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日産、VCターボエンジン開発で第55回 市村産業賞 貢献賞を受賞

2023年3月22日 発表

1.5リッター VCターボエンジン

 日産自動車は3月22日、同社VCターボエンジンの開発テーマ「可変圧縮比機構付き自動車用ガソリンエンジンの開発」が市村清新技術財団主催の「第55回 市村産業賞」において、「貢献賞」を受賞したと発表した。同社の可変圧縮比機構を実現させた「VCターボ」エンジンは、熱効率向上と高出力化の両立という内燃機関の根源的な課題を解決するため、20年以上前に研究を開始、世界で初めて量産に成功したことなどが評価された。

 受賞者は木賀新一氏、土屋順久氏、小島周二氏の3名。「市村産業賞」は、日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をした個人またはグループを表彰するもので、日産は、2020年に電動パワートレイン「e-POWER」での「第52回 市村産業賞・貢献賞」以来の受賞。

 同社では、2018年に2.0リッターの可変圧縮比機構付きのガソリンエンジン「VCターボ」を量産開始、従来の3.5リッターエンジンに対して同等の動力性能と約30%もの燃費改善を実現。「VCターボ」は1.5リッターエンジンにも拡大され、2022年には100%モータ駆動の「e-POWER」用の発電エンジンとしても採用され、優れた燃費性能と高い動力性能の両立を可能とした。

 VCターボの開発背景としては、エンジンの熱効率を向上させるため、理論的には圧縮比を上げなければならない一方で、高出力を出すためには空気を多く入れる必要があり、過給することが一般的であるが、ガソリンエンジンでは、圧縮比を上げるとノッキングという壁にぶつかる。従って、高出力化にはノッキングを抑制するために圧縮比を下げる必要があり、出力が不要な運転領域でも圧縮比が低い状態で運転するため、熱効率を高くできなかったという課題があった。