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TOM'S創立50周年記念に「TOM'SスターレットKP47」をモチーフとした腕時計 カシオ「EDIFICE」とコラボした記念モデル「EFS-S641TMS」
2024年7月24日 13:06
- 2024年7月23日 実施
トムスとカシオ計算機は7月23日、TOM'S創立50周年を記念し、初代レーシングカー「TOM'SスターレットKP47」をモチーフとした記念モデル「EFS-S641TMS」の発表会を開催した。
EFS-S641TMSの発売は8月9日で、価格は4万4000円。また、発売に先駆けて8月1日0時~8月8日23時59分に予約を実施。販売場所は、EDIFICE取扱店のほかトムス公式オンラインショップとなる。
トムス公式オンラインショップで購入した場合、先着100名に非売品のトムスのモバイルバッテリが、購入者全員に非売品のポストカード&ステッカーセットがプレゼントされる。
なお、EFS-S641TMSの限定数や販売期間は公表していないが、50周年記念モデルであることから、50周年の間に販売するような数量や期間になっているとのこと。
TOM'SスターレットKP47の特徴を取り入れたデザイン
EFS-S641TMSは、カシオの「Speed and Intellligence」をコンセプトとした腕時計「EDIFICE(エディフィス)」の新製品として投入される。EDFICEは2013年よりTOM'Sのオフィシャルパートナーとしてサポートしており、これまでもトムスとのコラボレーションモデルを発売してきた。
モチーフとなるTOM'SスターレットKP47は1970年代のマイナーツーリングレースでポールポジション22回、優勝20回、シリーズチャンピオン3回などの記録を残した車両。
記念モデルのEFS-S641TMSはTOM'SスターレットKP47のカーデザインを忠実に落とし込み、ボディカラーの白、赤、緑を文字板、レザー遊環などに配色。メタル遊環は穴あけ加工とテーパー形状を施し、サイドミラーの造形を再現している。
文字板にはTOM'Sの代表的なホイールである「井桁ホイール」をイメージしたインダイヤルを採用し、盤面の透過率を確保することでインダイヤル部からのソーラー発電を可能にした。
フロントグリルを表した3時の方向にあるハニカムパターンは、2層構造のシースルーデザインにより、TOM'SスターレットKP47に搭載した3K-Rエンジンのヘッドカバーを模した紫色が覗くデザインとし、細部まで1970年代のレースシーンを席巻した勇姿と次なる50年に向けて挑戦を続けるTOM'Sの精神を表現した。
EFS-S641TMSの機能面の特徴では10気圧防水、ストップウォッチ機能、ソーラー充電システムなど。大きさは50.1×44.5×13.3mmで、比較的コンパクトなサイズとし、質量は約56gに抑えて軽量化した。
50周年のモチーフに「TOM'SスターレットKP47」が満場一致で決定
今回、発表会を行なったのは、トムスが運営する電動レーシングカートをメインとした都市型サーキット「CITY CIRCUIT TOKYO BAY(シティサーキット東京ベイ)」。ちなみにここは以前、トヨタの「MEGA WEB」があったところとなる。
カシオ計算機からは執行役員 時計BU事業部長 高橋央氏、第一デザイン部グローバルデザイン室 リーダー 田代篤史氏、トムスからは取締役会長 舘信秀氏、代表取締役社長 谷本勲氏、さらにトムスのドライバーである 坪井翔選手、時計ジャーナリスト 篠田哲也氏が登壇。記念モデルの説明を行なった。
最初にカシオの高橋氏がEDIFICEのコンセプトや歴史を説明。「Speed and Intellligence」をコンセプトとしたハイスペッククロノグラフとし、ターゲットとしては若いモータースポーツファンとして、若い気持ちをもってモータースポーツを楽しむ人というところを重要視したという。
記念モデルの詳細を説明したのはカシオの田代氏。50周年のコラボモデルとして何度も検討した結果、歴史に敬意を表することから50周年の起源となるTOM'SスターレットKP47がいいのではないかと、満場一致で決まった。
開発にあたってはモータースポーツ好きが集まるカシオの開発チームが、実車を保存するトムスのデザインセンターに行き、田代氏によれば「なめまわすように見て」、その情報をもとにデザインを検討していった。
デザインは赤、白、グリーン、イエローのカラーリングをメインにするか、当時200馬力以上を出した3K-Rエンジンをメインにするか、さらにはトムスのアイコンでもある井桁のデザインのホイールをメインにするかを検討。そのうえでカラーリングをメインにすることに決定した。
しかし、それでも開発陣は3K-Rの要素は取り入れたいと考え、そこで、スターレットのグリルを文字板にレイアウトし、その奥を紫色にすることでグリルから覗いて見える3K-Rを表現すれば、ボディカラーのイメージを邪魔せずに入れられるとして3K-Rの要素を取り込んだ。加えて、井桁のホイールも文字板のカウンターの中に埋め込んだ。
そして、昔のトムスのロゴも絶対に使いたかったため、刺繍でバンドに織り込んだ。白い「AUTO CREATION」の文字は再現が難しかったが、何度も施策を繰り返していい状態のものを採用した。
バンドには目立たない部分として、KP47のピラーにある造形を取り入れたり、遊環と呼ばれるバンドの余った部分を押さえるところに白と赤とグリーンのアクセントを入れたり、フェンダーミラーのある部分のデザインを取り入れたりした。
さらに、現在のスーパーフォーミュラーのエースナンバーでもある「36」は、秒針の36の位置に表面のガラスの裏側に加工することで、あまり気づかれることなく、さりげなく取り入れた。
「マジに涙が出そうなくらい」とうれしさを表現したトムス舘会長
完成した時計の感想を登壇者に聞くと、トムスの舘氏は「マジに涙が出そうなくらいうれしい」と話し、カシオの田代氏の説明を改めて聞いて、うれしさがこみあげてきたという。
舘氏はトムス立ち上げときのことを振り返り、当時の16バルブエンジンを世界に打って出るところがオイルショックで立ち消えになってしまったこと、作ったクルマはそのまま処分されようとしたところを借り受けてレースを始めたことなどを語り始めるほど。舘氏は「これね、話すと多分終わらなくなってしまう」と振り返りながら、当時のモチーフがちりばめられたうれしさを表現した。
また、トムスの谷本氏は、現在ではクルマは都市部で必ずしも必要ないものになり、時計もスマートフォンがあるため時刻を知るために必ず必要ではないものになっているところから、トムスとカシオの両社の商品の置かれた状況には共通点があるとし、「こだわりのある時計を世に出すことができたので、本当にうれしい」と感想を語った。
一方、坪井選手は2日前の富士スピードウェイでのスーパーフォーミュラで優勝したことに触れ「この発売に合わせて、勝ってきました!」と話し、表彰台に上ったときも、記者会見でもこの時計を手にしていたという。
坪井選手は「大きい時計は正直好きではなかったんですが、これはコンパクトでめちゃくちゃ軽い。時計をしている感じがしない」と評価。レースは実力のほかに運や流れを引き寄せる力が重要となるなかで「実際、一昨日勝ちましたし、これから多分勝ち続けられるんじゃないでしょうか」と、坪井選手のラッキーアイテムになりつつあることを語った。
なお、時計のガラスに36号車の「36」が入っていることは説明されるまで気づかなかったとし、スーパーフォーミュラやSUPER GTで「36」を付けて走っていることから、時計に刻まれた文字を見て、改めて「36」の価値を強く感じたという。
また、登壇した時計ジャーナリストの篠田哲也氏は、ケース素材にカーボン強化樹脂という高級時計に使われる旬な素材を使っていることや、立体的な造形を施していることを指摘したほか、文字板のデザインからソーラーパネルに光が当たりにくいなか、動作に必要な発電容量を確保したことなどについては「耐久レースみたい」と表現した。