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トヨタ、JMS2024で水素推し 水素カローラや改良型水素燃料タンクに加え70MPa水素カートリッジや水素焼き展示も

水素を燃やして走るカローラ。スーパー耐久に参戦しているレーシングカー

CEATECと併催されるジャパンモビリティショー2024

 ジャパンモビリティショー2024が10月15日~18日の4日間にわたって幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催されている。ジャパンモビリティショーは東京モーターショーの後継となるイベントで、幕張メッセの開催は2009年が最後。15年ぶりに幕張メッセにモーターショーが帰ってきたことになる。

 今回のジャパンモビリティショーはCEATECと併催となり、ビジネスミーティングなどを重視する「Japan Mobility Show Bizweek 2024」として開催。登録すれば入場無料で入ることができ、CEATECと共通の登録となっている。そういった意味で、ビジネスマンにとっては行きやすい展示会となった。

70MPaという超高圧水素を持ち運べる水素カートリッジの内部構造。トヨタとトヨタ紡織が共同で開発している

 トヨタ自動車は、このJMS2024で水素関連を中心に展示。スーパー耐久に参戦している水素GRカローラ、水素カローラに採用している水素燃料タンク、水素カローラのコア技術となっているマイナス253℃で動作するモーターが実際に展示されており、トヨタの技術の工夫が分かるものとなっている。

 また、水素の活用という意味ではパリオリンピックで展示した水素カートリッジを展示。この水素カートリッジは70MPaという超高圧で水素を運ぶことができ、水素の内容量は200g。200gというと少ないように思えるが、200gで新型ミライは24km走ることができるという。これまで水素はなかなかポータブルに運べなかったが、こうした安全に運ぶことができるカートリッジができることで、水素ガスレンジ、いざというときに燃料電池につないでの発電、そして新型ミライなどFDEVへの給水素が可能になる。

手前のグレーの水素カートリッジがパリオリンピックで展示されたモデル。奥の赤いものが国内用モデル。国内法の関係で、持ち運び水素タンクは赤くなくてはならない
こちらは水素GRカローラに搭載されている液体水素タンク。左が初期型、右が今シーズンバージョン。実績を積み重ね、楕円形にすることで搭載量を10kgから15kgに引き上げた

 トヨタとしては、水素の出し入れにも対応したいとのことで、FCEV普及の際はガソリンのジェリカンのように、クルマからクルマへといった給水素ができるような環境も想定している。

 水素関連では、リンナイと共同開発している水素ガスコンロの実演も実施。実際に、肉や野菜が焼ける様を見ることができる。

 電力関連は、スイープ蓄電システムの展示が興味深い。EVに搭載された大容量電池を多数接続していくことで、電力供給を実現。その電池も、劣化度合いの異なる電池をつなぐことができ、いくつかの電池が止まっても安定的な電力供給を実現する。実際にデモでは10台の電池を接続、2台止まっても問題なく交流波形を作ることができ、3台目からはスパイクが発生する状況を見せていた。

スイープ蓄電システムのデモ。複数のバッテリを接続して安定した電源を作り出す

 一見地味に見えるジャパンモビリティショー2024だが、展示されている技術は未来につながるものであり、なかなか見ることのできない先行開発が展示されている。CEATECと同時開催でもあるので、日本を代表する産業の展示会を同時に見られる効率のよさもあるイベントとなっていた。

水素ガスによる水素コンロの実演展示。水素は燃えるときに水蒸気を出すので、水素焼きはしっとりとした仕上がりになる。