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【SUPER GT 第1戦岡山】GT500は、大混乱のレースをレクサス勢が1~6位独占。37号車 KeePer TOM'S LC500優勝

GT300は、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGが3年ぶりに優勝

2017年4月9日 決勝開催

SUPER GT 第1戦岡山のGT500クラスを制覇した37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)

 SUPER GT開幕戦「2017 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE」(以下、SUPER GT 第1戦岡山)が、4月8日~49日の2日間にわたって岡山国際サーキット(岡山県美作市滝宮)において開催された。

 決勝レースは9日に開催。決勝レースのスタートでは、ホンダ NSX-GTがスタート前に3台もストップしてしまい、スタートが中断。いったん赤旗になるという大混乱のスタートとなった。

 レースがスタートすると、GT500クラスは下馬評の高かったレクサス LC500勢が圧倒的なパフォーマンスを見せつけて、1位~6位と上位を独占。優勝したのは序盤に目の覚めるレイトブレーキングでトップを奪った37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)だった。

 GT300に関しては、予選2位からスタートした4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)が優勝。同チームの優勝は3年ぶりで、車両をメルセデスに変更してからは初めての優勝となる。

決勝レースは波乱のスタート。スタートすら切れない波乱が発生

岡山県警の白バイが先導するパレードラップからSUPER GT開幕戦が始まった。このパレードラップから波乱のレースが展開していくことになる
岡山国際サーキットを走行する白バイ
パレードラップが終わり、セーフティカーが先導するオープニングラップへ
オープニングラップへトップで入るのは、ポールポジションを獲得した8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志組、BS)。その後、トラブルが襲う

 決勝レースはスタートで波乱が起きた。岡山県警の白バイが先導するパレードラップでは、予選5位につけた17号車 KEIHIN NSX-GTがスタートできず、全車が通過するのを待つ状況に。全車が通過し後17号車はスタートを切ることができ、レースコントロールにより元のグリッド順まで復帰してよいという指示がでた。それを受けて17号車をドライブする小暮卓史選手は、GT300の車列を追い抜き自分のグリッドに戻ろうとしていたのだが、今度は最終コーナー手間で再度ストップ。だが、波乱はさらに続く。今度はポールポジションを獲得していた8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志組、BS)が、17号車と同じようにヘッドライトが消えた状態でストップ。これにより、スタート前ながら、赤旗でスタート進行中断となってしまった。

 だが、NSX勢の悲劇はこれで終わらなかった。メインストレートでGT500、GT300の順に並びつつあるとき、今度は64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)が17号車、8号車と同じような症状でやはりストップ。これにより64号車も、17号車、8号車同様にピットに入れられて、NSX勢はいきなり3車が消えるという展開に。

 これによりレースは1周減算されて81周で、セーフティカースタートでスタートとなり、セーフティカーが2周先導したあと、実質的なスタートが切られた。

 これでトップに立ったのは予選2位だった6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ、BS)だったが、その周のヘアピンで2位だった37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が非常にアグレッシブなレイトブレーキングで、6号車をオーバーテイク、それにより一挙にトップにたって2位以下を引き離すという展開になった。

 6周目にGT300車両のクラッシュによりセーフティーカーが入ったが、今度は生き残ったNSXとして順調に入っていたと思われていた100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)が、17号車、8号車、64号車と同じような症状でバックストレートに停止、その後再始動してリスタートはするが、もう一度最終コーナー手前で停止し、結局FROに引かれてピットに戻るということに。これにより、ホンダNSX勢は5台中4台が脱落という厳しい展開になってしまった(17号車と64号車はレース途中で再スタートはしたが……)。

GT500車両を左側に、GT300車両を右側に整列。このようにしてからセーフティカーが先導してレースを再スタート

GT500はレクサス6台のワンサイドゲームに。1位~6位を独占

 10周目の終わりにレースは再開。各車はストレートでウェービングしながらタイヤを温めながらの再スタート。今度は各車とも無事スタートを切ることができた。レースが再スタートしてみると、NSX勢でただ1台5位につけて意地を見せていた16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)が、抑えていた2台のレクサス勢に抜かれて7位に転落。これにより、レクサス勢は1位~6位を占めることになり、レース前の評判どおり、GT500の今シーズンはレクサス勢が圧倒的なパフォーマンスを持っていることが明らかになった。

 レクサス LC500は、ホンダ NSX-GTやニッサン GT-Rに対してレースペースで概ね1~2秒程度のアドバンテージを持っており、徐々にNSXとGT-Rを引き離して、レースは事実上LC500による上位争いに絞られた。

 このレクサス同士のトップ争いから一番最初に脱落したのは、19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛/国本雄資組、YH)。1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)との5位争いで、ヘアピンの入り口で接触して、グラベルへ飛び出し他のレクサス勢に置いて行かれる展開となり、優勝争いはブリヂストン勢のレクサスLC500 5台に絞られた。

37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)と、そのほかのレクサス勢との激しい争いが繰り広げられた

 レースが動いたのは、レースの約半分となる38周目前後。まずトップの37号車 KeePer TOM'S LC500がいち早くピットイン。その後、2位だった38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組、BS)、3位だった6号車 WAKO'S 4CR LC500がその翌周にピットインする。ところが、37号車が44秒台でのピットストップだったのに対して、6号車は41秒台でピットアウト。これにより、ピットアウトしてみると、6号車がトップに立っていた。しかし、1周前にピットアウトしていた37号車はタイヤに熱が入っているのに対して、6号車はコールドタイヤ。37号車を操る平川亮は、強引ともみえるオーバーテイクをレッドマンコーナーで決めて、トップを奪い返した。

 ところが、その翌周、37号車と同じトムスチームの36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組、BS)がピットアウトしてみると、36号車が37号車を押さえてトップに立っていた。しかし、やはり同じように36号車はタイヤが冷えており、6号車を抜いたのと同じような最終セクションで、37号車が36号車をオーバーテイクしてトップを奪い返した。

 その後、ヘアピンで36号車を仕留めた6号車 WAKO'S 4CR LC500を操るアンドレア・カルダレッリがみるみるトップの37号車との差を縮め始め、50周を経過した頃にはテールツーノーズとなった。だが、その後GT300車両が2コーナーでクラッシュしたことにより、セーフティカー導入で一度水入りとなった。

何度もセーフティカーが入る荒れたレースとなった

 61周目からレースは再開され、トップ6台のレクサスLC500勢によるトップ争いが再開された。特にトップ4台、37号車 KeePer TOM'S LC500、6号車 WAKO'S 4CR LC500、1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500、38号車 ZENT CERUMO LC500までが数珠つなぎとなり、毎ラップ激しい争いが展開された。

レクサス LC500勢による、激しいトップ争い。開幕戦の時点では、トップを争う資格を持っていたのは、レクサス勢のみだった

 だが、最終的には平川亮が操る37号車 KeePer TOM'S LC500が2位以下を押さえきって優勝、2位 6号車 WAKO'S 4CR LC500、3位 1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500、4位 38号車 ZENT CERUMO LC500、5位 36号車 au TOM'S LC500、6位 19号車 WedsSport ADVAN LC500で、レクサス勢が表彰台はおろか、出走している6台で上位6位までを独占というパーフェクトゲームで、圧倒的に優位にあることを示した。

2位もレクサス LC500。6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)
3位もレクサス LC500。1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)。2016年シーズンのチャンピオンチーム

 ニッサン GT-R勢の最上位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)で7位。ホンダ NSX-GT勢の最上位は16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)で9位という結果になった。

 なお、NSX-GTの相次ぐエンジンストップトラブルについては、レース後、2014年以降使用している実績ある電装品のトラブルとの公式見解がだされた。今回のレースに関して、同部品の新品部品を投入していたが、土曜日の予選で16号車にエンジンストップトラブル発生。16号車は対策を行ない決勝レースを走ったが、決勝レースでそのほかのNSX-GTに同様のトラブルが発生した。電装品がなぜトラブルを起こしたかは、研究所に持ち帰らないと分からないとのことだ。

GT500クラス表彰台。優勝は37号車 KeePer TOM'S LC500。ドライバーは、ニック・キャシディ選手(中央左)、平川亮選手(中央右)
GT500暫定結果
順位号車車名ドライバータイヤ周回タイム
137KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS812h12'39.626
26WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/アンドレア・カルダレッリBS812h12'41.129
31DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/平手晃平BS812h12'42.387
438ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS812h12'42.565
536au TOM'S LC500中嶋一貴/ジェームス・ロシターBS812h12'47.233
619WedsSport ADVAN LC500関口雄飛/国本雄資YH812h12'48.845
723MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI812h12'459.722
812カルソニック IMPUL GT-R安田裕信/ヤン・マーデンボローBS812h13'11.986
916MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH812h13'19.821
1024フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラYH812h13'31.317
1117KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS732h13'31.485
1264Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL572h13'00.540
R46S Road CRAFTSPORTS GT-R本山哲/千代勝正MI3354'41.403
R100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/伊沢拓也BS58'57.489
R8ARTA NSX-GT野尻智紀/小林崇志BSDNSDNS

GT300はセーフティカー導入により貯金がなくなるも、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGがレースを制す

GT300クラスは、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)が優勝

 大波乱のスタートとなったGT500に対して、GT300は静かなスタートとなった。いずれも予選順位どおりにスタートし、ポールからスタートした65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)と、2位からスタートした4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)、3位からスタートした昨年のディフェンディングチャンピオン25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太組、YH)の3台を軸にしてレースが展開した。

 レース中盤に各車ピットインすると、トップ3台のタイヤ交換戦略は大きく分かれた。ヨコハマタイヤを履いている4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、25号車 VivaC 86 MCは、左側タイヤ2本交換作戦(コースが右回りのため、左側のタイヤに負荷がかかるため)を取り、ブリヂストンタイヤを履いている65号車 LEON CVSTOS AMGは4本交換と分かれることになった。このため、ピットストップが終わると、4号車、25号車、65号車の順に変わっていた。ここから65号車が25号車を追い上げるが、25号車をドライブする松井孝允は巧みのブロックを行うが、トップの4号車との差は開く一方で、一時15秒近い差をつけていた。

2位になった65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)。ミク号と激しい争いを繰り広げた

 ところが、50号車 Ferrari 488 GT3(都筑晶裕/新田守男組、YH)が2コーナーで大クラッシュ。ドライバーの救出の必要性が認められたため、セーフティーカーの導入が決定され、これにより、GT500、GT300の並べ替えを行なう“頭出し”作業が行なわれた。これで大きく損をしたのは、トップを走っていた4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG。2位の25号車 VivaC 86 MCに対して15秒近い差があったのに、これでその差はほぼなくなり、再び厳しいトップ争いが展開されることになった。

 レース再開後も、2位の25号車 VivaC 86 MCと3位の65号車 LEON CVSTOS AMGが激しい争いをする中で、トップの4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGが逃げていくという展開に。

 GT500の74周目、最終コーナーで25号車 VivaC 86 MCがGT500にラップダウンされる際に、痛恨のスピン。それにより4位に後退。その結果3位に上がったのは9号車 GULF NAC PORSCHE 911(ジョノ・レスター/峰尾恭輔組、YH)。結局レースはそのままゴールすることになった。

3位の9号車 GULF NAC PORSCHE 911(ジョノ・レスター/峰尾恭輔組、YH)

 優勝は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、2位は65号車 LEON CVSTOS AMG、3位は9号車 GULF NAC PORSCHE 911、4位は25号車 VivaC 86 MC、5位は55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)となった。

GT300クラス表彰台。優勝は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG。ドライバーは、片岡龍也選手(中央左)、谷口信輝選手(中央右)
GT300暫定結果
順位号車車名ドライバータイヤ周回タイム
14グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH772h13'18.040
265LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥BS772h13'21.865
39GULF NAC PORSCHE 911ジョノ・レスター/峰尾恭輔YH772h13'21.865
425VivaC 86 MC松井孝允/山下健太YH772h13'39.939
555ARTA BMW M6 GT3高木真一/ショーン・ウォーキンショーBS772h13'40.602
610GAINER TANAX triple a GT-R富田竜一郎/吉田広樹DL772h13'40.382
73B-MAX NDDP GT-R星野一樹/高星明誠YH772h13'43.862
851JMS P.MU LMcorsa RC F GT3中山雄一/坪井翔BS772h13'44.876
933D'station Porsche藤井誠暢/スヴェン・ミューラーYH772h13'45.298
1031TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/久保凜太郎BS772h13'52.937
1187ショップチャンネル ランボルギーニ GT3細川慎弥/佐藤公哉YH772h13'56.714
1218UPGARAGE BANDOH 86中山友貴/川端伸太朗YH772h14'03.960
137Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒聖治YH772h14'04.914
1421Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/柳田真孝DL762h12'42.569
15360RUNUP GT-R柴田優作/田中篤YH762h12'42.614
16111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT石川京侍/山下亮生YH762h12'52.464
175マッハ車検 MC86 GTNET坂口夏月/藤波清斗YH762h13'38.662
1811GAINER TANAX AMG GT3平中克幸/ビヨン・ビルドハイムDL762h13'48.844
1988マネパ ランボルギーニ GT3織戸学/平峰一貴YH762h13'55.949
20117EIcars BENTLEY GT3井出有治/阪口良平YH762h14'09.096
2126TAISAN SARD R8 FUKUSHIMA山田真之亮/ジェイク・パーソンズYH752h12'41.255
2260SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田章/吉本大樹YH752h12'43.784
2335ARTO 86 MC 101ナタウッド・ジャルーンスルカワッタナ/ナタポン・ホートンカムYH742h13'12.247
2422アールキューズ SLS AMG GT3和田久/城内政樹YH742h13'36.775
2548植毛 GT-R高森博士/田中勝輝YH742h13'50.686
262シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH571h45'52.745
R50Ferrari 488 GT3都筑晶裕/新田守男YH491h22'10.543
R30TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH421h13'58.749
R61SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL361h02'54.398
R52埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC脇阪薫一/番場琢YH37'17.981