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CES2022で、ヴァレオ製品搭載バッテリEV「フォルクスワーゲン ID.4」に試乗 ヴァレオは近距離向けソリッドステートフラッシュLiDARをクリストフ・ペリヤ氏が発表

ヴァレオ製品を搭載したバッテリEV「フォルクスワーゲン ID.4」。CESで試乗した

 フランスのティア1部品メーカー「ヴァレオ」は、CES 2022で対面プレスカンファレンスと展示を予定していたが、2021年末のCOVID-19の米国での感染拡大などを受けて予定を変更。プレスカンファレンスはフランスからのオンライン配信に切り替え、展示は米国のスタッフにより行なった。

 新しくできたラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)西館の向かいにあるレストランの駐車場に設置されたヴァレオのブースでは、ヴァレオとシーメンスの合弁企業となるヴァレオシーメンスeオートモーティブが製造したパワートレーンを搭載した「メルセデスベンツ EQS」、さらに同じくヴァレオシーメンスeオートモーティブが開発したバッテリサーマル管理システムを搭載したフォルクスワーゲン ID.4などが展示されていた。

 また、オンラインで行なわれたカンファレンスでは近距離をカバーする「ソリッドステートフラッシュLiDAR」が発表され、すでにホンダのレベル3自動運転車などに採用されているヴァレオの前方用LiDARなどに加えて、側面などにこの近距離用のソリッドステートフラッシュLiDARを採用することで、さらに安全性を高めることが可能になるとした。

オンラインでプレスカンファレンスを行なったヴァレオ 副CEO クリストフ・ペリヤ氏。ペリヤ氏は2022年1月26日にCEOに就任する

側面の検知用として近距離向けソリッドステートフラッシュLiDARを発表

 ヴァレオが1月4日(現地時間)にオンラインで開催したプレスカンファレンスでは、同社 副CEO クリストフ・ペリヤ氏(2022年1月26日にCEOに就任)がビジョンなどについて説明した。ペリヤ氏は「自動車産業はかつてない革命の中にあり、よりクリーンで、安全で、自律的で、コネクテッドな自動車になり、多くのユーザーのニーズを満たそうとしている。そして今はさらにそれがインテリジェントになりつつある。その中でヴァレオはソリューションを総合的に提供するメーカーになっていきたいと思っており、電動化、ADAS、LiDAR、ライティング技術、インテリアインテリジェンスなどを提供していく」と述べ、ヴァレオは今後電動化やコネクテッドなどを総合的に提供するメーカーになっていくと述べた。

電動化
電動化向けにヴァレオが提供しているソリューション

 なかでもペリヤ氏が時間を割いたのは電動化部品とLiDARだ。電動化に関しては、ヴァレオとシーメンスの合弁企業となるヴァレオシーメンスeオートモーティブが製造しているパワートレーンを搭載した車両としてメルセデス・ベンツ「EQS」が紹介されたほか、バッテリEV車両で高性能を実現するための鍵となるバッテリサーマル管理などに関して数々のソリューションを有していることが強調された。

近距離をカバーする「ソリッドステートフラッシュLiDAR」
ADAS向けのソリューション

 今回のCES 2022では「ソリッドステートフラッシュLiDAR」を開発したことが発表された。一般的なLiDARは上下左右にレーザー光を照射するために機械的な動作を伴うユニットが入っており、可動部を確保するためにある程度の大きさを確保する必要があるほか、可動部があることで故障の可能性が増えるというデメリットがある。ソリッドステート型のLiDARでは、レーザー光を照射するレンズなどを工夫することで可動部を廃止しているのだ。可動部分がないため、一般的なLiDARなどよりもユニット全体を小さくすることが可能になる。

 今回ヴァレオが発表したソリッドステートフラッシュLiDARは、自動車の側面などに装着して、近距離をカバーするものとなる。このLiDARを使うことで、周囲360度の状況を距離情報とともに把握できるようになり、自動運転時の安全性がより向上することになる。

実際にラスベガスの街を走っているヴァレオ車両からのデータを元にバーチャル世界に再現されたラスベガスをタブレットなどで楽しむサービスも提供

ヴァレオブースではフォルクスワーゲン「ID.4」やメルセデスベンツ 「EQS」などのテストドライブを実施

ヴァレオブース、メルセデスベンツ「EQS」など展示

 ヴァレオブースでは、ヴァレオとシーメンスの合弁企業となるヴァレオシーメンスeオートモーティブが製造したパワートレーンを採用したメルセデスベンツ「EQS」、そして同じくヴァレオシーメンスeオートモーティブが提供しているバッテリサーマル管理システムを搭載しているフォルクスワーゲン「ID.4」が展示されていた。

フォルクスワーゲン「ID.4」に描かれていたヴァレオシーメンスeオートモーティブのロゴ
ID.4に採用されているバッテリーサーマル管理システム

 今回筆者はフォルクスワーゲン ID.4を試乗してみた。ヴァレオがこのID.4に提供しているバッテリサーマル管理システムは、必要に応じてバッテリを冷却し、一定の温度を保つことでバッテリが劣化することや性能が低下することを防ぐシステムになる。

 バッテリは内部で化学反応をしながら蓄電や放電を絶え間なく行なっており、必要以上に温度が上がりすぎても、下がりすぎても、化学反応が正しくできなくなり、内部の素材も急速に劣化してしまう。例えば、急速充電中には熱が発生してしまうので、その熱を正しく放熱することが寿命を延ばすためにも、本来の性能を発揮するためにも必要になる。

ステアリングまわり
車載情報システム
シフトスイッチ
ラゲッジルーム

 ヴァレオのサーマルシステムを搭載しているID.4を、ラスベガスの公道で走らせてみたが、アクセルONにシンクロして非常にスムーズな加速をしていることを感じられた。コクピットまわりも非常にバッテリEVらしいデザインになっていた。メーターはフルデジタルで、ステアリングコラム右側につけられたシフトスイッチも慣れると使いやすそうだと感じた。