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デンマークのハイパーカーブランド「Zenvo」日本上陸 ベース価格約4億8200万円のハイブリッドマシン「AURORA」公開

2024年3月29日~3月31日 開催

展示されていたZenvo「AURORA(オーロラ)」。2タイプあり左がAgilで右がTur

 デンマークのハイパーカーブランド「Zenvo(ゼンヴォ)」のローンチイベントが東京・永田町のBINGO TOKYO ショールームにおいて3月29日~31日に開催された。ショールームではZenvo初の量産車となる「AURORA(オーロラ)」が展示された。世界で限定100台の生産を予定しているモデルとなる。

V型12気筒6.6リッターエンジン搭載のハイブリッドマシン「オーロラ」

 Zenvoは2007年にデンマークで誕生。これまでに製造した「ST1」「TS1」は少量生産モデルで、ヨーロッパ、北米、中東で高い注目を集めており、今回アジアへは初上陸になるという。

 今回展示していたAURORAは、4輪駆動の「Tur」と後輪駆動の「Agil」の2タイプが用意され、100台の限定台数の50台をそれぞれに割り振るという。

AURORA Tur

 エンジンはどちらもクワッドターボを搭載した90度V型12気筒6.6リッターエンジンを搭載。ドイツのマーレがテクニカルパートナーとなって共同開発したもので、Zenvoのファクトリーで生産予定。最高9800回転という超高回転型で、エンジン自体の最高出力は1250HP。オーロラのリアミッドに搭載する。

 TurとAgilはどちらも電気モーターを備えており、Agilのモーターを加えた総合出力は1450HP、最大トルクは1400Nmとなる。Turではフロントにモーターを備える出力300kWの電動トルクベクタリングシステムを搭載する4輪駆動モデルとなり、総合出力は1850HP、最大トルク1700Nmとなっている。

AURORA Agil

 トランスミッションは7速の自動変速としており、電気でアシストしながら変速し、変速はパドルシフトでも行なえる。ハイブリッドを生かし、リバースは電気モーターで稼働させる。

 ボディはシャシーが「カーボンコンポジットモノコック」と「カーボンコンポジットサブフレーム」で構成され、パネルもカーボンコンポジット。オーロラでは、これまでのZenvoのラインアップは職人がすべて手作業で作っていたものをより進化させ、量産の要素を取り入れているという。ステアリング位置は左と右のどちらも選べる。

 ボディ形状も一部異なっており、Agilではサスペンションのプッシュロッドの先にあるショックアブソーバーが見えるようになっているなど、よりスポーツ走行に振ったスタイリングにまとめている。また、Agilはリアに大型ウイングを装着していることも特徴となっている。

 これらの強力なパワーユニットを支えるサスペンションはプッシュロッド式前後ダブルウィッシュボーンで、アクティブサスペンションとしている。ブレーキはZenvoカーボンセラミックディスク。タイヤはフロントが265/35R20、リアが325/30R21となる。

 パフォーマンスは、電気モーターの出力が大きいTurの最高速が450km/h、0-100km/h加速は2.3秒、0-400km/h加速も17秒と強烈な加速力を発揮する。また、Agilの最高速は365km/hで、0-100km/h加速は2.5秒、0-300km/h加速も10秒となる。

 ボディサイズはTurが4819×2020×1117mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースが2800mm、重さが1450kg。Agilが4836×2020×1097mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは同じく2800mm、重さが1300kg。

 なお、価格については、どちらも2.59ミリオンユーロ(日本円で約4億8200万円)を基本とし、オプションなどによって変化する。

すでに50台ほど受注済。2026年にはテストドライブができそう

 今回の公開に合わせてZenvo Automotiveの会長兼CCOのJens Sverdrup氏が来日。インタビューに答えてくれた。

Turのコクピットに座るZenvo Automotiveの会長兼CCOのJens Sverdrup氏

 AURORAの特徴として「スカンジナビアのデザイン、イノベーション、クラフトマンシップで作られている」と説明。2つのタイプのうち、「Turはハイパーグランドツアラー。長距離走行を視野に入れ、4輪駆動でハンドリングも優れている」とし、もう一方のAgilについては「Agilはアジャイル(素早い)という意味であり、サーキットなどのトラックでパフォーマンスを発揮し、軽量で、ダウンフォースもある」と説明した。さらにJens Sverdrup氏は2タイプの分かりやすい説明として「ポルシェで例えるなら、AgilはGT2 RSで、TurはターボSだ」と例を示してくれた。

 また、エンジンとともに搭載した電動モーターの役割は、ギヤチェンジの際、一時的に駆動力が抜けるのを補うために利用するほか「家を出るときや帰るときは静かに走れる」と電動の利点を説明。前輪を電動で駆動するTurについてはコントロールとアクセラレーションの役割もあるとした。

 日本導入のAURORAについて、海外と違いはあるかという質問には「ナンバープレートのブラケットを作っている」とし、ほとんど違いのないまま国内導入され、ナンバープレートを付けて国内走行ができるという。

 なお、今後のスケジュールについては、今年、テスト用のエンジンを積んだクルマを作り始め、自動車メディアが試乗できるクルマができるのは2026年くらいだという。顧客やディーラー向けに試乗ができるクルマはもう少し早くなる可能性もあり、それは受注次第だとしている。

 なお、100台限定だがすでに50台ほど受注しており、多くは先にプロモーションツアーをしたアメリカだという。今回、ドバイ、サウジアラビア、そして日本へとプロモーションツアーをしてきているが、日本でもこれからの受注を期待しているほか、BINGOスポーツの力で周辺国からの受注も期待しているという。

TurとAgilの両方をBINGO TOKYO ショールームで展示

 今回、BINGO TOKYO ショールームに展示されたのはTurとAgilの両方で、まだエンジンを搭載していない展示用モデルとなる。

AURORA Tur
リアにウイングがないのがTur
フロントのZenvoエンブレム
フロントまわり
サスペンションアームなどが見え、前輪の駆動シャフトも見える
ボディサイド
Turのエンブレム
ガラスエリアはTurとAgilともに共通
リア
フロントタイヤは265/35R20、Turのタイヤはミシュラン PILOT SPORT CUP 2かPILOT SPORT CUP 2 Rが指定タイヤで、これは「R」が付くほうを装着
リアタイヤは325/30R21
Turのインテリア
Turのスピードメーターは450km/hまで表示
ペダル
シートのロゴ
AURORA Agil
ドアを開いた状態
ドアや前後フェンダーなどのデザインもTurとAgilでは異なっている
大型のウイングを装着して強力なダウンフォースを発生させるAgil
フロントのエンブレム
フロントから入ったエアはそのまま後方まで通り抜ける
サスペンションのスプリングが見えるところにある
リアサスペンションも見えるところにスプリングとショックアブソーバーがある
フロントガラス
エンジンへ向かうエアインテーク
Agilのエンブレム
リアウイング
フロントタイヤは265/35R20、タイヤはミシュラン PILOT SPORT CUP 2 Rが純正となる
リアタイヤは325/30R21
Agilのコクピット。インテリアはカーボンとバックスキンでレーシーな雰囲気を演出
ステアリング
2ペダルで、ペダルはフロア側に支点があるタイプ
Agilのスピードメーターは350km/hまで

 なお、BINGO TOKYO ショールームでは、「HYPERCAR MUSEUM」と題してAURORAのほか、「Koenigsegg Regera」「Singer DLS」「Apollo IE」の3台を同時展示していた。

Koenigsegg Regera
Apollo IE
Singer DLSはポルシェ911(964)がベース