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東京キャンピングカーショー2024で展示された「ジムニーシエラ」5ドアの「電動ポップアップルーフ」など紹介
2024年7月22日 16:53
- 2024年7月20日~21日 開催
「電動ポップアップルーフ」は海外市場向けに開発
7月20日~21日に東京ビッグサイトで「東京キャンピングカーショー2024」が開催された。このイベントでは多くのキャンピングカービルダーや輸入元が、軽キャンパーから大型のバスコンバージョン、トレーラーハウスまでさまざまなキャンピングカーを展示。実際に乗り込んだり商談をしたりもできるので、毎回、多くの来場者が訪れている。
そんな東京キャンピングカーショー2024に出展された車両から、マルチスズキの「ジムニーシエラ」5ドア向け「電動ポップアップルーフ」を紹介する。
この車両は日本のキャンピングカービルダーである「ホワイトハウスキャンパー」がインドから輸入したものとなる。輸入の目的は同社が開発を進めている電動ポップアップルーフのPRのためだ。
ホワイトハウスキャンパーはキャンピングカーのポップアップルーフでは代表的なメーカーであり、同社が発売するキャンピングカーにはオプションとしてポップアップルーフが設定されているし、ポップアップルーフ仕様を求めるユーザーからの指名買いも多いそうだ。
そうした背景の中、さらに使いやすいポップアップルーフを求めた結果、たどり着いたのが電動化だ。そこで2024年2月に千葉県の幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー」で「スカイデッキ」と呼ぶ電動ポップアップルーフのサンプルモデルを公開した。
スカイデッキはルーフ部の素材にプレス成形のスチールを使っていたが、幅広い車種展開を考えた際、金型が必要なプレス成形はコストがかかり、それが販売価格に影響してしまうので、開発中の電動ポップアップルーフでは生産が容易なFRP製としているのが特徴だ。
取り付けにはポップアップルーフ内に入るための入り口として、ルーフを一部切断する必要があるが、上り降りする際、開口部の枠に手をかけること(体重もかける)になるので、強度が保ててなおかつボディ剛性に影響がない部分を選ぶという独特の難しさがあるそうだ。
ちなみにフレーム構造のジムニーはモノコックボディと違って、車体剛性をボディの作りに頼る傾向が少ないので、ルーフへの加工がしやすいという。
ルーフの上げ下げは左右に取り付けられたダンパーをモーターの駆動で動作させている。ダンパーは左右それぞれに付いているが、それなりの重さがあるルーフだけに、スムーズな動作をさせるには左右のダンパーの動きを同調させることがポイントになる。
そこで電動ポップアップルーフでは左右それぞれに取り付けたモーターを専用のマイコンで制御することで同調させているという。また、ポップアップルーフ内に荷物が残っているなどした際の安全装置として、挟み込みがあったときには動作が自動的に停止する挟み込み防止機能も備えている。
さて、気になるのはなぜジムニーシエラ 5ドアをサンプルとして選んだか、という点だが、実は電動ポップアップルーフはキャンピングカーの海外市場への輸出を検討しているものとのこと。そこで、海外で発売されていて人気もあるジムニーシエラ 5ドア用を開発しているということだ。なお、国内では3ドアのジムニーがあるがこちらのクルマでの開発は行なっていない。ただ、電動ポップアップルーフは幅広い車種展開を考えている製品ということなので、ジムニーに限らずほかの車種への展開も期待できるはず。
ポップアップルーフは車室内スペースに余裕がないクルマであっても就寝スペースを作れて、使用しないときは走行や駐車事情への影響が極力抑えられるという特徴があるだけに、1台のクルマで趣味と実用を両立させたい人にとっては便利な機能。その利便性をさらに向上させる電動ポップアップルーフの今後の展開に期待したい。
キャンピングカーショーで見かけた注目アイテム
横浜ゴムのキャンピングカー専用タイヤ
会場にはキャンピングカーのほかに関連パーツやアイテムの出展もあった。以前、Car Watchでも紹介した横浜ゴムのキャンピングカー用タイヤ「BluEarth-Camper(ブルーアース・キャンパー)」も展示されていた。
ブルーアース・キャンパーは高い評価を受けているバン、小型トラック用タイヤの「BluEarth-Van RY55(ブルーアースバン・アールワイゴーゴー)」をベースにキャンピングカー用に改良したタイヤだ。
キャンピングカーは居住用の装備だけでなく、天井、壁などの断熱防音材が入っているので車重は重い傾向。それに小型トラックの荷台スペースに居室用のシェルを搭載したキャブコンバージョンタイプでは重さに加えて重心も高くなるなど、タイヤにとって負担が多い傾向になる。
そこでブルーアース・キャンパーではタイヤ内部の構造をキャンピングカーの高荷重、高重心に対応するように作っている。そのため従来のタイヤから履き替えると、まっすぐ走っているときの安定感の違いから、高速道路でのレーンチェンジでの車体の落ち着き向上など、走行安定性がよくなったことを随所で感じられるタイヤだ。
前後左右の死角がなくなるシースルービュー
自動車メーカーに灯火類のパーツも納入している市光工業が出展していたのは、3D映像技術を用いた360度ビューの装置だが、いわゆるアラウンドビューではなくて「3Dサラウンドマルチビュー」と呼ばれる技術だ。
これは車体の前後左右それぞれに取り付けた4つのカメラの映像を合成して3Dビューをモニターに映すもの。さらに表示上では自車のシルエットを透過させているので、自車のまわり全周の状況を6つの角度から確認することができるのだ。
デモ機では大型のパネルトラックでの運行を例にした映像が使われていて、レーンチェンジをする際はウインカーと表示を連動させることで進む方向の車体を透過させた道路状況の映像を見せていたが、確かにこれだとミラーでの確認の際に生まれてしまう死角がない。構造上、ルームミラーが使えないトラックであっても後方の状態がよく分かる。最近ではリアビューモニターもあるがそれよりも見やすい印象だった。
この3Dサラウンドマルチビューはすでに大手配送業者のトラックに採用されているそうだが、パネルトラックと同じような視界のキャブコンバージョンタイプへの装着をPRすることを目的とした出展とのことだった。
ただ、この技術は普通車にとっても安全性を高めて便利に使えるものだけに、ひょっとすると近い将来、3Dサラウンドマルチビューを搭載した新型車が登場するかもしれないという考えも浮かんだ。