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豊田自動織機株は非公開に、トヨタ不動産が公開買付けを発表し新たに持ち株会社を設立 トヨタ自動車や豊田章男氏、トヨタグループが出資
2025年6月3日 16:08
- 2025年6月3日 発表
トヨタ不動産は6月3日、「株式会社豊田自動織機の株券等に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」を公表した。これは豊田自動織機株の公開買付けおよび同社の非公開化を目的としたもので、トヨタ自動車、アイシン、デンソー、豊田通商も参画する。公開買付け価格は、普通株式1株につき1万6300円で、総額は約3.7兆円。公開買付けの開始は12月ごろを予定している。
非公開化にあたっては新たに持ち株会社を設立し、トヨタグループの株主であるトヨタ不動産が約1800億円出資。トヨタグループとの連携・協調を実現するとしている。豊田章男氏も本件に対するコミットメントの観点で10億円の出資を行なう。
トヨタ自動車は議決権を持たない優先株で約7000億円の出資を行ない、上場時にトヨタ不動産、豊田章男氏、トヨタ自動車が保有していた豊田自動織機株式を売却し、改めて一部を再出資することを予定する。
さらに、トヨタ自動車、アイシン、デンソーおよび豊田通商は保有する豊田自動織機の株式の売却を行ない、同時に豊田自動織機が保有する株式の自己株式公開買付けを行なう。これにより、豊田自動織機と4社間の株式の持合いは解消される。トヨタ自動車による優先株出資は継続するという。
豊田自動織機は「モノ」に関し、多様化・高度化する物流現場のニーズに応えるため、フォークリフトなど物流機器の自動運転技術や物流管理のソフトウエア、環境性能に優れたパワートレーン開発に注力しており、今後はモノの動きに関するデータ活用にも取り組んでいく。
豊田自動織機は株式非公開化を通じ、トヨタグループでのさらなる連携強化を図り、このような取り組みをダイナミックかつスピーディーに進め、グループ変革のための「モノ」のモビリティ領域をけん引するとしている。
トヨタ自動車は豊田自動織機の非公開化および一連の取引に参画する意義・目的について以下のように投資家向けに開示している。
豊田自動織機の非公開化および一連の取引に参画する意義・目的について トヨタ自動車
本自己株公開買付けは、上記のとおり、豊田自動織機の非公開化の一環として実施されるものではありますが、当社として、豊田自動織機の非公開化及び一連の取引に参画する意義・目的について、以下のように考えております。
当社としては、1926年11月に豊田佐吉発明の「G型自動織機」を製造するため、愛知県刈谷市に設立された株式会社豊田自動織機製作所(現在の豊田自動織機)内に1933年に開設された自動車部を起源として、創設以来、「自動車を通じて豊かな社会づくり」を目指して、自動車生産・販売を軸とする事業活動を行ってきましたが、現在、自動車業界は百年に一度の変革期にあり、トヨタグループ(必ずしも親子会社・関連会社又は共同支配企業の関係にあるものではありませんが、当社、トヨタ不動産、株式会社デンソー、豊田通商株式会社、株式会社アイシンら合計18社(2025年3月31日現在)により構成されます。以下同じです。)として、「幸せの量産」を使命に「モビリティカンパニーへの変革」にチャレンジするとともに、これらを通じて、日本ひいては世界のモビリティ産業の発展に貢献することを目指しております。モビリティの領域には、ヒト、モノ、情報及びエネルギーという4つの視点があり、その中でも当社は、ヒトの移動という観点でクルマの進化に取り組み、笑顔があふれる「モビリティ社会」の実現に貢献していくことを目指しています。一方で、当社としては、トヨタグループが「モビリティカンパニーへの変革」を目指すにあたっては、ヒトの移動だけでなくモノの移動にも注力する必要があると考えており、トヨタグループの中でフォークリフトから物流機器・システムに至る幅広い領域の商品・サービスの開発・生産・販売を行う産業車両事業を有し、モノの移動に関するリーディングカンパニーとしてグローバルに活躍する豊田自動織機は、これらの変革に欠かせない存在であり、更なる競争力強化が重要であると考えております。
他方で、トヨタグループ各社は、トヨタグループの更なる成長の実現のため、当社のウェブサイトにて2023年11月29日にお知らせした「モビリティ・カンパニーへの変革に向けた成長投資加速」等に記載のとおり、2023年度より、これまでの良好な関係を保つことができる資本関係を維持しつつ、トヨタグループ各社が相互に所有する株式を売却することによって得られた資金をトヨタグループ各社において有効活用することにより、資本効率の向上に取り組んでおり、当社は、その一環として、当社として、豊田自動織機との資本関係についても、その見直しを含めて、様々な選択肢を継続して検討してまいりました。
その結果、当社としては、豊田自動織機が現在の収益ビジネスの基盤を維持・強化しながらも、短期的な業績悪化の懸念にとらわれず、豊田自動織機がトヨタグループのプラットフォーム(ネットワーク、事業、技術、人材等)を最大限に活用し、トヨタグループ各社との事業連携・協調を深め、新たな販路や事業を切り拓いていくことで長期的な視点でモノの移動に関するリーディングカンパニーとしての成長を実現していくことが豊田自動織機の企業価値向上、ひいては「モビリティカンパニーへの変革」にチャレンジしているトヨタグループ全体の価値向上に資すると考え、トヨタグループ各社における資本関係の見直しを進める中で、豊田自動織機において非公開化を検討すべきとの判断に至りました。上記背景の下、当社は、2024年12月16日、豊田自動織機に対して、トヨタグループがヒト、モノ、情報、エネルギーの移動を支えるモビリティ産業を牽引する企業グループへの変革を果たしていく中で、豊田自動織機が産業車両、物流ソリューションといったモノの移動を中心とした領域をトヨタグループ内で牽引するとともに、また、トヨタグループとの一層の連携深化を通じて、豊田自動織機自動車事業の競争力を強化することを目的に、非公開化を含む抜本的な施策を検討すべきであると考え、公開買付けを含む豊田自動織機の非公開化の検討に係る初期的な意向表明書を提出いたしました。



