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NEXCO中日本、7月に全線開通する舞鶴若狭道 小浜IC~敦賀JCT間の事前見学会を実施

工区担当者は“若狭路女将の会”に夏休み前の開通を要望される

建設の進む舞鶴若狭道 小浜IC~敦賀JCT間
2014年5月1日実施

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は5月1日、7月中に暫定2車線で開通すると発表した舞鶴若狭自動車道(以下、舞若道)小浜IC(インターチェンジ)~敦賀JCT(ジャンクション)間約39kmの一部を報道陣向けに公開した。この区間が開通することにより、中国自動車道 吉川JCT~北陸自動車道 敦賀JCT間を結ぶ舞若道 約162kmが全線開通し、琵琶湖を挟み、北に舞若道、南に名神高速道路という関西と北陸を結ぶダブルネットワークが完成する。

 公開が行われたのは、開通区間の北陸道 敦賀JCT寄りから敦賀衣掛大橋(全長570m)、敦賀南スマートIC、御嶽山トンネル(1338m)、三方五湖PA(パーキングエリア)の4個所。これでJCTがあれば高速道路のアイテムをフルカバーという感じだが、上記4個所を立ち寄りつつ建設中の高速道路上をマイクロバスで移動した。

敦賀衣掛大橋

敦賀衣掛大橋

 最初に立ち寄ったのは敦賀衣掛大橋。JR北陸本線のループ区間をまたぐように設置されていると書けば、一発で場所が思い浮かぶ人もいるだろう。敦賀衣掛大橋は新規開通区間では最も敦賀JCT寄りの橋梁で、その特徴としては「さまざまなものをまたいでいることが挙げられる」とNEXCO中日本の担当者は語る。実際、橋梁の下には、敦賀側から、国道8号バイパス 坂の下トンネル、JR北陸本線(上下)、国道8号、笙(しょう)の川、北陸電力高圧送電線、JR北陸本線衣掛第一トンネルがあり、いずれも幹線であることから慎重な工事が求められたとのこと。

敦賀衣掛大橋の北側をパノラマ撮影(クリックすると3705×800ドットの画像が開きます)
敦賀衣掛大橋はこの位置にある。下に北陸本線のループがあり、トンネルの一部を越える形で橋は架けられている。Googleマップには舞若道の予定線がすでに入っており、拡大するとそのルートが分かる
各ポイントではこのようにして説明などが行われる
工事の特徴
JR北陸本線をはじめ、さまざまな幹線を乗り越えている。とくに北陸電力の高圧送電線の乗り越えには注意したとのこと
発熱繊維を用いたロードヒーティングが埋め込まれている
地上70mに位置するため、橋からものが落ちないように高さ3mのフェンスを設置。また、フェンスが地震などで壊れて落下しないよう、フェンスパネルにケーブルを貫通させている
敦賀方面に向けて撮影。まだ舗装が終わっていない。左はロードヒーティングの工事を行っている個所
ロードヒーティングの説明中
発熱繊維。電気を流して発熱させているとのこと

 また、自動車や橋からの落下物がないよう、3mのフェンスを設置。フェンス上部は高速道路側に雪が落ちるよう斜めになっているほか、この区間が4%の勾配があるためロードヒーティングが用意されている。このロードヒーティングは、3.5%以上の勾配のある3区間(敦賀衣掛大橋含む)に加え、全トンネルの出入り口、各料金所のゲート付近の路面に埋め込まれ、除雪後の凍結などを防ぐ役割を果たす。

フェンスの説明中。人の高さの約2倍ほどあることが分かる
フェンスの始まる個所。橋のほとんどはフェンスで覆われているため、眺めはあまり期待できない
フェンス上部はこのように斜めにすることで、雪などを道路側に落とす構造としている。ケーブルはフェンスパネルを貫通しており、万が一の際の落下を防ぐ
敦賀衣掛大橋から北となる敦賀湾方面を見たところ。右下に特急サンダーバードが走っていた
こちらは、南側の風景。右に見える山の中に北陸本線のループ部分がある

敦賀南スマートIC

敦賀南スマートICが作られる個所。上下各2車線分の幅が確保されている。開通は2016年度中のため、工事はまだ半ばまで達していない雰囲気

 次に訪れたのは、敦賀南スマートIC。今回の新規開通区間では、敦賀JCT側から敦賀南スマートIC、若狭美浜IC、若狭三方IC、三方五湖PA・三方PAスマートIC、若狭上中ICと出入り口が並ぶ。通常のICは道路開通と同時に開通するが、敦賀南スマートICは2016年度、三方五湖PAに併設される三方PAスマートICは2015年度中の開通を予定している。これは、スマートICの設置が決まったのが通常のICよりも後になるためとのことだ。

敦賀衣掛大橋と同様、即席のプレゼンテーション
左に見える半円形の構造物が若狭湾エネルギー研究センター。そのすぐ近くに敦賀南スマートICが設置される
Googleマップだとこの位置。下に見えるのが若狭湾エネルギー研究センター
敦賀南スマートICの平面図
敦賀南スマートICから小浜IC方面を望む
敦賀南スマートIC用の道路の準備はされていた。左側に見えるアスファルトの部分は将来的になくなり、この空間に敦賀南スマートIC進入路が作られる

 このスマートICでは、舞若道に用いられたアスファルトの説明も行われた。道路表面から水を浸透させ、ハイドロプレーニングなどを防ぐ高機能舗装アスファルトは、その構造上目が粗く、耐久性が低くなっている。そのため、舞若道では上部の目が粗く、下部の目は詰まっている高機能II型(従来の高機能アスファルトは高機能I型と呼ばれる)を投入。排水量は高機能I型に劣るものの耐久性に優れているため、トンネル内などそもそも雨のたまりにくい場所に使用することでメンテナンスコストの低減を行う。高い速度で走ることのない(ハイドロプレーニングが起きづらい)SAやPAの路面でも用いていくとのことだ。

車道のアスファルトの違い。高機能I型と高機能II型を使い分ける
トンネルやPAでは高機能II型を使用する
道路断面図
左が高機能I型、右が高機能II型
高機能I型。水が通りやすいように目が粗くなっている。そのため摩耗しやすくメンテナンスコストがかかる
高機能II型。表面は目が粗いが、下に行くとすぐに密度が高くなる。排水量は高機能I型に劣るが、耐久性は高い。PAやトンネルなど、ハイドロプレーニングが起きにくい個所で使われていく

 舞若道は将来の拡張を考慮し、片側2車線、上下4車線での用地取得を進めている。しかしながら、基本的に片側1車線、上下2車線の対面通行で開通する。そうした中でも、1部片側2車線になる区間もあり、敦賀南スマートICはそうした区間の1つになっていた。

敦賀南スマートICから小浜IC側に進むと車線が減少するため、標識類で警告が行われる
動物注意の標識もあるようだ
若狭美浜IC付近は工事中だった
ちょうど出口標識を取り付けていた
高速道路からちらりと見えた若狭美浜ICの料金所
若狭美浜ICから御嶽山トンネルへと向かう
御嶽山トンネルが見えてきた
御嶽山トンネルの標識の上にはトンネル番号が振られている。吉川JCT側から数えて11番目のトンネルとなる

御嶽山トンネル

内装工事も終わった御嶽山トンネル
トンネルの構造図

 御嶽山トンネルは全長1338mとなるトンネルで、NEXCO中日本として防災区分A、つまりトップクラスの防災設備を持つトンネルとなる。今回の開通区間である全14トンネルの照明はすべてLEDが用いられ、高輝度・長寿命によりメンテナンスの容易さや安全性の向上に寄与する。

 NEXCO中日本のトンネルとなると、どうしても笹子トンネルの天井板崩落事故が思い浮かんでしまうが、そのトンネル事故の検証に基づく設計変更などがあったとのこと。天井板は当然のように存在せず、トンネル内の空気循環を行うジェットファンも従来の吊り金具に加え、補助吊り金具を追加。腐食に強いステンレス製としているほか、振動センサーが取り付けてありモニタリングを行っている。また、トンネル近辺にあるICの案内板も天井には吊らず、トンネルの側壁に設置。落ちる要素をなくしている。

 但し、これには案内板が見づらくなってしまうというデメリットがある。そのため、トンネル壁面にICが近づいていることを示す標識を設置。(とくに右ステアリング車の)ドライバーから確認しやすいような工夫が行われている。

御嶽山トンネルの内部。これは小浜IC側を見たところ。左側に避難路があることから上り側のトンネルを暫定運用していることが分かる
トンネル内のモニタリング機械。トンネルの内部映像を交通センターに送る
非常電話
トンネルの壁面にはアンテナ線が張られている。これにより、AM、FMラジオの受信が可能となっている
非常口の案内
消火栓
LED照明。50個のLEDで1ユニットが構成されていた。方向性のあるプロビームではなく、フラットに光が拡がる仕様
トンネルの途中にある待避口。将来的に下りのトンネルができたときに接続される
現在は行き止まりとなっている

 この御嶽山トンネルは、対面通行で開通。舞若道は中国道へ向かうほうが上り線となり、KP(キロポスト)も中国道 吉川JCTをゼロとして刻まれている。NEXCO中日本のスタッフによると、トンネルは上り用、下り用の片側だけを先に供用することがあり、この御嶽山トンネルも片側のトンネルだけを使って対面通行で開通するとのこと。上り用トンネル、下り用トンネルのどちらが使われたかは側壁にある待避路を見て判断できるという。御嶽山トンネルは上り方向を向いて左に待避路があることから、上り用のトンネルが使われていると特定できる。

トンネル内のIC標識。天井から吊られるのではなく、側壁に取り付けられている。これにより落下事故を防ぐ
147.8のキロポスト表示。始点は吉川JCT
ドライバーから見やすく工夫されたICの予告。吊り下げ標識より目立つよう工夫している

三方五湖PA

建設が進む三方五湖PA

 最後は、新規開通区間では唯一の休憩施設となる三方五湖PA。名前のとおり、5つの湖からなる三方五湖を北に望むPAになる。三方五湖の周辺は、出口が閉塞したおぼれ谷構造になっている個所(昔、湖や湿地帯だった)があり、場所によっては厚さ40mにおよぶ軟弱地盤があるという。そのため、三方五湖PA付近の高速道路本線の盛土は、SD(サンドドレーン)、CBD(カードボードドレーン)による試験盛土を実施。いずれも土壌内の水分を積極的に抜く工法だが、総合的に判断してCBD工法を採用したとのことだ。CBDの打設も盛土本体の下だけでなく、盛土の周囲に盛る、押え盛土下部にも行うことで、より広域に排水。さらに真空ポンプで水分を引き上げる真空圧密工法による地盤改良も行っているという。

 三方五湖PAは、海水浴客の利用も見込めることから、女性用トイレにはパウダーコーナーを設置。冬は寒くなる地域であるため、便座には節電機能のついた暖房便座を用意する。照明はLED、大型交通情報ディスプレイなど、PAとしては豪華な設備を備える予定だ。

Googleマップによる三方五湖PAの位置
拡大したところ。すでに三方五湖PAのデータが準備されているのが分かる
三方五湖PA付近の地盤構造
CBDによって排水を積極的に行った
沈下量などが示されていた
三方五湖PA付近にある鳥浜トンネルの構造図。地盤が弱いことから、一気に2つのトンネルを作り上げている
トンネル工法の説明
掘削について
トンネルの構造
完成したトンネル入口
三方五湖PA完成予想図
ロードヒーティングやLED照明などを採り入れていく
ロードヒーティングは、舞若道の各所で積極的に利用されている
トイレには瞬間暖房便座なども設置

 この三方五湖PAでは、別途見学会を行っていた若狭路女将の会「わかさ会」(会長:美浜町「錦波 とろこば亭」金森悦子女将)のメンバーも合流。地元敦賀市や美浜町の旅館の女将らによる集まりで、舞若道の開通には観光客の誘致など高い期待を持っており、NEXCO中日本 名古屋支社 敦賀工事事務所 宇野秀保所長に夏休み前の開通(7月20日以前の開通)を強く要望していた。

若狭路女将の会「わかさ会」
夏休み前の開通を要望していた
揃いのはっぴ

 舞鶴若狭自動車道は、1987年3月18日に丹南篠山口IC~福知山IC間が開通。約27年で全通することとなり、盲腸線の歴史を終える。道路ネットワークはつながることでより効果的なものとなっていくので、全通した際は物流や観光に大きな力を発揮するだろう。NEXCO中日本のスタッフは、敦賀の市街地を望むように走る高速道路なので、市街地の灯りに高速道路を走るクルマのヘッドライトやテールライトの灯りが加わることで美しい夜景が作り出されることを期待していたのが印象的だった。

(編集部:谷川 潔)