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先進安全技術の普及による事故減少などで、損保料率機構が自動車保険参考純率を平均3.8%引き下げ

2021年6月30日 発表

参考純率の改定の例。参考純率のため実際の保険料の改定率とは異なる可能性がある

 損害保険料率算出機構は6月21日に自動車保険参考純率の変更に関する届出を金融庁長官に行ない、6月30日に「損害保険料率算出団体に関する法律」第8条の規定に適合している旨の通知を受領したと発表した。この変更内容は、自動車保険の参考純率について平均で3.8%引き下げ、料率区分ごとの較差(割増引率)の見直し、自動車保険の参考純率を算出する対象に人身傷害保険を追加などとなっている。

 損害保険料率算出機構は、損害保険会社各社が会員となって構成されており、各種保険料の元になる参考純率の算定を行なっている。各保険会社はこの参考純率に保険会社の事業継続に必要な費用やなどの付加保険料率を加えて保険料を算出している。そのため、この参考純率の引き下げが各保険会社の保険料に直接反映されるわけではないが、商品構成のベースとなる部分の引き下げだけになんらかの反映が行なわれていくものと思われる。

 損保料率機構は、この引き下げの背景に衝突被害軽減ブレーキなど先進安全技術の普及を背景に交通事故が減少していることを挙げている。この参考純率は2022年以降に収支が均衡するように算出したとしており、コロナ禍による影響反映は行なっていないという。

 また、両立区分ごとの較差も見直し。等級ごとの割増引率では無事故の9等級~19等級の割引を拡大。それ以外では割引率を縮小および割増率を拡大している。ただし、最も契約者の多い無事故の20等級(上限)については63%引きで変更はない。

 そのほか、自動車保険の参考純率を算出する対象に人身傷害保険を追加。この背景には人身傷害保険の普及があるとし、従来の定額保障のほか損害額による保障を設定できるようになる。

等級による割引率。損害保険料率算出機構による参考純率