鈴鹿サーキット・オープニングデーで第1回日本GPを再現
ピーター・ウォー氏がロータス23をドライブ、小倉茂徳氏が企画

2009年4月12日開催




 モビリティランドは、4月12日に鈴鹿サーキットで開催する「“スタート鈴鹿”オープニングサンクスデー F1キックオフパーティー」(以下、オープニングサンクスデー)で、1963年の第1回日本グランプリを再現するアトラクションを行う。

 第1回日本グランプリは、1963年5月3~4日に鈴鹿サーキットで開催されたレースで、メインイベントの国際スポーツカーレースにはジャガー、ポルシェ、フェラーリなどの各車が出場。ピーター・ウォー選手が駆るロータス23が優勝した。

 オープニングサンクスデーでは、そのピーター・ウォー氏がロータス23でコースを走行する。このほかにフェラーリ250SWB、ポルシェ356Aなども参加して、第1回日本グランプリを同じコース、同じマシンで再現する。

 オープニングサンクスデーではこのほか、新装なったサーキット施設の見学会や、F1マシンのデモ走行、レースドライバーとの交流イベントなどが予定されている。参加にはゆうえんちの入園料が必要。料金は大人(中学生以上)1600円、小学生800円、3歳~未就学児が600円。なお、同サーキットのホームページとモバイルホームページで、2月12日から無料招待券を配布する。

歴史的なシーンをナマで
 ピーター・ウォー氏はその後、ロータスのF1チーム監督を務め、鈴鹿でも采配を振るった。実はウォー氏による走行は、本誌でもおなじみのモータースポーツ・ジャーナリスト小倉茂徳氏が企画したもの。その経緯を小倉氏にご寄稿いただいたので掲載する。

 1988年にハンガリーGPの前座イベントで、ヒストリックスポーツカーの走行があり、当時ロータスのチーム監督だったピーター・ウォーさんの目が、ロータスのタイプ23を追っていたのを見ました。タイプ23でウォーさんは、第1回日本グランプリを勝っていたので、「懐かしいでしょう」など話をしました。

 同じ年のF1日本グランプリで、ウォーさんはロータスのピンをくれました。「私の優勝25周年記念だ、覚えていてくれてありがとう」と、笑顔でした。ウォーさんとはその後、2004年にイギリスで再会。チーム・ロータスの創設50周年記念イベントでした。そのときウォーさんは、「またタイプ23で鈴鹿を走りたいな」と言っていました。

 以来、機会があるごとに、「第1回日本グランプリ・ウィナーのウォーさんに、当時のマシンで走らせてはいかがですか?」と、さまざまなところに働きかけてきました。

 そして、今回、鈴鹿サーキットがリニューアルオープンするにあたって、モビリティランドが実現してくれました。1963年に鈴鹿で行なわれた第1回日本グランプリは、日本での本格的な自動車レースの始まりでした。日本グランプリは、オープン翌年の鈴鹿から始まったのでした。

 鈴鹿は今年、グランドスタンドやピットなど、より快適に観戦しやすいように、大改修されました。でも、コースの基本レイアウトは1963年から変わりません。そこを第1回日本グランプリのウィナーが走ってくれることは、鈴鹿サーキットの伝統と、日本のモータースポーツのスピリットと伝統を伝える意味でも、重要だと思います。

 歴史を調べてみると、第1回日本グランプリは、クラスごとにさまざざまなレースがありましたが、メインレースは、海外の高性能スポーツカーによる「国際スポーカーレース」で、土曜日に20周、日曜日に30周のレースが開催されたそうです。

 このレースには、ポルシェ、フェラーリ、ジャガー、アストンマーティンといった、当時すでに名門だったスポーツカーが揃っていました。ところが、両レースとも3台のロータス23が、ピーター・ウォー、マイケル・ナイト、アーサー・オーウェンの順で1~3位を独占。しかも、ほかを2周以上周回遅れにする圧倒的な強さを見せたのだそうです。

 ウォーさんにとっても、鈴鹿での第1回日本グランプリは大切な思い出だそうで、大切に保存していた優勝時のヘルメットとシューズを、今回も使うそうです。

 この話をモビリティランドが進めてくれた中で、ウォーさんとタイプ23(当時と同型車)だけでなく、第1回日本グランプリを走ったフェラーリ(当時と同型車)とポルシェ(当時レースを走った車両そのもの)も、走ってくれることになりました。ウォーさんには、「今回は周回遅れにしないように」とクギもさしておきました!

 第1回日本グランプリが鈴鹿で行われてから、46年も経ちました。第1回日本グランプリに海外から駆け付けた皆さんの多くが、ご高齢で日本への長旅ができないか、すでに鬼籍に入られてしまいました。

 今回、歴史的なシーンをモノクロの記録映像ではなく、肉眼で、カラーで、ナマの音と振動を感じながら目撃できることは、ひとりのファンとしてとても感動であり、うれしく思います。

 今回モビリティランドが、ウォーさんを走らせてあげようと動いてくれたこと、車両を提供してくださるみなさん、車両を探しくださったみなさんのご厚意に、ウォーさんとともに感謝しています。

 ウォーさんとともに、サーキットに集まった皆さんと想い出に残る走行イベントになればと願っています。

(編集部:田中真一郎)
2009年 3月 25日