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日本風洞製作所、一般も使える風洞試験センターを静岡県沼津市に2023年設立

2022年10月17日 発表

自動車用システム(プロトタイプ)のイメージ

コンパクト風洞システムを用いた自動車&自転車用風洞試験センター

 日本風洞製作所は10月17日、ニシヤマとの協同により、静岡県沼津市にコンパクト風洞試験システム「Aero Optim」シリーズを用いた「風洞試験センター」を設立することで合意に達したと発表した。設立時期は2023年初頭の予定。

 風洞試験センターには、自社開発の「自転車用コンパクト風洞試験システム」と、ニシヤマ、大和製衡との共同開発となる「自動車用コンパクト風洞試験システムAero Optim×SLIM BALANCE」を配備。そのほかに、従来型の小型風洞試験装置(校正用風洞、極低騒音風洞など)が随時配備される予定となる。

自転車用システム(プロトタイプ)のイメージ

 風洞試験センターでは、購入を検討している顧客のための製品トライアルのほか、一般企業や個人にも有償で利用枠を開放。自動車や自転車業界のメーカーにとっては、製品の試験機会の拡大による、製品開発のさらなる加速への寄与が期待されているとしている。このような、一般も利用できる自動車・自転車用風洞は日本で初めてとなる。

風洞試験センターの外観(イメージ)
施設内の様子(イメージ)。右側区画に自動車用システム、中央区画に自転車用システムを配置

 自動車業界では、従来の空力分野だけでなく、熱・冷却、カーデザインなど、さまざまな部門で活用可能。特に近年は、ガソリンから電気へのシフトにより多くの部門で風洞試験のニーズが高まっており、SDGs達成にも役立つとしている。また、スポーツカーオーナーに対しては、愛車のエアロパフォーマンスを客観的に評価する機会を提供し、さらなる走りの追究に貢献するとした。

 自転車業界においては、近年ロードバイクで関心が高まっているエアロロードバイクの開発や、各種パーツ、ウエアなどの空力試験が可能。自転車競技選手や愛好家には、従来一部のトッププロに限られていた自転車のセッティングや、最適な乗車フォームの追究の機会を提供できるとした。また、自転車用測定台には、走行抵抗を模擬する負荷装置が内蔵されているため、よりリアルな姿勢保持条件で試験を行うことが可能とのこと。

 従来型の風洞装置は大型で高価、高維持費、高い稼働率により、一部の大手メーカーや研究機関などでしか使えないものとなっていた。そこで、日本風洞製作所では独自の技術開発により、この風洞装置を小型・低価格化させ、できるだけ多くの人が気軽に風洞実験を行なえることを目指してAero Optimシリーズを開発。小型ながら、ある程度整った直進性の高い気流を生み出せることが特徴で、従来型風洞とも相関のある空気抵抗や流れの観察ができるとしている。Aero Optimは2022年度より量産モデルが販売されている。