ニュース

公道を使用した本格的ヒルクライムイベント「御嶽スーパークライムVol.1」

国内はもとよりアメリカからも! 総勢88台のエントリーを集める

2019年4月20日 開催

「御嶽スーパーヒルクライムvol.1」X-tremeクラスの優勝は三枝重光選手(ゼッケン86 TOP1・M2ファクトリーBRIGランサー)。タイムはこの日最速の5分9秒2を計測

 BRIGヒルクライムチャレンジシリーズ 2019 第3戦「御嶽スーパーヒルクライムvol.1」が、長野県木曽郡にある御岳ロープウェイ駐車場周辺で4月20日に開催された。

 これは、一般公道を占有する形で開催される日本国内でも珍しいイベント。ヒルクライムというタイトル通り、設定された登坂道路のコースを1台ずつタイムアタックし、そのタイムを競うもの。

 年間を通じて行なわれているシリーズ(日本で唯一)となっており、基本的には木曽周辺で開催されるシリーズだが、今季はイベントの盛り上がりもあって、岐阜県恵那市、栃木県大田原市などでの特別戦が組み込まれ、シリーズは全8戦となる。今回のイベントはその第3戦となるが、2月の第1戦はポイント対象外の雪上でのイベントであり、第2戦は恵那での特別戦のため、御嶽でのヒルクライムはこの第3戦が今季最初の戦いとなる。

オープンAクラス(排気量1500cc以下)では珠玖和孝選手(ゼッケン64 DAC カプチ 木村自動車商会 BRIG/5分52秒6)がトップ(総合20位)
オープンBクラス(排気量2800cc以下)では、種治芳尚選手(ゼッケン73 DAC S2000 YRP/5分30秒8)が優勝
オープンCクラス(排気量2800cc以上)トップは坂本智大選手(ゼッケン79 小山SP BRIG ランエボ6/5分35秒5)
レース後のポディウム
クラス優勝者に贈られた盾

 今回のコースは、信州木曽御嶽山の7合目に上がる御岳ロープウェイ・鹿ノ瀬駅へのアクセス道路となる。御岳ロープウェイの通常営業期間は6月末から11月上旬で、ゴールデンウィーク期間(2019年は4月27日~5月6日)中にも特別営業を行なっている。そのゴールデンウィークの特別営業が開始される前に、道路閉鎖のタイミングを使って行なわれるもの。

 まだ道路脇のところどころに残雪があり、ゴールデンウィークの特別営業に向けて路面や路肩の改修を行なっている状況だが、その「町道 鹿ノ瀬2号線」の鹿ノ瀬温泉前からロープウェイ駐車場までの通行止め区間がこのイベントに使用され、そのうちの約4.2kmが計測区間となる。

御嶽スーパーヒルクライムは信州木曽御嶽山の御岳ロープウェイ・鹿ノ瀬駅へのアクセス道路で実施
ゴール地点のロープウェイ駐車場で参加車両の準備などが行なわれた
初年度登録が昭和63年以前の車両で争われるDクラスは、中野勝文選手(ゼッケン5 アクロス★AE86★トレノ/5分57秒5)が優勝

日本全国から88台が参加。さらに米国 パイクスピーク参戦者が友情参戦(?)

競技中の参戦車両

 片側1車線の計測区間は舗装表面にアンジュレーション(うねり)もあってなかなか難しいコースとなっている。このヒルクライムイベントでは練習走行というものはなく、事前に1本のチェック(下見)走行があって、2本の計測走行をするのみ。2回の走行のどちらかのベストタイムではなく、2本で計測した合計タイムで争われるため、1本もミスができないという常に集中力が求められる競技でもある。

 参戦車両は今回も実に多種多様。三菱自動車工業の「ランエボ」、そしてスバル「インプレッサ WRX」といったハイパワー4WDモデルから、ダイハツ工業「エッセ」のような軽自動車、さらには輸入車、“ヨタハチ”や“S800”といった旧車まで、バリエーション豊かな車両がパドックとなるロープウェイ駐車場に集まった。参戦車両はSタイヤの装着の可否でオープンとノービスに大きく分け、さらにドライビングスキル、車両年式でカテゴリ分け。排気量でも車両区分が細かく分けられ、全10クラスで構成される。

多種多様な参加車両が集まって行なわれるのがBRIGヒルクライムチャレンジシリーズの特徴

 このイベントではとくに大きなタイトルが掛かっているわけでもない。さらに、この長野県中信地方の西部に位置する木曽郡という場所は、クルマで東京から4時間半、名古屋からでも3時間半というなかなかアクセスの厳しいところである。それにもかかわらず、今回、北は北海道から南は大分県まで88台もの台数がエントリーしているほど盛況となっている。さらに、今回は米国からも参戦があった。

 ヒルクライムイベントといえば、1916年から開催されている長い歴史を持ち、「雲に向かうレース」という愛称で親しまれているパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(米国 コロラド州で毎年独立記念日前後に開催)が世界的にも有名だが、このBRIGヒルクライムチャレンジシリーズを運営するK'sFACTORYと、このシリーズに参戦を続けている小林昭雄選手(ゼッケン84 BRIG K's ポルシェ911GT3)が、2018年にパイクスピーク参戦を果たしている。

小林昭雄選手がドライブするX-tremeクラスのゼッケン84 BRIG K's ポルシェ911GT3。タイムは5分36秒9

 今回、このイベントに合わせて来日したVictor Khuns選手(米国 ニューメキシコ州在住)はパイクスピークに何度も挑戦している選手の1人。2018年にK'sFACTORYがパイクスピークに参戦したことをきっかけに交流が始まり、今回はK'sFACTORYから車両をレンタルして参戦が実現した。

 無事初参戦となったKhuns選手は「すばらしい体験だった。下見走行をしたら、練習走行がなくてぶっつけ本番のアタックで、とてもエキサイティングだった。今日のマシンは僕にとって初めての右ハンドル車で、競技中に3回も右手でシフトしようと間違いをしたよ。今回協力してくれたコ・ドライバー(Kelsey Johnson選手)は競技中にめちゃくちゃしゃべるし(笑)。でも、同じヒルクライム競技を楽しむ仲間といろいろ交流が持てて、日本に新しい家族ができたみたいでとてもよかった。僕はインプレッサ(GC8)マニアなんだけど、日本でGC8を1台購入して、K'sFACTORYさんに預かってもらおうと思っている。それがあればいつでもこのヒルクライムに参戦できるからね」と、このシリーズ戦への継続参戦を希望し、実行しようとしている様子であった。

Victor Khuns選手がドライブするX-tremeクラスのゼッケン80 PPIHC友情参戦 Mittchie Imprezza。タイムは6分9秒7

 周辺自治体の協力も得ながらすでにそれなりの歴史を重ねてきているBRIGヒルクライムチャレンジシリーズ。次戦は5月18日に「御嶽スーパークライムVol.2」を開催予定だが、道路の補修計画などとの調整がまだついていないということで、現在、関係各所との調整中。近く公式サイトで開催についての詳細が発表される。

ノービスKクラスは11台中9台がダイハツ エッセというエッセの激戦区。これを制したのは小木田大樹選手(ゼッケン18 くるま相談室ぺんぎんエッセBRIG/7分5秒8)
三戸英嗣選手(ゼッケン34 杉浦モータースBRIGスイフトスポーツ/6分10秒2)はノービスAクラス(排気量1500cc以下)で優勝
ノービスBクラス(排気量2800cc以下)は竹下陽介選手(ゼッケン43 TOOLBOX BRIG RX-8/5分53秒1)がクラス優勝
浅田剛史/布田健吾選手(ゼッケン52 BRIG TOOLBOX GRB/5分35秒8)がノービスCクラス(排気量2800cc以上)優勝