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PCデポ、トレーラーを用いた〝移動できる車両型店舗”オンライン説明会 2021年夏導入
「地域の駐車場や空き地など、さまざまな場所を定期的にデジタル最先端基地にする」と野島社長
2020年12月18日 09:15
- 2020年12月17日 発表
PC専門店の「PCデポ」」を運営するピーシーデポコーポレーションは12月17日、トレーラーにさまざまなデジタル機器を搭載して移動する車両型店舗「Connected Mobile Store(仮)」を2021年夏導入に向けて開発に着手したと発表した。
車両で出向く、地域の「デジタルよろず相談所」
PCデポはPCを販売する店としてスタートしたが、デジタル機器の困りごとや相談に応えるソリューション提案型へビジネスモデルをシフト。2018年にはソリューションサービスの売上構成比が62%に達するなど、通常のPC販売店とは違った展開をしている。
車両型店舗も同様で、PCを販売するのではなくデジタルのソリューションを街に提供することが目的。顧客からの相談を受ける中で、PCなどハードウェアを購入するとなった場合は、車両型店舗から通販サイトで購入してもらう方法をとるため、車両型店舗には基本的に在庫を搭載しない。
乗車するスタッフは、コンサルタントやエンジニアといったデジタルライフプランナーで、地域の「デジタルよろず相談所」を目指す。提供するサービスは、PCの設定や使い方などの相談のほか、PCの修理・購入、スマートフォンについての相談にも対応する。スマートフォンの相談では、電子マネー決済などの使い方相談なども受け付けるほか、携帯電話料金の節約相談なども対応する。
利用できるのは、Connected Mobile Store(仮)の有料会員やPCデポの既存サービスの各コースプレミアムメンバーシップとなるが、個人情報の詰まったデジタル機器を扱うため、認証などの問題から入会は店舗や車両型店舗の店頭に限られるという。
Connected Mobile Store(仮)の料金は入会金が5000円(税別)で月額利用料は未定。ちなみに既存サービスの各種コースの月額利用料は1000円からとなっている。
トレーラー型と一体型の2タイプを配備する
車両型店舗は、トレーラーとなる牽引型とトラックをベースにした一体型の2タイプを想定。2021年夏までに1号機を導入し、2021年度中に5台程度、その後はマーケットなどをみながら導入していく予定。3名程度が乗車し、決められた場所を定期的に巡回するほか、要望があればイベントなどに参加することもあるという。
ベース車両など細かなスペックは明らかにされていないが、さまざまなデジタル機器を搭載し、店舗と同じサービスをすることが可能。LTEや5Gの通信回線を持ち、Wi-Fiの提供もできるほか、300W以上の太陽光パネルと10kWh以上の蓄電池を持つため、災害時にこの車両を派遣して通信環境を提供することも可能だという。
また、相談のためのカウンターのほか、スタジオ設備やプロジェクターを搭載し、情報発信やオンラインクラスルームやワークショップの開催も可能。デジタルサーバーを持ち、オフライン状態でもWindows Updateといったコンピューターのソフトウェア更新もできる。
社会情勢から、感染予防対策についても注力。車両内の換気ができるほか、次亜塩素酸噴霧器まで備えた。
デジタルデバイドの解消としてPCデポのスタッフが家庭のデジタル担当に
オンラインで開催された発表会では、代表取締役社長執行役員の野島隆久氏が説明を行ない、「商品を売るというよりも、デジタルのソリューションを街に提供する」というコンセプトを説明。Connected Mobile Store(仮)は簡易型の販売店舗ではないことを強調した。
そのうえで「地域の駐車場や空き地など、さまざまな場所を定期的にデジタル最先端基地にする」とし、デジタルデバイドの解消を目指すとした。
野島氏によると、デジタルデバイドが発生する要因は「近くにデジタル担当者がいないこと。ご家庭にデジタル担当者がいればデジタルデバイドにならない」とし、一般家庭4軒のうち3軒はデジタル機器に詳しい“デジタル担当者”がいない状態だと指摘した。
PCデポの店舗では「すべてのお宅にデジタル担当を、というミッションを掲げ、当社では会員制のサブスクリプションをやり、会費を頂戴してお客さまの家のデジタル担当をやろうとしている」と説明。すでにPCデポの店舗では3~5人のチームが500~800世帯の家庭を担当しているとし、この状況から車両型店舗の導入につながったという。
さらに「移動型車両やスタッフを使いこなしていただくと、デジタル機器を使いこなさなくても、ある一定のことはできる」とし、デジタル担当としてサポートするサービスを提供する意義を説明した。
車両型店舗はトレーラーの牽引型とトラックをベースにした一体型が示されたが、このほかバンタイプ、バス型も検討中。現在、店舗展開をしている周辺から稼働させ、店舗よりもスピード感を持って展開するという。