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中嶋悟氏や佐藤琢磨氏、角田裕毅選手らホンダワークスドライバーが“思い出話”を披露した「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」
2024年12月16日 17:03
- 2024年12月14日~15日 開催
本田技研工業は12月14日~15日、東京都港区にあるホンダウエルカムプラザ青山にて、2024年のモータースポーツ活動を締めくくるファン感謝イベント「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」を開催した。
例年モビリティリゾートもてぎでの「ホンダ・レーシング サンクスデー」内で実施していたが、今年は舞台を都内に移し、二輪がメインとなるDay1(14日)と、四輪がメインとなるDay2(15日)と2日間にわたり開催。7700人以上の来場者がホンダのモータースポーツ活動との触れ合いを楽しんだ。
Day2の特設ステージでは、「F1参戦60周年特別企画~セナとHondaの6年間」「INDY500への飽くなき挑戦」「SUPER GTフィナーレトーク~ドライバーたちのオンとオフ~」「欧州留学物語」「スーパーフォーミュラフィナーレトーク~尚貴ありがとう、これからもよろしく~」「Yuki Unplugged~角田祐毅のプライベートに迫る~」など、カテゴリーごとにテーマを変えてトークショーを実施。トークショーの模様はYouTube公式チャンネルにてアーカイブ配信をしているので、裏話や爆笑トークをぜひ視聴してみてほしい。
中嶋悟氏がアイルトン・セナ氏との思い出を語る
2024年はホンダのF1参戦60周年の節目の年でありつつ、1994年にレーシングアクシデントでこの世を去った“音速の貴公子”の名称で親しまれてきた伝説のレーシングドライバー「アイルトン・セナ」選手の没後30年でもあり、トークショーは「F1参戦60周年特別企画~セナとHondaの6年間~」をテーマに実施。
ステージには、アイルトン・セナ選手と1年間チームメイトを務めた経験を持つ中嶋悟氏、10歳のときに鈴鹿サーキットでセナ選手の走りを見て驚愕したという佐藤琢磨氏、幼少のころにセナ選手に憧れて同じカラーリングのヘルメットをかぶってカートで走っていたという山本尚貴氏、さらにホンダのモータースポーツ活動に深い関りを持つ技術者の中澤広高氏、田辺豊治氏、石原毅氏が登壇した。
中嶋悟氏は当時を振り返り、アイルトン・セナ選手はとても優しい面があり、ブラジルでの水の飲み方(現地の水を飲んでしまうと体調を崩す危険があるため)や、シフトチェンジ回数が多いモナコGPに初めて行ったときには、レース中に手の平の皮がめくれてしまうため、レース前に右手に直接テーピングをしてくれたことなどを語った。
また佐藤琢磨氏は、小学生のころに初めて鈴鹿サーキットへ行ってF1を観戦したときの写真を見ながら、「コーナーを立ち上がってきたマシンが、エンジン音と実車がズレて目の前を通過するんですよ。子供ながらに凄い衝撃を受けた記憶があります」と回顧した。山本尚貴氏は、「幼少のころ父親がセナ選手のヘルメットのカラーリングを自作テーピングで作ってくれて、それでカートを走っていました」と振り返った。
そのほかにも、アイルトン・セナ選手しかできなかったという伝説の「セナ足」についての考察や、初めてデータロガーを導入したときのこと、アイルトン・セナ選手が装着している車両のセンサーよりもマシンの状態を細かく把握していて驚いた話、いかにしてF1のエンジニアになれたかなど、今だから話せる内容や思い出話がたくさんでてきて、ステージはもちろん会場も大盛り上がりだった。
「みんなの前でもう1度勝ちたい」と佐藤琢磨選手が決意を語る
トークショーテーマ「INDY500への飽くなき挑戦」では佐藤琢磨氏が、過去2度の優勝があるものの、2回目はコロナ禍のため無観客開催での大会だったことを振り返りつつ、「やっぱりみんなの前でもう1度勝ちたいという思いがあり、また昔のチームに戻り、懐かしい顔馴染みの仲間がいたり、エンジニアが戻ってきたり、そして今年の予選ではTOP10にも入れたのはよかったと思っています」と2024年大会を振り返った。
また、インディのオーバルコースでのレースは、1周の平均速が380km/hを超えることから、「こんなのF1でも味わえない感覚ですよ」と説明。また、オーバルコースは周回中に風向きが変わるため、その微妙な変化にも瞬時に対応しなければならないなど、F1にはない難しさなどを説明してくれた。
ハプニングとサプライズの連続だったSUPER GTドライバー
12月8日に最終戦が行なわれたばかりのSUPER GTドライバーによるトークショーは、「ドライバーたちのオンとオフ」がテーマ。ステージには、ARTAの松下信治選手、佐藤選手蓮、Modulo Nakajima Racingの伊沢拓也選手、STANLEY TEAM KUNIMITSUの山本選手尚貴、牧野任祐選手が登壇。
イベント前にオフに関する写真の提供が依頼されていたが、対応したのが伊沢選手だけというハプニングからスタート。また、佐藤蓮選手が「趣味でイラストを描いている」とのことから、急きょMCのエミリさんを描くことに。また、「比較ないと上手か分からない」とMCのサッシャさんも描くことに。さらに、生配信の視聴者から質問を受け付けたところ好きな食べ物などレース関連の話題が少なく、牧野選手がステージを降りて会場内で質問のある人のところまでマイクを持って走り回るなど、ハプニングとサプライズの連続で会場は笑いに包まれた。
SUPER GTでは2024年から新型マシン「シビックTYPE R-GT」に代わり、100号車のSTANLEY TEAM KUNIMITSU(山本選手尚貴/牧野任祐選手組)がシリーズランキング2位を獲得したものの、最後には2025年の王者奪還を全員で誓った。
海外での苦労話や英語の覚え方、お勧めの国など各ドライバーのこだわり満載
欧州留学物語のコーナーには、海外留学(滞在)経験のある、松下信治選手、牧野任祐選手、角田裕毅選手、佐藤蓮選手、岩佐歩夢選手が登場。言葉のことや現地で苦労した話などを中心に展開。
角田選手は最近ミラノに引っ越したことを報告しつつ、「街の雰囲気がいいし、ワインの美味しいお店もたくさんあり、とても気に入っている」と紹介。また、佐藤選手と岩佐選手は1年ほど同居していた経験があるといい、岩佐選手が主に食事担当だったと明かした。また、「レースで激しいバトルしたあとに同じ家に戻るの辛くないの!?」と突っ込まれると、「まぁ、それでもご飯は作ってくれました」と当時を振り返った。
英会話について松下選手は、「当時スピードラーニングが流行っていたので使っていました」と言うとMCから「懐かしい!」と大盛り上がり。そのほかにも角田選手は牧野選手とよくオンラインゲームを一緒にプレイしていたなどプライベートの暮らしぶりを紹介した。
今年でスーパーフォーミュラを引退する山本選手に花束贈呈
スーパーフォーミュラ参戦ドライバーの山本尚貴選手、伊沢拓也選手、牧野任祐選手、佐藤蓮選手、岩佐歩夢選手が登壇した「尚貴ありがとう、これからもよろしく」では、今期でスーパーフォーミュラを引退する山本選手の活躍を振り返り、2010年に当時の全日本選手権フォーミュラ・ニッポンにデビューし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2013年に初のシリーズチャンピオンを獲得。2018年にはスーパーフォーミュラとSUPER GTのWタイトルという偉業を達成。さらに2020年にもスーパーフォーミュラとSUPER GTの2度目のWタイトルを獲得するなど、改めてドライバーとしての凄さを紹介。
途中にHRC 代表取締役社長 渡辺康治氏から花束の贈呈が行なわれ、「スーパーフォーミュラは引退してしまいますが、まだSUPER GTもありますし、今後とも宜しくお願い致します」とメッセージが送られた。山本選手も「若手ドライバーがもっともっと輝ける場所を作っていきたい」と今後もモータースポーツの発展に尽力する決意が語られた。
「どっちに乗ることになっても同じように頑張るだけ」と角田選手
特設ステージ最後のトークショーとなる「Yuki Unplugged~角田裕毅のプライベートに迫る~」では、日本人史上5人目となる日本GPでのポイント獲得など好調だった前半や、かなり早いタイミングでチームとの契約延長が決まった件や、後半はハースやアルピーヌなどが好調になりポイントが取りにくくなったなどシーズンを振り返った。
また、最終戦のブラジルGPでは「雨が凄くて前が見えず、ほとんど勘で走っていました。過去に鈴鹿でも白線は少ししか見えないし、前を行くマシンのテールランプを追いかけながら走っていました」と雨のドライビングの難しさを明かし、来場者を驚かせていた。
プライベートでは、ミラノに引っ越したことで近所になったピエール・ガスリー選手とカラオケにいった話や、日本のグラフィックアーティストVERDYにデザインしてもらったヘルメットを、ルイス・ハミルトン選手に自慢して見せている話などが赤裸々に語られた。
トークショーの途中には、JAFから“その年最もモータースポーツ業界を輝かせたドライバー”に贈られる「ドライバー・オブ・ザ・イヤー」の受賞盾が、HRC 代表取締役社長 渡辺康治氏から渡され、「カートに乗っていたころJAFの授賞式に出て、花道を歩いているドライバーを見て、自分も賞をもらえるようにもっと頑張ろうと思った」と当時のことを語った。
最後に来季のシートについては、まったく分からないけど、レッドブル・レーシングとレーシングブルズのどっちに乗ることになっても同じように頑張るだけと締めくくった。