【連載】西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ
第7回:ライトまわりのLED化に挑戦。車幅灯と後退灯のLED化は不正改造?


 GT-Rは走行機能に関わる部位に対して純正品以外のパーツを搭載すると、車両の保証が終了する。

 とは言え、クルマが好きであればカスタマイズをしたくなるもの。車両保証に影響の少ない範囲でのカスタマイズと言えば、電飾系ということになる。今回は、カー用品店でも人気コーナーとなっているLEDライトのカスタマイズをGT-Rでやってみたい。

室内灯のLED化
 まず、手近な内装から始めてみることにした。

 GT-Rの室内灯(ルームランプ)は、純正品ではかなり暗い。室内灯は助手席側、運転席側に、1個ずつT10型コネクタの電球が取り付けられているだけ。半ドアの状態で室内灯が点灯しても、昼間でも夕方でも点いているのが分からないほど暗い。

 人にもよるが、筆者は室内灯を付けたときに明るい方が好みなので、複数のLEDを実装した基板タイプに換装することにした。筆者が選択したのは、ユアーズ製のGT-R用「LEDランプ」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/hid-led-carpartsshop/gt-r-room-led.html)。価格は5250円。片側23個の白色LEDが実装されたもので、運転席と助手席を合わせると46個のLEDが点灯する製品だ。

23個×2(運転席・助手席)で総46個の白色LEDが同時点灯する高輝度タイプ助手席用と運転席用がセットになっている

 取付は、室内灯を覆う透明のプラスチック製のカバーレンズさえ外せれば、もともと刺さっていたT10電球を抜いて、購入したLED基板に差し替えるだけ。電源を入れても光らない場合は、コネクタの向きを逆にすればよい(LEDには極性があるので向きが逆だと光らない)。

 カバーレンズの取り外しは、傷つけないように取り外すためにカー用品店などで販売されている軟質プラスチック製の内装外しなどを利用してもよいが、ヘラのようなものがあれば、そのヘラ先に布を挟み込んで行えば問題ないだろう。

仕事机に入っていた大型のペーパークリップを折り曲げて作った自作のヘラ。先端をやや折り下げることで、内装の爪をひっかけやすくする工夫をしてみた透明カバーレンズの取り外しはこのような感じで行えば内装に傷を付けることはない。用いた布はカメラのレンズ拭き用のもの取り外した透明カバーレンズ。4つの爪で引っかかっている。内側の突起は点灯/消灯用スイッチを押し込むためのものだ

 ユアーズの白色LEDは、室内灯のケース形状に沿ったデザインになっていて、ケース内壁にきちんと収まるようになっている。とは言え、T10コネクタを取り付けただけでは安定性に乏しいので、両面テープで固定しておくとより安定感が高まるだろう。

上側が純正状態で刺さっていた電球。下側の突起がスイッチ純正電球。広い室内をこの電球で照らしていたわけだT10コネクタにLED基板を接続
両面テープで固定純正と白色LEDの比較写真両方交換するとこんな感じに。明るすぎるのでシャッター速度を1/1250秒で撮影。実際にはもっと明るい

 取り付け後に点灯させてみると、室内はまるで蛍光灯照明のコンビニのような明るさになり、昼間でも半ドアであることが分かるほど煌々と輝いてくれる。夜は両方点けると、やや明かる過ぎるかなと感じるほどだ。

純正状態撮影パラメータを同条件にして撮影したLED化後の状態

トランクルームの天井側に備え付けられたトランクルームランプ

トランクルームのLED化
 先代の愛車であるRX-7(FD3S)は、トランクルームに照明がなく、夜にトランクルームから何かを取り出すのがとても大変だった。その点GT-Rはトランクルームランプを搭載しているわけだが、こちらも同様に暗い。

 このトランクルームランプにもT10の電球が使われていて、電球はドーム型の拡散板カバーで覆われており、電球からの発光を拡散させる構造になっている。ドームの内径は約25mm程度、ドームの内側の高さはソケットにはめたT10電球に対してやや余裕がある程度。なので、あまり大型のLED基板やLED電球を入れることはできない。

 最初、筆者は横幅25mm程度の6個のLEDが実装された基板を埋め込んでみたのだが、出射光がスポットライトのようになってしまってトランクルーム全体を照らすことができなかった。ここには、面光源的なLED基板よりも、全方位に光を照射できる電球タイプのLEDバルブを選択したほうがよいようだ。

 結局筆者が選択したのは、SEED STYLE製の側面にも先端にもLEDを搭載し、12個のLEDを実装した電球形状の製品だ(http://www.seedstyle.jp/shopdetail/051000000024/004/003/order/)。価格は2個セットで880円。おそらく、この上位モデルの16個タイプ(http://www.seedstyle.jp/shopdetail/051000000025/004/003/order/)でも大丈夫だろうが、念のために全長の短い12個タイプの方を選択した。

SEED STYLE製の12個のLEDを実装したLEDバルブを選択。2個セット純正電球との比較。筆者は全長をT10型電球に揃えてLEDバルブを選択した

 ドーム型のカバーは、がま口のようにパカリと開くようになっていて、片側がプラスチック製の爪で閉じているだけ。この爪は横にずらせば簡単に外れる。

 T10型の電球を取り外し、そこにLEDバルブを差し込めば作業は終わり。純正の電球の時はトランクルームの端が暗くて見えにくかったが、LEDバルブに交換後はトランクルーム全体に光が行き届くようになり、夜の使い勝手が劇的に向上した。なお、室内灯は明るすぎた感もあったが、トランクルームランプはもう少し明るくてもよいかもしれない。

ドーム型のカバーは留め爪外せば貝のように開く。写真はT10型電球を抜いた後の状態。金色の金属部分が電球差し込み具となるソケット左が純正のT10型電球。右が12個のLEDが実装されたLEDバルブに換装後の状態。撮影条件は揃えて撮影。光が隅々まで届いているのが分かる

ライセンス灯もLED化
 GT-Rのリアのナンバープレートに対して、照明が2灯付く。このライセンス灯も、純正ではT10型電球が採用されている。このライセンス灯にはカー用品店で販売されている、車検対応品のミラリード製(http://www.mirareed.co.jp/)を選択してみた。

 トランクルームランプとして交換したSEED STYLEのLEDバルブと構造がよく似ているが、ミラリード製はLEDの実装数が3個少ない9個となる。GT-Rのライセンス灯の取り外しは非常に簡単で、何の工具も必要なくライセンス灯のユニットを留めているプラスチックの爪を素手で押し込み緩めればガコンと外れる。

ミラリード製のT10型LEDバルブ。9個のLEDが実装された電球タイプだ。価格はカー用品店で2580円だった
右側の爪をすぼめてから引っ張ればライセンス灯のユニットは簡単に外せるソケットにLEDバルブを装着してライセンス灯ユニットに戻して、車両側に付け戻せば作業は終わり

 最初から刺さっているT10型電をLEDバルブに交換するだけ。番号灯ユニットはナンバープレートの左右に2つあるので、両方交換すれば作業終わりだ。

 後述するハイビームと同じような、明るさの向上というよりは、自己満足なカラーコーディネート系のチューニングのように思えるが、実は、光量がアップすると直下の地面にも多くの光が届くようになるので、バックカメラの視界もよくなる。その意味では、もう少し明るくてもよかったかもしれない。

左が純正、右がLED化した状態両方LED化した

カテーシランプのLED化
 ドアを明けたときに、後続の自転車やバイクなどにドアが開いていることを知らせる目的や、降りる際に地面を照らす目的で実装されているのがカーテシランプだ。

 余談だが、「カーテシランプ」という表記自体が完全にカタカナ日本語化した感の強い自動車用語だが、実は英語ではCourtesy Lampと書く。最近では、カーテシランプというと通じない場合もあってドアランプと言ったりする場合も多いようだ。

 さて、GT-Rにはドアの内装側の下部に四角形のカーテシランプが実装されているが、ここもまたT10型のLEDバルブが1個実装されているだけで非常に暗い。しかも、ランプケース形状は四角いのに発光源は丸いので、なんだが美観的にもあまりよろしくない。

 ここは、トランクルームランプに組み込んでいまいち決まらなかった四角形のLED基板を組み込む事にした。

カバーレンズはドライバーで取り外し可能純正はT10型電球を採用

 カーテシランプも室内灯と同じように透明のカバーレンズが被せられているので、これを外す必要がある。ここは室内灯のカバーレンズを外すよりは楽で、マイナスドライバーでも傷を付けずに簡単に外すことができる。選択したLED基板は、ロームの「WLR-06」と呼ばれる製品で、6個の白色LEDが25mm×17mm程度の矩形基板に実装されているものだった。

 交換プロセスは室内灯の時と同じで、T10型電球を抜いてLED基板をソケットにはめた後は、両面テープで固定している。明るさ的には必要十分だが、最近では筆者が買い求めた6個実装タイプよりも、さらにLED実装密度を高めた製品や、SEED STYLEのように色やデザインの凝ったものもあるので(http://www.seedstyle.jp/shopbrand/017/004/Y/)、派手さを求めるならば、それらを検討するのがよいかも知れない。

カーテシランプ用は電球型ではなく基板タイプを選択した。カー用品店で1840円で購入。2個必要なので結構高くつくLED基板を差し込んで点灯を確認。縦横を合わせて両面テープで固定してからカバーレンズを戻す
純正ランプとLEDランプの比較。明るさはもちろんだが、矩形に光るようになり見映え的にも満足

ポジションランプとバックランプのLED化
 GT-Rは、ブレーキランプと後部車幅灯(リアポジションランプ)、リアスポイラーに備え付けられたハイマウントストップランプは純正でLEDを採用している。しかし、前部車幅灯(フロントポジションランプ)、後退灯(バックランプ)には電球が使われており、それぞれT10型電球、T16型電球を採用している。

電球(バルブ)の仕様はオーナーズマニュアルに記載されているユーザーの手による交換が認められており、その手順も事細かに記載されている。GT-Rといえど、何から何まで禁止されているわけではない

 実際に点灯させてみると、前部車幅灯、後退灯はともに黄色く暗い。特に後退灯は夜間、車庫入れを行う際のバックカメラの視界に影響するので明るくさせたい。ということで、この2つもLED化をさせることにした。

 ただ、この辺りのランプは機能性に関わるので、実績のあるものを選びたい。そこで、色々調べた結果、GT-Rの先輩オーナー達から広く愛用され評判も高い「みね商店」のGT-R専用のLEDランプ(http://blueup.cart.fc2.com/?ca=31)を選択することにした。価格は車幅灯用が2960円、後退灯用が4580円。

 GT-Rの前部車幅灯はハイビーム(上向きライト)のレンズの中に挿入されるような構造になっており、点灯させるとハイビームのレンズが鈍く暗く光るというイメージだ。

 車幅灯のソケットはアクセス性がよく、ボンネットを開けると簡単に露出する。このソケットは、その根本の部分をちょっとだけ力を入れてひねるだけで外れる。露出したソケットから元の電球を外してLEDバルブに交換するだけで、交換作業は終わり。とても簡単だ。

GT-R専用設計のLEDバルブ製品群を提供している「みね商店」。GT-Rオーナーからの人気が高いようなので選択してみたボンネットを開けると露出する車幅灯のソケットソケットはねじるだけで簡単に外せる

 純正のT10型電球と比較して、みね商店のLEDバルブは背が高いが、バルブ自体はハイビームレンズ内の中空に露出させる構造なので引っかかることはない。むしろもう少し背が高いものでも収まりそうだ。

左が純正のT10型電球。右が「みね商店」のLEDバルブソケットにLEDバルブを装着。これをライトユニットに戻してねじってはめれば交換完了。とても簡単交換後の状態。中央に見えるのがハイビームのハロゲン球

 一方でやや面倒なのが後退灯の交換だ。

 オーナーズマニュアルでは「トランクルームの内装をすべて外せ」と書いてあるが、それは方向指示灯(ウィンカーランプ)までを交換する場合で、筆者が実際に作業してみた感じでは、後退灯の交換だけならばそこまでの分解は必要ないと感じた。トランクルームの正面に向かって手前側の内装パネルを外せば、後退灯だけは交換が可能だった。

 トランクの内装パネルを外すには、これを留めているプラスチックのクリップを数個外す必要がある。これは難しい作業ではなく、マイナスドライバーを溝に差し込んでグイッとねじるだけでパチンと簡単に外れる。

実際に筆者が作業してみた感じでは、後退灯の交換だけならばここまで大がかりな内装外しは不要だったクリップは写真のように大小のもの2種類があるが、ともにマイナスドライバーで簡単に外せる

 手前側のトランク内装パネルが外れたら、今度は後退灯のちょうど裏側にある丸いゴム製のコーキングパーツ(シールパーツ)を外す。このゴム栓のようなパーツは、外部から水が浸入してきたときに、ライトユニットにまで水が入らないようにする、文字通り“栓”の役割をしている。このゴム栓を剥がすと、ちょうど前部車幅灯の時と同じようにねじると外れるソケットにアクセスできるので、同様の手順でソケットを取り外して交換する。

手前側の内装パネルを外せば後退灯の交換が可能後退灯のソケットが封印されているゴム栓を外す

 後退灯の純正電球は、T16型の口金の大きいものだったが、交換したみね商店のLEDバルブも相当の大型のものになる。電球型バルブにもかかわらずLED実装数はなんと27個。純正よりも背が高くなるが、さすがGT-R専用設計で販売されているだけあって、しっかりレンズ内に収まってくれた。

「みね商店」のGT-R用後退灯LEDバルブはなんと27個ものLEDが実装されている純正のT16型電球が刺さった状態のソケット
「みね商店」のLEDバルブを装着した状態のソケット装着後の後退灯

 交換前の純正状態と比較して、前部車幅灯は光量が増し、すっきりとした純白色となり見栄えもよくなった。

 そして、後退灯は高輝度なLED懐中電灯並みに光るため、バックカメラの視界はビックリするほどよくなった。夜のコンビニ灯で後退しながら駐車する際にも、これだけ明るければ、駐車スペースを突然横切るような歩行者に対しても十分な警告効果が期待できるだろう。

純正状態の車幅灯LED化後の車幅灯。撮影条件は揃えて撮影。光量も増し、白味が際立つ後退灯を点灯させたところ。相当に明るい

ハイビームは色温度を上げた高効率バルブに交換
 このほか、GT-Rの照明関係で気になるのはハイビームだ。

 GT-Rでは、ロービーム(下向きライト)はD2S型のキセノンランプを採用したプロジェクターランプになっているが、ハイビームはH9型のハロゲンバルブが採用されている。

 GT-Rのハイビームのプロジェクターランプ化は、HKSテクニカルファクトリー(http://www.hks-tf.co.jp/r35gtr/h_hid.htm)のものなどいくつか製品化されているが、プロジェクターランプは点灯してから最大光量になるまでに遅延があり、パッシング動作に追従できない場合もある。そのため、プロジェクターランプ化せず、あえて電球のままにするオーナーも少なくない。

 筆者の場合は「ハイビームの使用頻度が低い」と判断し、コストの高いプロジェクターランプ化は行わないと決めた。しかし、純正電球のままではLED化した車幅灯やプロジェクターランプのロービームとの色あいのマッチングがよくないということで、カラーコーディネイトの意味合いを込めて高効率型のハロゲンバルブを換装することにした。

 ハイビームは色温度を高くしすぎると、雨や霧の時に遠くまで届きにくく、視界がわるいという意見があるので(その反対意見も多いが)、筆者は車検対応品であるFETのCATZブランドの「ブルーインパクトVer.2」(http://www.fet-japan.co.jp/catz/products/bulb/bulb_b-imp02.html)を選択した。色温度は5000K。

 ちなみに、色温度の高いH9型の高効率タイプはあまりバリエーションがなく、これ以外にはPIAAから4800Kのもの(http://www.piaa.co.jp/products/car/bulb/halogen/index.html#4)がリリースされている程度だ。

 ハイビームの交換は前輪のタイヤハウスからタイヤを取り外して行うことになり、斜面になっている筆者宅の駐車場では作業するのは無理だと判断し、プロに依頼して交換を行ってもらった。「高効率バルブ」といっても、こちらは光量自体にそれほど大きな向上があったとは思えず、当初の予想通り、ややファッション性重視の光り物チューニングになった感が強い。

純正ハイビーム5000Kの高効率バルブに交換後の状態。撮影条件は揃えて撮影。若干、光量は増した感じもあるが、基本的にはカラーコーディネイトという感じになった

車幅灯と後退灯のLED化は、例えそのLED製品パッケージに「車検対応」と記載されていても埼玉日産では不正改造と見なされる

LED化は不正改造!?
 このLED化を初めとした光り物チューニング完了後に、新車2000km点検を日産ディーラーで行ったのだが、車両を引き取りに行った際に驚くべきものを手渡された。それは「整備改善依頼書」だ。

 どうやら、車幅灯と後退灯をLED化したことが「不正改造」と見なされたらしい。「電球の交換はオーナーズマニュアルに載っているので問題ないはずでは?」という筆者の質問に対しては、「電球自体の交換自体に問題はないが、LED化したことが問題」との返答であった。実際、高効率バルブに交換したハイビームに関してはおとがめはなしだ。

 さらに補足すると、「GT-RだからLED化がダメ」ということではなく、埼玉日産では全社的に「どの車種においても外装電装で工場出荷状態で電球を使っている部位をLED化した場合は不正改造と見なす」という姿勢なのだと言う。

 そのLEDバルブが、例え車検対応品だとしてもダメだそうで、「LEDバルブというパーツ自体がまだ過渡期であるため、認められない」という立場を採っているのだそうだ。なので、「違法改造」ではなく埼玉日産の立場から見ての「不正改造」という解釈になっている。

 GT-Rでいうところの純正でLED化されている制動灯、後部車幅灯、ハイマウントストップランプなどは、日産が車両を設計した段階でLEDバルブの性能試験を実施しているため「問題なし」と判断しているそうだ。ちなみに、室内灯やトランクランプといった内装照明のLED化に関しては、特に問題ないと言う。

 LEDを中心としたドレスアップは、クルマ好きの間ではカジュアルに楽しめる人気のテーマだけに、こうした「落とし穴」が隠れているとは意外だった。LED化を考えている場合は、このようなことのないようディーラーに確認していただきたい。

(トライゼット西川善司)
2012年 7月 23日