接続することで、商用向け、企業向け、医療向け市場での多彩な情報提供を実現する車載インフォテイメントと同社が名付けるAtom搭載製品。今後、車にはますますこれらの製品が搭載されていくと言う
すでに車載製品向けに一定のシェアを獲得しているMicrosoft AutoもAtomをサポートオープンソースを用いたGENIVIアライアンス。BMWやGMなどの名前が並ぶ。2009年夏には最初の成果が発表されるようだIPメディア・フォンの説明を行うインテル株式会社マーケティング本部エンベデッド・ストレージ製品・マーケティング・エンジニアの前田正顕氏
IPメディア・フォンの画面。画面はタッチセンサーを搭載し、アイコンにタッチすることでアプリケーションを起動できる「Weather」アイコンをタッチするとこのような天候情報が表示される。パソコンでは当たり前とも言える機能だが、独立した組み込み製品のインターネット活用の例IPメディア・フォンの背面。中央にLANコネクタ(RJ-45)が見える。無線LAN対応での製品化ももちろん可能
IPメディア・フォン単体でも通話が可能だが、写真のような子機を使っての通話も可能

 多くのカーナビなどでは、マイクロソフトのWindows AutomotiveがOSとして採用されており、車内での携帯電話やUSBオーディオ機器とのメディア接続をサポートするMicrosoft Autoもフォードやフィアットの車に採用されている(Windows AutomotiveとMicrosoft Autoは将来的に統合される予定)。説明会では、Microsoft AutoがAtomを対応CPUとしたことも語られ、インテルはマイクロソフトと協業して、より高度なアプリケーション動作が見込まれる車載システムでのAtomの普及を図っていくようだ。

 

(編集部:編集部:谷川 潔)
2009年 3月 6日