ニュース
日本初、福岡市が水素で走る「FC救急車」「FCごみ収集車」導入 高島市長とトヨタ 中嶋副社長があいさつ
2024年3月8日 14:05
日本初、水素で走る「FC救急車」「FCごみ収集車」
福岡市は3月8日、福岡市役所前の広場において水素を燃料として走るFCEV(燃料電池車)の「FC救急車」「FCごみ収集車」を導入することを発表。デザインを初公開した。FCEVの救急車とゴミ収集車が導入されるのは日本初のことになる。
福岡市は「水素リーダー都市プロジェクト」に取り組んでおり、市民の生活排水である下水から水素を製造。その過程において余分な二酸化炭素を発生しないため、カーボンニュートラル水素として水素ステーションからの水素供給も行なっている。
福岡市に4つある水処理センターのなかでも最大の中部水処理センターで製造される水素の量は多く、1日で福岡市が公用車に使っているトヨタ「ミライ」を約60台分満充填できる3300立方メートルにもなるという。その水素のさらなる活用のため、今回新たに「FC救急車」「FCごみ収集車」を導入することを発表した。
発表会には、福岡市 高島宗一郎市長、トヨタ自動車 中嶋裕樹副社長(Commercial Japan Partnership Technologies社長)、トヨタ自動車 木全隆憲CVカンパニープレジデント、福岡市議会 打越基安議長、同 松野隆副議長らが参加。下水から製造した水素で動く車両導入の意義を語った。
高島市長は福岡市で取り組んでいる「水素リーダー都市プロジェクト」にふれ、世界で初めて下水から水素を作り、水素ステーションで供給していることを紹介。その中で、2年前にトヨタ自動車と連携協定を結び、水素車両の開発に取り組んできたことに言及した。
「2年前に連携協定を(トヨタ自動車と)結び、この間に3台も(FC給食配送車、FCゴミ収集車、FC救急車)新しい車両を作り出して、そして実際に行政と組んで街で走らせることができるというのは、これはさすがだな」と、トヨタとの開発のスピード感を紹介。
その上で、福岡市が夜間にゴミ収集を行なっており、FCゴミ収集車であれば夜間に静かにゴミ収集できること、FC救急車であればFCの大電力を活かして救命活動機器を動かせることなど、現在見えているメリットを紹介。今後、これらの車両を活用していくことで、社会実装のためのデータを収集していくという。
また、水素と言えば爆発というイメージがあることにも言及。その点については、福岡市で作っている水素をトヨタ自動車 豊田章男会長にレースで使ってもらっていることで、極限状況におけるテストを行なっているとし、水素活用における不安を解消してもらっていることに感謝の意を述べた。
トヨタ 中嶋副社長は水素社会におけるモビリティを担う会社としてあいさつ。2年前に高島市長から話をもらい、開発がスタート。トヨタに加え、いすゞ、日野、スズキと一緒になって作っているCJPTとしても、水素の社会実装へ向け盛り上がり、開発を行なってきた。その背景には、高島市長の情熱があったという。
水素で動く車両のため、排出は水のみ。市民生活にとっても優しいクルマであるとのことだ。
これらの車両を福岡市民に使ってもらうことで、新たに出た課題へは積極的に対応。トヨタらしく、「課題が出れば我々は一所懸命直してまいります。それをカイゼン、カイゼンを積み重ねながらもっとよい市民生活に、水素を普及するためのクルマというふうにやってまいりたいと思います」とあいさつ。行政や市民の協力によって、もっといいクルマづくりが進むことを語った。
FCゴミ収集車は、いすゞの小型トラック「エルフ」をベースとしてFCEV化。ゴミ収集用のパッカー部分も、油圧動作から電動に変更して、FCのメリットが出るようにしている。
一方、FC救急車はトヨタの大型ミニバン「グランエース」がベース。救急救命装置などは通常の救急車と同じものを搭載し、使い勝手に配慮。それらをFCの電力で駆動しているとのことだ。