国交省、送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインを策定

送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインの対象となる装置

　国土交通省は12月20日、送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインを策定して公表した。「降車時確認式」「自動検知式」の2種類の方式の装置について要件が定められ、いずれも運転者等が車内の確認を怠った場合等には、速やかに車内への警報を行ない、15分以内に車外への警報を発することとした。

　国交省では、今後、同安全装置の装備義務化に向けた、関係府省による法令の整備に併せ、ガイドラインの規定を満たす安全装置のリストの公表等の準備を進めるとしている。

　ガイドラインの策定は、2022年9月に静岡県で発生した、送迎用のバスに置き去りにされた女児が死亡する事案を受けたもの。これまでに、当該事案への対策を検討する関係府省会議（第4回・10月12日）において、「送迎用バスの安全装置の設置の義務化」および、それを踏まえた「安全装置の仕様に関するガイドラインの作成」等を含む緊急対策が決定されている。

　国交省では、送迎バスの置き去り防止を支援する安全装置の装備が義務付けされることを受け、装置の開発促進・普及拡大を目指し、性能要件等について検討を行なうため、学識経験者等を委員とするワーキンググループを設置し、送迎バスの運用実態や装置の開発状況等を踏まえ、ヒューマンエラーを補完する装置として、「降車時確認式」「自動検知式」の2種類の装置について、最低限満たすべき要件を取りまとめた。

定められた要件の概要

ガイドラインに規定された主な要件

（1）降車時確認式の装置の作動（押しボタン式など）
・エンジン停止後、運転者等に車内の確認を促す車内向けの警報を発する
・運転者等が、置き去りにされた子供がいないか確認しながら車内を移動し、車両後部の装置を操作することで、警報を解除可能
・車内の確認と装置の操作が行なわれないまま一定時間が経過すると、さらに車外向けの警報を発する

（2）自動検知式の装置の作動
・エンジン停止から一定時間後にカメラ等のセンサーにより車内の検知を開始する
・置き去りにされた子供を検知した場合、車外向けの警報を発する

（3）両方式に共通の要件
・運転者等が車内の確認を怠った場合等には、速やかに車内への警報を行ない、15分以内に車外への警報を発すること（※自動検知式においては15分以内にセンサーの作動を開始）
・子供らがいたずらできない位置に警報を停止する装置を設置すること
・十分な耐久性を有すること（例：−30～65度への耐温性、耐震性、防水・防塵性等）
・装置が故障・電源喪失した場合には、運転者等に対してアラーム等で故障を通知すること（※）

※電源プラグを容易に外せない装置に限り、回路を二重系にして故障の確率を低くした場合には、電源喪失時の故障の通知要件を緩和する。