ニュース
Micron、読み込み速度が2倍になった128GB/256GBのUFS 3.1対応車載ストレージ
2021年6月2日 10:10
- 2021年6月2日 発表
Micron Technology サンジェイ・メロトラCEOは、5月31日~6月30日(台北時間)にオンラインで開催されている「Computex Taipei 2021 Virtual」の分科会「2021 COMPUTEX Forum」オープニング基調講演に登壇。同社のビジョンや新製品などに関しての講演を行なっている。
Micronはその公演中に報道発表を行ない、同社の最新製品として車載向けUFS 3.1対応フラッシュメモリを発表した。Micronによれば、従来製品に比較して読み込み速度は2倍に、書き込み速度は50%向上する。サンプル出荷は既に開始されており、第3四半期(7月~9月期)に量産出荷が開始される。
2025年には4倍の36億ドルになると予想されている車載NANDストレージ市場
CASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)という言葉で代表されるように、自動車のデジタル化は進展する一方だ。以前であれば、IVI(In-Vehicle Infotainment system)にスマートフォンと同じようなSoC(System On a Chip)が搭載されている程度だったが、現代の自動車にはメータークラスターのデジタル化、ドライバー支援機能(ADASなど)にもコンピュータの機能が搭載されており、SoCやメモリ、ストレージといったデバイスが当たり前のように使われている。
その中でも車載NANDストレージは今後大きく成長が期待されるジャンルのデバイスとなっている。Micronによれば2020年の市場規模が9億ドルであったのに対して、2025年には36億ドルと4倍近い成長が見込まれるという(市場調査会社Yole Développement調べ)。
成長が見込まれる理由は2つある。1つはADASや自動運転では、カメラやレーダー、LiDARなどから得られたデータをリアルタイムに処理しながら、ステアリング、アクセル、ブレーキなどに介入し、自動車自身が運転を行なう。そのときに処理するデータはストレージ上に置かれることになるので、より大容量の車載ストレージが必要になると考えられている。
もう1つは自動運転の普及により、IVI経由で提供される車載エンタテイメントの市場が今後拡大すると考えられているからだ。レベル4、レベル5など完全に自動車の運転制御が車載システム側に渡されるような自律運転が実現すると、ドライバーは運転席に座っていても前を見たり、ステアリングを握ったりしている必要がなくなる。また、そもそもレベル5のように、完全自動運転では運転席すらない自動車というのが実現する。そうなると運転手は「乗客」になるので、自動車に乗っている間の時間を消費するためにコンテンツの配信ビジネスなどがより活発化すると考えられている。
このため、スマートフォンやタブレットなどがそうであるように、映画や電子書籍などのコンテンツをダウンロードして保存しておくためのローカルストレージの容量が増えていくと考えられているし、今後5Gなどの高速な回線が普及して高速にローカルにダウンロードすることを考えると、高速なストレージが車載でも重要になっていくと考えられているのだ。
従来製品に比べ読み込み速度は2倍に、書き込み速度は50%向上した業界初の車載UFS 3.1ストレージ
今回Micronが発表したのはUFS(Universal Flash Storage)というスマートフォンなどで一般的に利用されているストレージ規格「UFS 3.1」に対応した車載ストレージだ。Micronによれば車載向けのUFS 3.1ストレージは業界初の製品で、従来規格のUFS 2.1に準拠したストレージと比較して読み込み速度は2倍になり、書き込み速度は50%向上するという。
フラッシュメモリは96層NANDを利用しており、容量は128GBと256GBの2つのSKUが用意される。幅広い温度要件や長期間の提供といった車載グレードとしての条件は満たしている。
Micronによれば、今回の車載UFS 3.1製品は、米国の半導体メーカーQualcommが提供する次世代の「Qualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platform」において最適化が実現されているという。今回発表された製品はすでにサンプル出荷が開始されており、2021年第3四半期(7月~9月期)に量産出荷を開始する見通しだ。