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公正取引委員会がトヨタカスタマイジング&ディベロップメントに下請法で勧告 「不当な返品」「金型等保管費用の未払い」の2件

2024年7月5日 発表

 TRDブランドを展開するTCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)は7月5日、公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づく勧告を受けたと発表した。

 2023年5月に公正取引委員会から同社へ調査要請を受け、同年7月から実地調査を開始。その結果、公正取引委員会から「不当な返品」と「金型等保管費用の未払い」の2件の指摘があり、2024年4月に同社でも事実関係を確認の上、今回の勧告に至ったという。

違反内容①:不当な返品

 下請法では、部品受入れ時の品質検査を発注元(TCD)で実施する場合、または取引先に文書で品質検査の委託をした場合に限り、部品に取引先起因の不具合があった際には、取引先への部品の返品が可能となる。

 TCDでは取引先と取り交わした部品取引基本契約書をもって、取引先に品質検査を委託しているものと誤った認識をしていた。その結果、TCDでの品質検査及び取引先への文書での品質検査の委託のいずれも実施しないまま、不具合品であることを理由に部品の返品を行なっていた。当該行為が下請法第4条第1項第4号(返品の禁止)の規定に違反すると判断された。なお、不具合品については取引先と実際の不具合状況を確認しており、取引先が不具合を認めた部品のみ返品をしていた。

 本違反行為の対象となる取引先は65社であり、対象取引先に対しては返品分の下請代金相当額等である合計約5400万円をすでに支払ったという。

違反内容②:金型等保管費用の未払い

 下請法では、発注元に所有権がある金型等の長期保管について、発注元がその保管費用を負担することになっている。

 TCDでは、取引先と明確な協議をすることなく、取引先に貸与しているTCDの資産の金型等の保管費用は、部品の単価に含まれていると誤った認識をしていた。その結果、TCDが取引先に貸与している同社資産の金型等について、当該金型等を用いる製品の発注を長期間行なわないにも関わらず、取引先に無償で保管をさせていた行為があった。当該行為が下請法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反すると判断された。

 本違反行為の対象となる取引先は49社(対象金型は664個)であり、一部の対象金型等は廃棄の対応をすでに実施しており、また、対象取引先と補償のための協議も開始。対象金型等の保管費用に相当する額については、公正取引委員会の確認を得た後、速やかに対象取引先に支払うとした。

TCDの対応

 公正取引委員会による本勧告の対象期間は、違反内容①が2022年7月~2024年3月まで、違反内容②が2022年7月以降となっている。TCDでは、勧告対象期間以外についても総点検を行ない、違反行為が認められた場合には「取引先様一社一社、丁寧に対応し、取引先様に生じた金銭負担相当額をお支払いいたします」としている。

 また、「このたびの勧告を大変重く受け止め、原点に立ち戻り、法令遵守を徹底してまいります。コンプライアンスの観点で本件の振り返りを行い、それに基づいた社員教育や取引先様とのコミュニケーション強化などの再発防止策をとってまいります」と述べている。