ルノー、初のクロスオーバー「コレオス」発売 県道65号線が生んだ“フレンチタッチ”の乗り心地 |
ルノー・ジャポンは5月27日、クロスオーバーカー「コレオス」を発売、都内で報道関係者向けの発表会を開催した。コレオスは日産の「デュアリス」をベースにしたルノー初のクロスオーバーで、ルノーと日産のアライアンスから生まれた車となる。価格は319万8000~359万8000円。
■乗り心地をメインテーマとした4WDクロスオーバー
コレオスは直列4気筒 DOHC 2.5リッターエンジンを搭載、トランスミッションはCVTの、4WDクロスオーバー。エンジンの最高出力は126kW(170PS)、最大トルクは226Nm(23.1kgm)。燃料は輸入車にしてはめずらしい無鉛レギュラーガソリンが指定されている。
ルノーのデザインによるボディーサイズは4525×1855×1695~1710mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2690mm。車両重量は1660~1730kg。
グレードはベースグレードの「コレオス」、レザーシート装備をはじめ全体的に装備を充実させた「コレオス プレミアム」、「コレオス プレミアム」に大型のガラスサンルーフを装備した「コレオス プレミアム グラスルーフ」の3タイプ。グラスルーフは受注生産となる。
コレオスのスタイリングはルノーのデザイン部門による。写真のカラーは注文生産色の「グリ アルジョンM(メタリック)」 | ||
エンジンは直列4気筒タイプ | バッテリーは輸入車向けの規格ではなく、国産車に多く採用されているタイプ |
テールゲートは上下分割式。少量の荷物や狭いところでは上半分だけ開放して出し入れできる | 上下とも開くと下部はベンチにも。下側ゲートの耐過重は200kg | ライトはベースグレード以外はバイキセノンタイプとなる |
グラスルーフは屋根全面がガラスになる | ワイパーは最近の車に多いフラットタイプ |
コレオスの特長のひとつ。上下分割式のテールゲート。下側は200kgまでの重さに耐えられるため、大人が座っても問題ない |
5人乗りでリアシートは6:4の分割可倒式。座面を跳ね上げたうえで背もたれを倒すダブルフォールディング方式。「コレオス プレミアム」と「コレオス プレミアム グラスルーフ」は、リアゲートを開けたところにあるワンタッチレバーを操作するだけでで背もたれが倒れる機構を持つ。
安全装置としてはアンダーステアコントロールロジック付きESP、EBD付きABS、6エアバッグ、ISOFIXチャイルドシート対応などを装備。アフターサービスとして12カ月法定点検と交換部品および交換費用2回分をパッケージにした「ルノー・ケア・スタンダード」が標準で付属する。
コレオスの生産は韓国のルノー・サムスンの工場で行われ、ルノーの品質基準を満たしたものとなる。初年度の販売目標は非公開だが、国内のルノー車販売の1割ほどになると見込んでいる。
■ルノーと日産の愛の結晶、いいとこ取りの車
発表会では、ルノー・ジャポンのCOOに今年就任した大極司社長があいさつに立ち「10年にわたるルノーと日産のアライアンスの愛の結晶」と説明、コレオスは10年間に渡るルノーと日産の意見のぶつかり合いの中で、お互いを深く理解できた結果だとした。
また、フランスのルノーからは、コレオス開発のプロジェクトマネージャーだったフランソワ・ロラン氏が来日、コレオスの説明を行った。
ロラン氏によればコレオスにおけるルノーと日産の役割分担は、生産開始前はエンジニアリング部分などを日産が担っていたが、生産開始後はすべてルノーの責任におけるルノー車であるとした。「コレオス」とベースとなる日産「デュアリス」は同じプラットフォームを採用、共通部品は40~50%だが、ユーザーが見て触れられる部分はルノーのものとなっており、乗った印象は間違いなくルノーだと強調した。
ルノー・ジャポンの大極司COO | コレオス開発のプロジェクトマネージャー フランソワ・ロラン氏 | コレオスにおけるルノーと日産の役割分担 |
■フレンチタッチな乗り心地は「D65テスト」から
コレオスで強調される乗り心地については、ルノー車独自の「D65テスト」をパスした足まわりによって実現される。D65の名称はフランス・ノルマンディ地方のルノー技術センター近くにある未舗装の県道65号線をテスト道路として使用した名残。65号線は舗装されたので、現在は当時の県道65号線を再現したシミュレーターで行われる乗り心地のテストがD65となっている。
このテストでは、サスペンションのセッティングからシート、エンジンの振動吸収まですべてテストできるよう実際のシートに座らせたマネキンにセンサーを搭載、人間の脳に伝わる振動をチェック。マネキンの背骨に設置した加速度センサーの数値では、他のライバル車よりも良好な数値を示したと言う。
ルノー車の乗り心地テスト「D65テスト」は県道65線の名残 | 乗り心地のテストにはセンサーを備えたマネキンで振動などを測定する | サスペンションはデュアリスをベースとしたものだが、ルノーによるチューニングが施されルノーの乗り心地になっていると言う |
駆動方式は走行状態に応じて前後トルク配分を100:0~50:50に変化させるオールモード4×4-iシステムを採用。トルクの配分は車速、タイヤのスリップ状態、旋回状態、アクセル開度などもとに判断、リアへの駆動力をゼロから直結まで可変させる。手動で切り替えも可能で、オートモード以外は2WDと直結を選択することができる。
トランスミッションはルノー車初のCVT。変速パターンは約700用意され、ドライバーの操作に応じた変速パターンが自動選択される。また、6段相当分のギア比を切り替えるマニュアルモードも用意、マニュアル時の変速は100分の1秒で行われる。
コレオスの視界は上下方向にも広くなり、安全性や開放感がアップしていると言う |
■フレンチタッチをちりばめたクロスオーバー
そのほか、フレンチタッチを実現するため、クロスオーバー系のクルマではめずらしく明るい色の内装を選択。ドライバーの視界は上方向へ31度、上下合計では36.3度とし、安全運転にも寄与する開放的な視界を確保した。
ダッシュボードのデザインは、前後左右からの波のような曲線を描き、クロスオーバーカーの中では洗練されたもの。開放的なダッシュボードをデザインできたとした。
輸入元のルノー・ジャポンでは、今回からボディーカラー名称をフランス語に置き換えた。黒色の「ノワール ディボワールM(メタリック)」、グレーの「グリ ソーンジュM」、白色の「ブラン ぺルレM」の標準3色のほか、注文生産色では赤が「ルージュ ゴッティーニM」、赤みがかった茶色は「マロン キュイブレM」など、カラー名称までフレンチタッチを演出している。
用意されるボディカラーは標準3色、受注色が7色の合計10色。色の名称はすべてフランス語 | ガラスサンルーフのないタイプ。カラーはグリ ソーンジュM | ボディカラーはオリーブ サーブルM |
ボディカラーはノワール ディボワールM | ボディカラーはノワール ディボワールM |
ルノー・ジャポンの大極司COOとコレオス開発のプロジェクトマネージャーだったフランソワ・ロラン氏 |
■新型カングーは秋に導入予定
発表会では、ルノー・ジャポンの大極司COOがルノーの「FTS戦略」を打ち出した。
FTSの「F」はフレンチタッチで、「T」はトレンディ、「S」はスポーツ。日本ではフランス文化を愛する人が多く、フランスの想像力あふれるトレンディさ、モータースポーツでF1にかけてきた技術や情熱、といった3つの要素を束ね、フランスらしさという軸を作ると宣言した。
コレオスについても「フレンチタッチの乗り心地」をメインに掲げ、高い4WD性能を持つクロスオーバーであることは、まさにFTS戦略に当てはまると言う。
また、今後のルノー車の導入計画も発表された。秋には人気のカングーの新型を国内導入、トゥインゴRS、ルーテシアRSも予定する。来年はマイナーチェンジしたルーテシアと、カングーのショート版「be bop」などを予定している。
(正田拓也)
2009年 5月 28日