「インディジャパン300マイル」、今年は9月に第16戦として開催 武藤選手が日本人初優勝を宣言 |
モビリティランドは3月12日、インディカー・シリーズ「ブリヂストン インディジャパン300マイル」の概要を発表した。同社は、記者会見を東京のHonda ウエルカムプラザ青山で開催。インディカーレースでの日本人初優勝が期待される武藤英紀選手が出席し、今シーズンへの意気込みを語った。
■アメリカ独特の伝統あるオープンホイールレース
インディジャパン300マイルは、アメリカのオープンホイールレースである「IRL(Indy Racing League)インディカー・シリーズ」の第16戦として開催されるイベントで、日程は9月17日~19日。栃木県のツインリンクもてぎにある1周約2.4kmのオーバルコース「スーパースピードウェイ」を使う。
インディカー・シリーズはF1のようなオープンホイールの車両によるレース。世界3大レースの1つ「インディアナポリス500マイル」を中心として、今年は全17戦が開催される。
開催コースには、オーバルコースをメインに、ロードコース(テクニカルサーキット)やストリートコース(市街地コース)、エアポートコース(空港の滑走路に特設したコース)といったバラエティに富んだコースが織り込まれている。今年はロードコース3戦、ストリートコース3戦、エアポートコース1戦、オーバルコース10戦が予定されている。また、うち4戦がナイトレースとして組み込まれている。
記者会見会場に展示されたインディカー。F1と比べると空力付加物が少なくすっきりしているが、安全対策で大柄に | 2009年のインディカー・シリーズのスケジュール | インディジャパン300マイルのトロフィー |
エンジンはV型8気筒3.5リッターで、1万300回転までの制限があるほか、燃料には100%バイオエタノールを使用するが、出力は600馬力以上。予選での平均時速が329km/h、最高で360km/hにも及ぶ。
現在はエンジンはホンダ、シャーシーはダラーラ、タイヤはブリヂストン(Firestoneブランド)のワンメイクとなっている。左回りのみとなるオーバルコースでは、左右で径の異なるタイヤを装着するなど左回りをしやすい、インディカー・レースならではの「スタッガー」と呼ばれるセッティングを施す。
昨年は美人レーサー ダニカ・パトリック選手の初優勝で話題に。パトリック選手は現役レーサーながら、スポーツ・イラストレイテッド誌の水着特集に2年連続で登場(もちろん水着で)という記録も持つ |
ツインリンクもてぎでは2003年からインディカー・シリーズを毎年開催し、今年で7年目となる。2008年のインディジャパン300マイルは、ダニカ・パトリック選手がアメリカン・メジャーレース史上初の女性ウィナーとなったことで話題を呼んだ。
例年は4月に開催していたが、今年は9月17日~19日に変更。大詰めの第16戦となるため、熾烈なポイント争いが予想される。
17日は「フレンドシップデイ」として、一般観戦券でのパドック入場、スーパースピードウェイを歩く「コースウォーク」、元インディカードライバーのアル・アンサー・シニア氏とジョニー・ラザフォード氏によるトークショー、インディカードライバーが運転するストックカーでのコース走行、ドライバーとのランチパーティーなどが開かれる。
またSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンのドライバーが参加するイベントも多数用意され、同乗走行体験やダートトラックコースで開催されるミジェットカーレースへのプロドライバーの参戦などが予定されている。
このほか熱気球搭乗、里山散歩、クラフト教室などファミリー向けイベントも併催される。
2009年のインディジャパン300マイルのスケジュール | 9月17日のフレンドシップデイには、ドライバーとの交流イベントや同乗走行など多数のお楽しみが | ツインリンクもてぎ全体でさまざまなイベントを行う |
今年の9月19日は5連休の初日にあたるため、インディジャパン300マイルと、その後の観光による経済効果も期待できる。ツインリンクもてぎ周辺の自治体は、例年以上に力の入ったバックアップ体制を敷き、インディジャパン300マイルのプレイベントを7月から開始。夏休み期間を通して各種イベントでインディジャパン300マイルをプロモーションし、盛り上げていく。
ドライバーを応援する「スペシャルファンシート」 |
■応援するドライバーが優勝すれば翌年無料招待
チケットの前売りは5月30日から開始されるが、3月13日~4月24日に「ファミリーチケット」と「スペシャルファンシート」が先行販売される。
ファミリーチケットは大人2名、子ども2名までがお得なセット料金で入れるもの。今年はD席(1万8000円、ローソンチケットとローソンのみで2000枚限定)のほかに自由席(1万2000円)にも拡大する。
スペシャルファンシートは武藤英紀、ダニカ・パトリック、トニー・カナーン、ロジャー安川の各ドライバー専用の応援席。フラッグなどの応援グッズが付き、直筆サイン入りグッズなどが抽選でもらえるほか、その選手がインディジャパン300マイルで優勝すると、2010年のインディジャパン300マイルに無料で招待される特典が付く。
さらに、武藤、パトリック両選手のスペシャルファンシートとファミリーチケットを購入すると、インディ500にスペシャルレポーターとして派遣されるキャンペーンに応募できる。レポーターは4名。
武藤選手が登場。インディカーは開幕前にドライバーの体重を測定し、軽ければ車に積むウェイトの量が増えるので、シーズンオフは体重を増やしたとのこと。測定が終わった現在は減量中 |
会見にはアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)の武藤英紀選手が登場。インディジャパン300マイルへのスポット参戦が決まったロジャー安川選手も駆けつけた。
インディカー・シリーズにはこれまでヒロ松下(インディカー・シリーズの前身のCARTシリーズ時代)、ロジャー安川らの日本人選手が参戦している。2008年からフル参戦した武藤選手は、インディ500での日本人最高位(7位)入賞、日本人最高の2位入賞(アイオワ・スピードウェイ)を記録した末に年間ランキング10位とルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得している。
AGRは、アメリカン・モータースポーツの名門アンドレッティ一族のマイケル・アンドレッティが率いるチーム。マイケルの父は1978年のF1チャンピオンであるマリオ・アンドレッティだ。AGRからは、マイケルの息子マルコ、ダニカ・パトリック、トニー・カナーン、武藤の4選手が参戦する。
2位に入ったアイオワのレースを見ながらトーク。チームメイトのカナーン選手に激しくプッシュされるが逃げ切った。「普段はいいチームメイトですが、レースが始まれば敵ですから」 | ロジャー安川選手も登場。大先輩の隣でやりにくそうな武藤選手 | 多摩テックで行われたインディカーデザインコンテストの優勝者をインディジャパンへ招待。優勝したデザインのショーカーをプレイベントなどで展示する |
日本人初の優勝が期待されている今年の武藤選手。2008年の2位入賞を「終盤でトップに立つチャンスもあったが、そこまでのリスクをとれなかった」と振り返り、インディジャパン300マイルでは「ピットからコースに戻るときにミスをしなければ、ダニカの前に入れた」と悔やむが、昨年は参戦1年目とあって「何をすべきか分からない状態」だったという。2年目の今年は準備万端、先頃行われたオープンテストも好調だったとのこと。
「インディジャパン300マイルの前に優勝して凱旋帰国。インディジャパン300マイルは絶対優勝する」と力強く宣言。インディジャパン300マイル前の優勝も「1回ではなく何回でも」というアグレッシブな姿勢で挑む。
ロジャー安川選手は、インディアナポリス500マイルへの参戦に向けて活動中。武藤選手とは欧州時代からつきあいがあり、「(武藤選手は)後輩と言うより弟」と言うほどの仲。「2010年に無料で見たければ英紀のスペシャルファンシートへ」とおどけつつも「インディ500参戦を決めて、もてぎにも少しでもいい体制で取り組めるようにしたい」と健闘を誓った。
(編集部:田中真一郎)
2009年 3月 13日