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奥川浩彦のキヤノン「EOS R7」でモータースポーツを撮ってみた(前編)

キヤノン「EOS R7」で撮影。モータースポーツ撮影に向いたEOS R7のレビューをお届けする

 2022年5月、キヤノンから新型ミラーレスカメラ「EOS R7」が発表された。発売は6月下旬。販売開始から3か月以上経っても品薄が続く人気で、Car Watchのモータースポーツファンには気になるカメラだろう。筆者は富士スピードウェイで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦(7月)、SUPER GT第4戦(8月)、鈴鹿サーキットで開催されたSUPER GT第5戦(8月)をEOS R7で撮影。実際に撮った作例を紹介しつつ、EOS R7について、前編と後編の2本に分けてお伝えしていく。

 EOS R7はRFマウントを採用したEOS Rシリーズ初のAPS-Cセンサー搭載機で、フルサイズセンサー搭載機に対し換算焦点距離(画角)が1.6倍となる。そのため望遠レンズを多用するモータースポーツの撮影ではアマチュアからプロまで注目度は高い。

「EOS R7」と「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」「RF24-105mm F4 L IS USM」

 撮像素子は新開発の約3250万画素デュアルピクセルCMOSセンサーを搭載し、解像度は6960×4640ピクセル。画像処理はEOS R3と同じDIGIC Xが採用されている。EOS R3と同様なAFアルゴリズム「EOS iTR AF X」を継承し、人物、動物優先、乗り物優先といった被写体検出が可能だ。

 連写性能はメカシャッターと電子先幕の設定時は最高約15コマ/秒。電子シャッター設定時は、最高約30コマ/秒を実現している。メカシャッターと電子先幕の15コマ/秒はEOS R3の12コマ/秒を上回る。

 このように主なスペックを見ると「モータースポーツの撮影に最適」と感じられる。EOS R7ボディの実勢価格は20万円弱。デジタル一眼レフカメラのEOS 20D……90Dなどの二桁EOSやEOS 7D、7D Mark IIなどと同等な価格で、初心者からハイアマチュア、プロカメラマンのサブ機などとして注目度が高まるのは当然だろう。

ミラーレスで流し撮りはできるのか

 細かな話しをする前に3戦で撮ったEOS R7の絵を見ていただこう。いずれも1920×1200ピクセルに加工してそれぞれの記事で掲載したものだ。

全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦(富士スピードウェイ)で撮影
SUPER GT第4戦(富士スピードウェイ)で撮影
SUPER GT第5戦(鈴鹿サーキット)で撮影

 筆者が一眼レフからミラーレスに移行する際の疑問・不安は「EVF(電子ビューファインダ)で流し撮りはできるの?」だったが、実際に撮ってみると問題ないことが確認できた。画質も「なんか綺麗」と言うのが第一印象だ。SUPER GT第4戦、第5戦のフォトギャラリーにEOS R7で撮った写真が数多く掲載されているので、読者の目で確認いただきたい。

 3レース撮ってみて、流し撮り時の被写体の見え具合、追いやすさは一眼レフのそれとは異なる。設定によっても差があるのでどちらがよいとは言いきれない。それなりに撮れているので、慣れれば一眼レフもミラーレスも差はないように感じている。

被写体追尾

 従来の一眼レフとミラーレスの大きな差はAFシステムだ。一眼レフは数個から数十個の測距点を利用してオートフォーカスを行なう。筆者が使用してきたEOS20D、40Dは9点、EOS 7Dは19点、EOS 7D Mark IIは65点。図はEOS 7D Mark IIのファインダー図で、測距点が中央付近によっていて、上下左右、四隅などはAFを利用することができない。

EOS 7D Mark IIのファインダー内表示

 ミラーレスはほぼ全面でAFを利用することができる。EOS R7の場合AFフレームは横91×縦65、最大5915ポジションと一眼レフの測距点とは比較にならない。例えば1点AFに設定して撮影する場合、上下左右、四隅まで、任意の位置にAFフレームを移動させてAFによる撮影が可能だ。

 EOS R7のAFシステムで特徴的なのは人物、動物優先、乗り物優先といった被写体検出と、検出した被写体を追尾(トラッキング)する機能だ。モータースポーツの撮影なら乗り物優先に設定すると被写体となるマシンを認識してAFフレームがずっと追尾をしてくれる。

 被写体追尾のイメージを動画で見ていただきたい。Digital Photo Professionalの画面をつなげたもので、AFフレームが赤枠で表示されている(実際のファインダー内では青枠で表示される)。

キヤノン EOS R7 被写体追尾イメージ

 ストレートを走るマシンをはるか遠くの位置で被写体検出し、AFフレームが追従を開始する。その後は連写を続けるとマシンがレコードラインを変えてもAFフレーム追従を続け撮ることができる。フレーミングを変えることなく撮影ができるので、右側のグランドスタンド、その奥のホテル、左側のピットビルなどをフレーミングを維持したまま連写が可能だ。

 従来の一眼レフの1点AFによる撮影では、連写中にAFポイントを変更することは難しい。このシチュエーションでは右下のAFポイントを選択し、その位置にマシンが来たらシャッターを切る。単独走行であればマシンは想定したレコードラインを通るが、スタート直後やバトルになるとマシンが左右にラインを変えるので撮影の難易度が高くなる。

 こうした撮影では被写体追尾を利用すれば難易度は大幅に下がる。観客席からの撮影でも富士スピードウェイのコカ・コーラ進入、鈴鹿サーキットのスプーン進入、モビリティリゾートもてぎのS字進入などの撮影では被写体追尾の恩恵がありそうだ。

 被写体が遠いとマシン全体を検出するが、近くなるとフォーミュラカーではヘルメットを検出する。Haloの隙間からヘルメットにピントを合わせてくれるのはなかなか凄い。

マシン全体を検出
ヘルメットを検出

 流し撮りの際もAFエリアが移動・変形してヘルメットを検出する。ありがたい半面、スイング中にファインダー表示が突然切り替わるので、気が散るというデメリットもある。

ヘルメットを検出していたAFエリアが……
スイング中にマシン全体を検出することもある

 GTカーでは流し撮りの際は被写体追尾をオフにして、1点AFで撮影している。フォーミュラカーに関しては、もう少し試行錯誤をして最適な設定を見つけたい。

GTカーの流し撮りは1点AFを使用

高感度ノイズ

 細かなところを確認していこう。一般的にデジタルカメラは高画素化すると、撮像素子の1つ1つの受光部が極小化し高感度ノイズが増える傾向がある。その逆にテクノロジの進歩により、新しいデジタルカメラ(=撮像素子)は高感度ノイズが減る傾向がある。

 ISO 100からISO 25600まで1段ずつ感度を変化させた写真を見てみよう。結果は極めて優秀。テクノロジの進歩に驚かされた。ISO1600まではEXIFのデータで確認しないと分からないレベルだ。どこまでを許容範囲とするかは個人個人の判断となるが、筆者としてはISO 12800までは許容範囲だ。

 国内のレースイベントで夜間の撮影は富士24時間、鈴鹿8耐など限られているが、サーキット以外の航空機、鉄道などの撮影でもEOS R7の高感度ノイズの少なさは威力を発揮しそうだ。

ISO 100からISO 25600まで1段ずつ感度を変化(サムネイルはヘルメット部分を拡大、クリックして元写真表示)

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

小絞りボケ

 高感度ノイズとあわせ高画素化=画素ピッチが小さくなることで懸念されるのは小絞りボケだ。高感度ノイズに関しては極めて優秀で、サーキット撮影でノイズを気にすることはなさそうな結果となった。小絞りボケは光の回折により画素ピッチにより一定の絞り値以上は絞れば絞るほどボケるというものだ。

 画素ピッチから計算により小絞りボケが発生する絞り値を求めるとAPS-CセンサーではF5.6~F8、フルサイズセンサーでもF8~F11から発生するが、実際に撮影で確認すると少しゆるめでF16くらいまでは問題なく使用できることが多い。

 モータースポーツの撮影では流し撮りでスローシャッターを切ることが多く、晴れた日にスローシャッターを切ると絞りはF22、F32となることがある。理論値とは別に自分のカメラがどの絞りからボケが目立つかを知っておくと実践で役に立つ。小絞りボケの影響をテスト撮影などで確認しておきたい。

 EOS R7で絞りをF5.6/F8/F11/F16/F22/F32で撮影してみた。EOS R7の小絞りボケの影響を確認してみよう。

中央部を切り抜いてサムネイル掲載(クリックして元写真表示)

F5.6
F8
F11
F16
F22

 ヘルメット周辺を見てみよう。予想どおりF16からシャープさが失われて、F22はグッとボケ始め、F32ではボケボケとなる。スローシャッターの撮影は、被写体ブレが避けられないので小絞りボケに神経質になる必要はないが、気になる人は絞りがF16を超えるときはNDフィルターを利用したい。

 ただし小絞りボケが気になるのは等倍に拡大した場合で、フルHDのディスプレイに画像全体を表示する程度であればボケに気付くことはない。絞ることで被写界深度は深くなるので左奥のヘルメットのNELSON PIQUEの文字はF16→F22→f32とボケが減っていく。写真の利用目的によって使い分けたい。

連写性能

 EOS R7の魅力の1つが連写性能だ。連写速度の設定は「高速連続+」「高速連続」がありメカシャッターは「高速連続+」で15コマ/秒、「高速連続」で6.5コマ/秒、電子シャッターは「高速連続+」で30コマ/秒、「高速連続」で15コマ/秒となっている(いずれも最大コマ数)。

 連写性能は高速シャッターを切ったときの枚数で、シャッター速度が1/8秒、1/15秒で30コマ/秒は不可能。実際にはシャッター速度が遅くなると徐々に連写枚数は少なくなる。実測してみよう。実際の撮影ではAFの動作、絞り込みの動作が加わると枚数は微減する可能性はあるが、絞りは開放、フォーカスはマニュアルでシャッター速度を1/1000秒、1/500秒……1/15秒まで変化させて連写し、Exifのデータでコマ数を確認してみた。

連写性能

シャッター速度高速連続+高速連続
種別"メカシャッター""電子シャッター""メカシャッター""電子シャッター"
1/100015.030.06.515.0
1/50014.830.06.415.0
1/25014.130.06.315.0
1/12513.630.06.214.2
1/6012.330.05.912.8
1/3010.330.05.410.6
1/157.816.04.68.0

 実測値を見ると「高速連続+」のメカシャッターはシャッター速度1/1000秒で15コマ/秒。徐々に減って1/30秒で10.3コマ/秒となった。EOS 7D Mark IIやEOS 90Dが最大10コマ/秒であることを考慮するとなかなかの連写性能だ。

 驚くべきは「高速連続+」の電子シャッター。シャッター速度1/30秒まで30コマ/秒。電子制御だから当たり前なのだろうが、これまでの一眼レフでは考えられないスペックどおりのコマ数が撮影できた。1/15秒で16コマ/秒。これも理論値どおりだ。念のために付け加えると古くからなじみのあるシャッター速度の表記は実際のシャッター速度に近い数値でまるめてある。実際のシャッター速度は1秒から1/2ずつ推移するので、1/8、1/16、1/32、1/64、1/128、1/256、1/512、1/1024秒で動作している。

「高速連続」のメカシャッターは6.5コマ/秒から徐々に減っていく。「高速連続」の電子シャッターはスペックどおり15コマ/秒の動作は可能と思われるが、意図的に「高速連続+」のメカシャッターに合わせるように連写枚数が減っている。

「高速連続+」の電子シャッターはスペックどおり。「高速連続+」のメカシャッターと「高速連続」の電子シャッターはほぼ同じ連写性能

高速なメモリカードでも追いつかない

 連写性能が向上したEOS R7だが、撮影スタイルによってSDカードの書込速度が追いつかないことがあった。実測した結果を見ていただこう。計測方法はスマホのストップウォッチをマニュアルフォーカス、絞り開放で1分間連写。SDカードへの書き込みが追いつかずバッファフルになると連写が一時停止する。ここまでの枚数を「連続撮影枚数」とした。

 一時停止の後は、数枚連写、一時停止を繰り返す。1分間シャッターボタンを押し続け撮れた枚数を「1分間枚数」、最後の1枚の撮影から書き込みまでの時間を「書込時間」とした。いずれも撮影されたスマホのストップウォッチの表示で1分間を計測、EXIFのデータで連写の一時停止、書込時間を計測した。

計測に使用した3種類のSDカード

「高速連続+」のメカシャッター、電子シャッター、「高速連続」のメカシャッター、電子シャッターの4つの設定でそれぞれJPEG(ラージ)、JPEG(ラージ)+RAWで撮影。用意したSDカードは95MB/s(UHS-I)、250MB/(UHS-II)s、300MB/s(UHS-II)の3種類だ。

SDカード比較データ 高速連続撮影+

高速連続撮影+メカシャッター電子シャッター
フォーマットJPEGRAWJPEGRAW
95MB/s連続撮影枚数148447738
95MB/s1分間枚数579131530112
95MB/s書込時間 秒1127825
250MB/s連続撮影枚数165447139
250MB/s1分間枚数627182544174
250MB/s書込時間 秒716715
300MB/s連続撮影枚数163477839
300MB/s1分間枚数624301550303
300MB/s書込時間 秒7878

SDカード比較データ 高速連続撮影

高速連続撮影メカシャッター電子シャッター
フォーマットJPEGRAWJPEGRAW
95MB/s連続撮影枚数5016243
95MB/s1分間枚数388123533123
95MB/s書込時間 秒0271228
250MB/s連続撮影枚数5615844
250MB/s1分間枚数388180596181
250MB/s書込時間 秒01666
300MB/s連続撮影枚数11115846
300MB/s1分間枚数388322596305
300MB/s書込時間 秒0866

「高速連続+」JPEGのメーカーの公称値はJPEGラージで約184枚(UHS-I)、約224枚(UHS-II)となっているが、筆者の計測ではJPEGの連続撮影枚数は最大165枚となった。、JPEG(ラージ)+RAWはメーカーの公称値、約46枚(UHS-I)、約51枚(UHS-II)に対し最大47枚となった。

 一時停止することなく連写ができたのは「高速連続」のメカシャッターでJPEGのみ。6.5コマ/秒であればバッファフルになることがないが、6.5コマ/秒では物足りない印象だ。最低限300MB/s(UHS-II)のSDカードを用意し、シャッターボタンを押しっぱなしにするような連写は避けたい。

電子シャッターとローリングシャッター歪み

 SDカードの書き込み速度が追いつかない懸念はあるが、電子シャッターによる30コマ/秒は驚異的だ。モータースポーツ撮影の魅力の1つは流し撮り。流し撮りはシャッター速度が遅くなるほど成功率が下がる。例えばシャッター速度1/30秒の場合、前述のとおりEOS R7の連写性能はメカシャッターで10.3コマ/秒、電子シャッターで30コマ/秒。同じスイング中に電子シャッターは約3倍の枚数を撮ることができるので、成功率が同じなら成功写真は3倍に増えることになる。まさに“数打ちゃ当たる”だ。

 ところが電子シャッターで流し撮りをするとローリングシャッター歪みが発生する。実際に撮った写真を見ていただこう。

メカシャッターで撮影。背景の柱、金網の支柱、看板は真っ直ぐ立っている
電子シャッターで撮影。背景の柱や金網の支柱、看板が斜めに見える

 一目瞭然、電子シャッターによるローリングシャッター歪みで背景が斜めになることが分かる。ローリングシャッター歪みはスイングする速度が影響し、シャッター速度を速くしても同じように傾く。

 ザックリとこの写真で理由を説明しよう。マシンはスイング中(露光中)に画面(フレーミング)の同じ位置にいる。これに対し背景の柱は画面の左側に移動する(流れていく)。電子シャッターで画面の上部から下部へ少しずつ記録すると、柱は徐々に画面内の左側に位置がズレていく。よってマシンは歪むことはないが、背景は斜めになる。センサーの読み出す速度が速くなるとローリングシャッター歪みは減る。キヤノンがEOS R7のローリングシャッター歪みがR3やR5よりも大きいとしているのはセンサーの速度の差によるものと考えられる。

 さて、どうするか。

1.メカシャッターで撮影する
2.背景に建造物を入れない
3.建造物をトリミングする
4.スローシャッターで傾きが分からないように流す

と言った方法が思い浮かぶ。1は単純だが成功写真3倍のチャンスを逃すのはもったいない。2は撮影シーンによってメカシャッターと電子シャッターを切り替えて対応できる。3は実際に筆者は実践している。先ほどの電子シャッターで撮った写真は、柱や看板などの建造物は傾いていることが分かるか、手前の芝生や背景の森、その奥の山は傾いていても目立たない。傾きが目立つものを排除すれば電子シャッターでOKということだ。

 次の写真は元画像とトリミングしてフォトギャラリーに掲載した写真。ガードレールより上の建造物は傾いているが下は傾きが目立たない。

ガードレールより上の建造物は傾いている
トリミングしてフォトギャラリーに掲載した写真

 4は少々荒っぽい手法だが上手くいけばローリングシャッター歪みを目立たなくできる。1枚目はシャッター速度1/60秒。ホテルが不自然に見える。2枚目はシャッター速度1/15秒でフォトギャラリーに掲載した写真。そもそもシャッター速度1/60秒と1/15秒では成功率が違うので成功写真が増える保証はないが1つの手法と考えていただきたい。

 流し撮りでローリングシャッター歪みが発生するのは感覚としてつかみやすいが、ゆっくりとマシンを追っているときにもローリングシャッター歪みが発生する例をお見せしよう。鈴鹿サーキットのデグナー立ち上がり。レンズを振るというより追うイメージで撮影する場所だ。

徐々に背景の支柱が傾いていく

 背景の支柱を見ると徐々に傾いていくのが分かる。正直、「ゆっくり追っているだけで傾きますか」と驚いた。この辺りも経験値を上げて対応をしていくことになりそうだ。

 電子シャッターは使わない、というのも正解。上手く付き合うのも正解。30コマ/秒が選択できるをプラスと考えよう。

AF性能

 AF性能に関してはサーキット撮影で特に支障はないと感じている。筆者はAF性能はカメラよりも天候と技量が影響していると考えている。太陽がギラギラな日よりは曇りの方が合焦率は高い。前述のデグナー立ち上がりのようにマシンが近付いてくる撮影は、GTカーのエンブレムやフォーミュラカーのヘルメットがフレームの同じ位置でとらえればピントは合うが、位置がズレるとピントが甘くなる。ようするに撮る人(=筆者)が正確に追尾できれば合焦率は上がる。なので、撮った写真を見るとカメラのAF性能に支障はなく、筆者自身の技量が重要という結論だ。

RFレンズ

 筆者がサーキット撮影で使用している主なレンズは「EF24-105mm F4L IS USM」「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」「EF300mm F2.8L IS II USM」。これ1本を選ぶと「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で、サーキット撮影の多くをこのレンズ1本でカバーすることができる。

 ミラーレスになってレンズシステムがEFレンズ(マウント)からRFレンズ(マウント)に移行した。RFレンズでこれ1本と言えるのが「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」。望遠端が500mmになってより便利なレンズとなった。撮ってみると絵も秀逸。サーキット撮影の代表レンズと言えよう。「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の実勢価格は40万円前後。100万円を超える大砲レンズが観客席に並ぶサーキットの風景を見ると安いとも言えるが、これからEOS R7でサーキット撮影を始めようという人には安くはない価格だ。

 編集部から「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」で撮ってみてという打診。こちらは実勢価格9万円前後。“安い”と言い切れないがEOS R7の半額、「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の4分の1、お高いスマートフォンよりも安い価格設定だ。

 筆者は一脚を多用していて、24-105mmでもカメラボディに一脚を装着して撮ることが多く、三脚座のない「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」は選択肢として考えることはなかったが、サポートレースの「ポルシェ カレラカップジャパン」を2本のレンズで撮ってみた。

「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」で撮影
「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」で撮影
「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」で撮影
「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」で撮影

 写真を見て筆者にはレンズの差は分からなかった。望遠端が500mm、三脚座がある(筆者には重要)点は「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」にアドバンテージがある。「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」は635gと「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の1530gに対し半分以下の軽さで、旅行用なら間違いなく「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」がお勧めだ。レンズ選びの参考にしていただきたい。

操作性は慣れるしかない

 操作性は慣れるしかないと思っている。以前、EOS 90Dを借りてWEC、MotoGP、F1と撮影して、自分のEOS 7D Mark IIに戻すと、手がEOS 90Dの動きになっていて自分のカメラの操作にまごついたことがあった。順応性や器用・不器用もあるが操作性は慣れるしかないだろう。強いて言うと数多くのボタンの機能がカスタマイズ可能で好みの機能を割り当てることができる。使い込んで「この機能はファインダーを見たままボタン1発で操作したい」という要望を満たしてくれるだろう。

作例

 最後に3つのレースで撮った写真を元画像で掲載しよう。画質など気になる点があればジックリ確認していただきたい。