首都高速、八潮PAと市川PAに電気自動車用急速充電器を設置
5分の充電で40km、10分の充電で60km走行可能

八潮PAで急速充電を行うスバル「プラグイン ステラ」

2009年4月25日10時運用開始
利用無料



 首都高速道路は4月25日、埼玉県にある八潮PA(パーキングエリア)と千葉県にある市川PAで電気自動車用急速充電器の利用を開始した。これに伴い、八潮PAで記念イベントを同日に開催した。イベントには首都高速道路代表取締役会長の長谷川康司氏や八潮市長の多田重美氏らが訪れ、急速充電のデモンストレーションや電気自動車の試乗などを行った。

八潮PAで利用開始記念イベントが開催された首都高速の長谷川会長は「電気自動車は免税措置や補助金といった追い風もあり、急速に発展するきっかけになるのではないか」と普及に対する期待を述べた八潮市の多田市長は、「環境問題は非常に難しい問題」と述べ、「100年に一度の経済危機が電気自動車の飛躍の機会になるのではないか」と期待を述べた
東京電力技術開発研究所の松崎通範氏は、「電気自動車が広まればCO2の削減、地球の温暖化の防止の一環を担えるのではないか」と述べた富士重工業 戦略本部 EV事業推進室の鈴木隆史氏は「PAに急速充電器を配置してもらえると電気自動車の利便性が上がるので感謝している」と述べた

 首都高では、2008年10月に神奈川県にある大黒PAと都内にある平和島上りPAで急速充電器の運用をスタートしており、今回の2カ所の設置により、首都高の通る1都3県で充電設備が整えられた。

 今年の7月にはスバルの電気自動車「プラグイン ステラ」が市販化されるほか、三菱の電気自動車「i MiEV(アイミーブ)」も今夏市販化と言われており、少しずつではあるが、電気自動車のインフラが整い始めた形になる。

 なお、この急速充電器では、5分の充電で40km、10分の充電で60km走れるだけの充電が可能。ただし、バッテリーを痛めないために、完全に満充電にはしないのだと言う。

プラグイン ステラに急速充電を行う多田市長

 実際に多田市長らが充電のデモンストレーションを行ったが、コネクターを車両にセットする際のレバー操作に若干手間取ったものの、あとはスイッチを押すだけで、漏電のチェックからバッテリー残量のチェック、充電完了までの予想時間を計算まで、すべてオートメーションで行ってくれる。もちろん充電が完了すれば自動的に止まるし、充電の途中で停止することも可能だ。当日はあいにくの雨模様で、コネクターも雨にぬれた状態であったが、問題なく充電を行えていた。なお、充電の料金は無料とのこと。


急速充電器の使い方

八潮PAに設置された急速充電器プラグイン ステラの給油口ならぬコネクターハウジングこちらが給油ノズルのあたるコネクターの先端部分
親指のところにあるリリースレバーを押しながらコネクターを接続するコネクターを接続したらレバーを握ってコネクターをロックする充電器の操作盤には液晶画面とスタート、ストップボタンのほかに、緊急停止用のボタンが付いている
コネクターをつないだだけの状態ではこの画面が表示されているスタートボタンを押すと「充電準備中」と表示される絶縁試験を行い漏電がないかチェック。これなら雨の日でも安心だ
現在の充電状況と残りの充電時間が表示され、充電がスタート。充電電流は100Aだ充電を開始するとコネクターに設けられたランプが赤く点灯満充電に近くなると自動的に充電電流が11Aと少なくなっているのが分かる
97%で充電終了。バッテリーを痛めないために満充電にはしない充電が終わるとコネクターのランプも消えるコネクターのリリースレバーを押せば、コネクターを外すことができる

プラグイン ステラの同乗体験
 さらに、報道関係者向けに、プラグイン ステラを使った同乗走行も行われた。プラグイン ステラはスバルが「R1e」に続いて開発した軽自動車「ステラ」ベースの電気自動車で、モーターの出力などはR1eと同じ。記者も同乗して首都高を走ったが、音が静かということ以外は、普通のガソリン車と大きな違いは感じられず、一般の車と同じ速度で首都高を巡航していた。実際には、モーターは0km/hから最大トルクが発生するため、低回転では意図的に出力を落としているのだと言う。

八潮PA内や首都高を使ってプラグイン ステラの同乗走行も行われた特徴的なメーター。左は電気量計で、あと何km走行可能かを表示。市販モデルではデジタル表示になるとか右のメーターは使用している電力量で、減速などで回生しているときは、青い領域を指す

一般参加者向けのエコ・ドライブ体験も同時開催
 そのほか、一般向けに事前申し込みで受け付けていた「エコ・ドライブ体験」も開催されていた。車両のコンピューターの情報を読み込むことで燃費を測定するテクトムの「燃費マネージャー」を参加者の車に装着。往路を一般道、復路を首都高で走行し、その燃費の違いを体感してもらっていた。

エコ・ドライブ体験で使われた燃費計、テクトムの燃費マネージャー。OBD2コネクターの付いた車に対応1996年以降から国内外を問わず共通の規格として車に採用されているOBD2コネクター燃費マネージャーはOBD2コネクターをつなげるだけで、電源も確保し、車両の燃費を表示できる
エコ・ドライブ体験で貸し出されていた燃費マネージャーはおしゃれにデコレーションされていたエスティマで参加したオーナーの方は、「普段満タン法で調べているのと同じような結果が出ました」とのことエコ・ドライブ体験参加者には、くじ引きでオリジナルグッズがプレゼントされた

(編集部:瀬戸 学)
2009年 4月 27日