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「レクサス高輪」の不正車検、トヨタとトヨタモビリティ東京が記者会見

2021年7月20日 発表

トヨタモビリティ東京株式会社 代表取締役社長 関島誠一氏

 トヨタ自動車とトヨタモビリティ東京は7月20日、トヨタモビリティ東京が運営する「レクサス高輪」において行なわれた不正車検に関して記者会見を実施。同会見に、トヨタモビリティ東京 代表取締役社長 関島誠一氏と同 常務執行役員 板垣俊美氏が出席。また、トヨタ自動車 国内販売事業本部 本部長 佐藤康彦氏が出席して不正車検の内容について話した。

 レクサス高輪では、6月17日に国土交通省関東運輸局 東京運輸支局による監査が行なわれ不正車検が発覚。レクサス高輪では過去2年間、対象台数565台について、5つの検査項目で不正が確認され、再検査が必要になるという。

 具体的な不正内容としては、「ヘッドライトの明るさ」「フロントタイヤの角度」「パーキングブレーキの効き」の検査項目で、基準を満たす値に書き換えが行なわれ、「排気ガスの成分」「スピードメーターの精度(誤差)」の検査項目では検査を実施しなかったとしている。

左からトヨタ自動車 国内販売事業本部 本部長 佐藤康彦氏、トヨタモビリティ東京 代表取締役社長 関島誠一氏、同 常務執行役員 板垣俊美氏

 同会見の冒頭に、トヨタモビリティ東京 代表取締役社長 関島誠一氏は「レクサス高輪におきまして指定整備において一部の検査が行なわれていなかった事実が認められましたことをご報告致します。レクサス高輪のオーナーさま、また弊社の多くのお客さま、お取引先各社の皆さまの信頼を損なう結果となり大変なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した。

 今回の不正車検について、関島氏は「6月17日、レクサス高輪において国土交通省関東運輸局 東京運輸支局による監査が行なわれ車両の継続検査、いわゆる車検につきまして、ご指摘を受けました。車検は大きく点検整備と検査の段階があり、点検整備については問題のないことを確認いただきましたが、検査の領域において5つの項目について追加調査のご指示を受けました。調査の結果、565台について基準を満たす値に書き換えた車両や、一部の検査を実施しなかった車両があったことが判明いたしました」と報告。

 具体的な不正内容について、関島氏は「例えば、ヘッドライトの明るさの計測についてご説明をさせていただきますと、ライトの点灯確認や傷のチェックなどの点検整備は実施しておりました。しかし、明るさが基準値に入っているかどうかの検査では書き換えをしておりました。これら5つの検索項目において、レクサス高輪の検査員、エンジニアほか、関係者への聞き取り調査を行なった結果、検査員4名から計測した数値を書き換えた、あるいは検査を実施しなかったという事実が確認されました」と説明した。

 同社では、さらに詳細な調査を行ない疑わしき車両を含めて565台について再検査が必要であると特定。この対象車両のユーザーには速やかに個別に連絡をして無償で再検査する考え。

 今回の不正車検の背景について、関島氏は「今日までなぜ不正が生じてしまったかについて、トヨタ自動車の力も借りながら会社をあげて検証して、原因追求の作業を進めてまいりました。要因は2点あると考えております。まず1つは増加する仕事の量に対してエンジニアを中心とした、人員や設備の増強が追いついておらず、慢性的に負荷の高い状況が続いていたことです。2つ目は決められた時間内に車検を終わらせることが目的となってしまっていたことです。1台1台のクルマには車種や走行距離、日々の使われ方や車両の状態などで必要な作業時間が異なります。にもかかわらず、当初予定された時間で仕上げることを最優先にしてしまい、今回の不正に繋がりました」と述べた。

 関島氏は「安全安心なクルマの整備に必要な、追加作業にかかる時間や費用を今後はお客さまにしっかりとご説明してまいります。レクサス高輪のオーナーの皆さま、ひいては弊社を信頼しておクルマをご用命いただいている大変多くのお客さまには多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。まことに申し訳ございませんでした」とあらためて謝罪の言葉を述べた。

ネッツトヨタ愛知による不正を受けた総点検活動後の不正発覚

 トヨタ系列の販売店では、ネッツトヨタ愛知が運営する「プラザ豊橋」において、2020年12月22日に行なわれた国土交通省中部運輸局 愛知運輸支局による監査において、継続検査(車検)に関わった同店舗の自動車検査員への確認により、指定自動車整備事業について道路運送車両法に違反する事実が判明している。

 同店舗では過去2年間に車検整備を行なった車両を対象に社内調査を行なった結果、法令違反行為が確認された。2018年12月22日~2021年1月13日に、対象台数5158台において保安基準適合証及び同標章を不適切に交付していたこと、指定整備記録簿の記載が不適切であったことが確認された。これにより、プラザ豊橋における指定整備業務の取消、プラザ豊橋における自動車検査員の解任という行政処分が下されている。

 メーカーの立場となるトヨタ自動車においても、ネッツトヨタ愛知による不正事案を受けた取り組みを実施。これまでにトヨタの全販売店における総点検活動を販売店の自主活動として行なってきたという。そうした総点検活動後に、新たにレクサス高輪の不正が発覚した。

トヨタ自動車株式会社 国内販売事業本部 本部長 佐藤康彦氏

 トヨタ自動車 国内販売事業本部 本部長 佐藤康彦氏は「4月の愛知県のネッツ愛知の不正問題を受けまして、トヨタ全販売店258社でもう一度、法令違反、職場でのコミュニケーション、職場での環境をあらゆる総点検活動を販売店の自主活動として行ない、これはすべて終わっております」と報告。

 そうした活動後に発覚した新たな不正に、佐藤氏は「しかしながら、今回こういう事案も発生しました。今、メーカーの人間も一緒に入りながら、もう少し実態を調べる、悩みを聞くという活動に入りました。昨日までに、258社の内でそういう実態を調べるため、メーカーと販売店が一緒になって現場でやっております」とあらためて調査活動に入ったことを報告。信頼回復に向けた調査活動を、今月中には全国4600のサービス工場について展開していく考えを示した。

 新たに行なう調査では、なぜそういうことを現場の人間が行なわざる得なかったかといった背景など、そうした観点で調査を行なうといい、佐藤氏は「これからの信頼回復に向けて、オールトヨタ販売店を含めて一丸となってお客さま、そして世の中の方に対する信頼回復の取り組みのスタートと位置付けて、今回は本当にゼロベースで、あらゆるメカニックの苦労も含め、そうした取り組みに一歩一歩着実に続けてまいりたいと考えております」と述べた。