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ルノー、新ロゴへの切り替えと共に電動化やソフトウエア化など「自動車のモダン化を実現するブランドになる」と表明

2021年5月6日(現地時間)開催

Renault Talk #1で講演するグループ・ルノー CEO ルカ・デメオ氏(イベントのオンライン配信を筆者キャプチャー、以下同)

2022年にC-SUVのHV、2024年にはPHEVを投入

 ルノーやアルピーヌなどのブランドを傘下に持つグループ・ルノー(以下ブランドも含めてルノー)は5月6日午後(欧州中央時間、日本時間5月6日夜)に、「Renault Talk #1」というオンライン記者会見を行ない、同社の新しいブランド戦略に関しての説明を行なった。

 この記者会見で、グループ・ルノー CEO ルカ・デメオ氏は「われわれは1月に自動車のモダン化(現代化)を実現していくと表明した。モダン化された自動車とは電動化だったり、スマートフォンのようにインターネットに常時接続され、ソフトウエアでアップグレード可能になっていたりする。そうした手段を活用して、顧客に新しい価値や期待を提供していくことだ」と述べ、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)などの電動化の実現や、OTA(On The Air)を利用してインターネット経由でソフトウエアをアップグレードすることにより自動車の機能を強化し、さらにはリサイクルの推進などにより持続的成長性(サステナビリティ)を実現するブランドになっていくというビジョンを表明した。

 さらに、同社の電動化ブランド「E-TECH」に基づいたHV、PHEVの拡張計画を明らかにし、C-SUVセグメント向けの3気筒 1.2リッターICE(内燃エンジン)+モーターで200PSのHVを2022年、4WDで280PSのPHEVを2024年に投入すると明らかにした。また、既にロシアで販売が開始されているCセグメントのSUVとなる「アルカナ(ARKANA)」、2020年の11月に概要が公表された新型「カングー(Kangoo)」を欧州で正式に投入すると発表した。

ルノー CEOが、電動化やソフトウエア化、持続的成長性などの自動車のモダン化を実現していくブランドになるとビジョンを表明

グループ・ルノー CEO ルカ・デメオ氏

 グループ・ルノー CEO ルカ・デメオ氏は「1月にわれわれは自動車のモダン化を提供していく会社になると表明した。では自動車のモダン化とは一体何か? 人によってはテクノロジーを活用した新しいアプリケーションだという人もいれば、コスト削減だという人もあり、さらには両方だという人もいる。しかし、それらは手段ではあって目的ではない。モダン化とは自動車で顧客に新しい価値と期待を提供することだ」と述べ、自動車のモダン化をより一層推進することで、顧客に対して新しい価値と新しい期待を生み出していくことが重要だと述べた。

 その上で「顧客にとっての新しい価値や期待とは、CO2の削減だったり、スマホのように常時インターネットに接続されており、クルマが寿命を迎えるまで日々機能がアップデートされていく、そうした世界だ。われわれが目指すところはルノーブランドがそうしたお客さまのニーズをより迅速に、よりよく提供していくブランドであると認知されることだ」と述べ、ルノーがITを積極的に導入し、スマホのように機能をソフトウエアの進化によりアップグレードしていくことを提供し、そして電動化を積極的に推進していくことでCO2排出の削減などを実現していく会社になるというビジョンを説明した。

 その具体例としては2030年には10車種のうち9車種までは電動化車両となり、また水素の導入も積極的に行なっているほか、2000人のデータ/ソフトウエア・エンジニアを既に雇用しており、ダッソーシステムやSTMicroelectronicsなどのIT企業と協力しながら、自動車のソフトウエア開発、サイバーセキュリティー対策を進めている。また、1000人のエンジニアがソフトウエア部門で働いており、ルノー向けのソフトウエア開発を行ない、OTAで機能のアップグレードができるような開発を進めているという。

 また、持続的成長性(サステナビリティ)の実現には、工場の変革を進めており、年間で12万台の自動車をリサイクルしてバッテリーなどの素材の再利用ができる体制を整えていて、それが実現するとフランスのGDPを80億ユーロ押し上げる効果が見込めるという。

 さらにルノーは、既にグローバル展開を終えているが、今後もそれをさらに推し進めていくとし、フランス以外にある16の工場で180万台を生産する体制を整えており、それはルノー全体の3分の2に相当するという。それにより「インド、ロシア、ブラジル、韓国などでの高いマーケットシェアを得ている市場でのプレゼンスを維持しながら、他の市場への展開も目指すことになる」とデメオ氏は解説した。

 そしてルノーとしては大胆な新しい製品展開も行なっていくと説明した。現在は製品がほとんどない“Cセグメント”や“Dセグメント”の製品を拡張していく計画で、「2025年までのC/Dセグメントにすべて電動化された7車種の展開を予定していて、その最初の製品がアルカナで、その後次世代の電動化、コネクテッド車となるメガーヌEが用意されている」というロードマップを紹介した。

 そして「われわれは欧州で最初にEVを導入するなど常に社会をリードする自動車メーカーであり続けてきた。ルノーブランドとは常に温かく、人間的なブランドであり続けてきた。われわれはこれからの重要ないくつかのレースで、ポールポジションではないかもしれないが少なくともフロントローからスタートする。これからもわれわれのブランドを成長させていきたい」と述べ、今後もルノーのブランド戦略を強化していくと説明した。

新たなブランドロゴはメガーヌ イーテック エレクトリックから採用

2022年に投入されるMegane E-TECH Electricから新ブランドロゴが採用される

 デメオ氏に引き続いて登壇したグループ・ルノー ルノーブランドデザイン担当 副社長 ジル・ヴィダル氏は、新しいルノーのブランドロゴを説明。ルノーのロゴといえば「ダイヤモンド・シェイプ」と呼ばれるブランドロゴが利用されてきた。直近では1992年に現在のロゴになったが、2021年の3月にこの新しいブランロゴを導入することを既に発表している。新しいブランドロゴはダイヤモンド・シェイプを維持したまま、フラットなデザインを採用しており、近年のブランドロゴのトレンドをフォローしたものになっている。ヴィダル氏は「この新しいロゴは2022年に投入される「メガーヌ イーテック エレクトリック(Megane E-TECH Electric)」に搭載される」と述べ、新しいロゴがメガーヌ イーテック エレクトリックから使われることを発表した。この他、欧州でのマーケティング戦略などに関しての説明も行なわれた。

グループ・ルノー ルノーブランドデザイン担当 副社長 ジル・ヴィダル氏
歴代のルノーブランドロゴ
新ブランドロゴ

 電動化に関しては、HV(ハイブリッド)とPHEV(プラグイン・ハイブリッド)など時間をかけて説明し、同じ欧州のメーカーでも、VW(フォルクスワーゲン)などのドイツブランドはHVやPHEVの話はほとんどせずに、いきなり一足跳びにEVの話をするのが通例だが、ルノーでは既に多くのHVやPHEVをラインアップとして持っており、HVやPHEVもしっかりとラインアップに入れて電動化の話をするというバランスのよさを強調する内容となった。

ルノーの電動化ブランド「E-TECH」のモデルは既に8モデルになっている
BセグメントのHVというくくりでは欧州全体で22%の市場シェアを持っており、フランスでは33%の市場シェア

 ルノーでは既に同社の電動化ブランドである「E-TECH」に対応したモデルとして8つのHV/EVモデルを市場に投入しており、最初の製品が投入されてから既に10年がたっていることにくわえ、既に市場には40万台が投入されていて、欧州のEV市場のリーダーであるとアピールした。ルノーによれば、BセグメントのHVというくくりでは欧州全体で22%の市場シェアを持っており、フランスでは33%の市場シェアを持っているという。

ハイブリッド規定が採用されているF1 パワーユニットの技術が市販車のHVにも生かされている
フェルナンド・アロンソ選手
エステバン・オコン選手

 また、電動化関連では150の特許(Patent)を持っており、2021年からアルピーヌF1のブランドで参戦しているルノーのF1活動も、そうしたE-TECHブランドの製品の開発に大きく役立っているとアピールした。なお、ビデオでアルピーヌF1チームの所属ドライバーであるフェルナンド・アロンソ選手とエステバン・オコン選手も登場し、E-TECHについてのアピールを行なった。

キャプチャー イーテック プラグインハイブリッド
メガーヌ セダン イーテック プラグインハイブリッド

 ルノーによれば、2020年には「クリオ イーテック ハイブリッド(Clio E-TECH Hybrid)」「キャプチャー イーテック プラグインハイブリッド(Captur E-TECH Plug-in Hybrid)」「メガーヌワゴン イーテック プラグインハイブリッド(Megane Wagon E-TECH Plug-in Hybrid)」が投入されたほか、2021年には後述する「アルカナ」、「キャプチャー イーテック ハイブリッド(Captur E-TECH Hybrid)」「メガーヌ セダン イーテック プラグインハイブリッド(Megane Sedan E-TECH Plug-In Hybrid)」などの電動化車両が合計6台提供される計画だと明らかにした。

グループ・ルノー エンジニアリング担当上級副社長 ジル・ル・ボーン氏

 さらにグループ・ルノー エンジニアリング担当上級副社長 ジル・ル・ボーン氏は「これらのE-TECHブランドの車両はスタートにすぎない。今後はC-SUVセグメントの車両に3気筒 1.2リッターエンジンとモーターのハイブリッド車両を提供していく計画だ。2022年に投入するハイブリッド車両は200PSを実現し、2024年投入する4輪駆動のPHEVでは280PSを実現する」と述べ、今後もHV、PHEVのラインアップを拡張していく計画であることを明らかにした。

アルカナの欧州への投入、新型カングーのフランスでの販売を改めて表明

 会見の後半でルノーは、2019年からロシアなどの一部地域で販売してきたアルカナの欧州への投入を改めて発表した。アルカナはクーペとSUVが融合したようなデザインを採用しておりCセグメントSUVに分類される車両となる。

 ルノーによれば自動運転やコネクテッドサービスなどにも対応しているほか、140PSを実現するHVパワートレインを搭載しており、都市を走る際であればその80%はEVモードで走行することが可能だという。それによりガソリンエンジン車に比べて燃料を40%削減することが可能になる。オーダーは5月から開始され、価格は6000ユーロから。納車は6月から開始される予定だ。

既にロシアの一部で販売されているアルカナ

仏ルノー、新型クーペクロスオーバー「アルカナ」世界初公開 2019年にロシアに導入後、他の市場でも発売

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1140437.html

 もう1つは、既に4月28日に発表されている新型カングーの欧州への投入についても改めて言及した。カングーは日本でも人気を集めているミニバンで、今回の会見でも日本で行なわれているユーザーイベント「ルノー カングー ジャンボリー」の様子が紹介された。なお、「2021年のルノー カングー ジャンボリーは秋に延期して開催される」ことがルノー・ジャポンから発表されている。また、新型カングーについては、2020年11月に概要が発表されている。

新型カングー
新型カングーの紹介では、日本で行なわれたユーザーイベント「ルノー カングー ジャンボリー」の様子が紹介された

ルノー、新型「カングー」初公開 バンをセンターピラーレス化して2021年春発売予定

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1288907.html

 ルノーによれば新型カングーは5シートないしは7シートで、リアの荷室は49Lの容量になっており、設定によっては最大3500Lのフラットベッドストレージを実現する。なお、販売はフランスで6月から開始される予定で、2022年にはフルEVモデルの追加も予定されている。