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スズキとエステー、トドマツを用いた車用の消臭芳香剤「Air Forest YOWAN車用エアケアキューブ」を共同開発 2025年春までに発売
2024年10月11日 20:09
- 2024年10月11日 発表
よどみやすい車内空間に森の香りの力でアプローチ
スズキとエステーは10月11日、快適な車内空間をサポートする「Air Forest YOWAN(エアフォレスト ヨワン)車用エアケアキューブ」を共同で開発したと発表した。同製品は2025年春までにアクセサリーとして発売する予定で、スズキ公式ECサイト「S-MALL」とスズキの正規ディーラーで販売される。想定売価は2000円前後を予定し、詰め替え用が1000円前後とのこと。
同日、Air Forest YOWANの発表会をエステー本社で行ない、スズキ コーポレートベンチャリング事業担当(シリコンバレー駐在)の瀬尾洋幸氏、エステー R&D本部 兼 日本かおり研究所 代表取締役社長の奥平壮臨氏が概要を説明した。
Air Forest YOWANは車内の不快なにおいを軽減し、快適な車内空間を実現することを目的に、香りのエステーと自動車のスズキが業界の垣根を越えてタッグを組み共同開発した製品。品名の「YOWAN」は「Your Wants」の頭文字である「Yo」と「Wan」を組み合わせた造語で、「森の香りの力を借りて、不快な移動空間にアプローチし、快適なクルマでの移動を希望するあなたの望みに寄り添う」という意味が込められているという。
よどみやすい車内空間に森の香りの力でアプローチするという、車移動が苦手な人に向けて開発された車用の消臭芳香剤となるが、多くの芳香剤が「香りを楽しむ」ことに主眼が置かれている中、Air Forest YOWANは香りによって心地よい車内空間を生み出すことを目指しており、そのため北海道トドマツの天然精油を配合し、爽やかな心地よいグリーンの香りを特徴として挙げている。内容量は29.5gで、香りは約1~2か月持続するとのことだが、別売りの詰め替え用で繰り返し香りを楽しむことができる。
日本で1番空気がきれいな森を調べる
瀬尾氏によると、かつて乗り物酔いをしやすい人を対象にアンケート調査を行なった結果、車内のにおいで「酔ったと感じている」と回答した人が多くいたといい、続いてスズキの社内調査を実施した結果、自動車に同乗する人の約23%が乗り物酔いに困っていると回答(n=4104)。乗り物酔いは、乗り物の揺れやスピードの変化といった内耳(三半規管など)が感じる情報と視覚で受ける情報、体が感じる情報がずれることによって起こり、不快感、ストレス、不安などの精神的因子も影響すると言われている。
特に車内の不快なにおいなど、嗅覚から感じる不快感は過去に乗り物酔いしてしまった記憶とともに不安を呼び起こし、乗り物酔いの誘因につながってしまうこともあるため、乗り物での移動に対してストレスを感じる要因にもなり得る。スズキの社内調査でも車酔いに悩む人の約64%が、車内のにおいなどの不快感が自身の車酔いに影響していると思うと回答(n=954)したという。
こうした不快なにおいを解消できないか、スズキからエステーに相談したことがきっかけとなり、今回のAir Forest YOWANの誕生に結び付いている。
一方、Air Forest YOWANについて解説した奥平氏は、開発するにあたってなぜ森は空気がきれいなのか、日本中の森の空気を調べて日本で1番空気がきれいな森が分かれば、その森に生えている樹木に空気をきれいにする成分がたくさん含まれているのではないかという仮説を立てたという。そこで2年をかけて66か所の森の空気を分析した結果、北海道釧路市にある阿寒湖周辺の森の空気がきれいだったことが判明した。中でもトドマツが大きく影響していることが分かり、研究開発が進められた。
奥平氏は「70種類におよぶにおいを車内で試したのですが、これおもしろいことに、外で嗅いだにおいがいい香りだからと言って、車内で嗅いだ時にいい香りとは限らないというのが分かりました。車内でどう感じるか、車内で快適に過ごすにはどのような香りがいいかという目線で商品を作らなければいけないということで、多くの香りを試してきました。最終的に9つの候補まで絞り、スズキの横浜研究所で官能評価を行なって『これが一番快適だ』とみんながなったのが北海道トドマツの香りでした」と説明する。
また、「今まで自動車メーカーさんと組んでものを作ったことが過去になく、業界の垣根を越えた共同開発を初めてやらせていただきました。今回、スズキさんの課題を共有いただきながら、お客さまの課題に寄り添った製品を作り出すことができたなと思っています。もちろん、車内空間を対象とした本製品からスタートするんですけれども、本技術をさらに発展させることで移動に伴うあらゆる不快感、当然この商品だけで全ての不快感をなくすことはできないと思っています。なので、そのあらゆる不快感をいずれは全て解決することを考慮して、今回の取り組みはその第1歩であろうかなと思っております。世界中の乗り物が苦手なお客さまが快適な時間を過ごせるように、これからも商品の開発、情報の発信を続けていきたいと思っております。さらに言えば、香り以外のいろいろな技術を持っている会社さまもまだまだいらっしゃると思うので、われわれと一緒に異業間の連携を広めながら進めていけたら、世の中が少しよくなるんじゃないかなと思っております」と締めくくった。