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三菱自動車、新中長期ビジョン説明会 「新型パジェロを象徴に“尖った商品”に集中する」と加藤隆雄CEO
2026年6月1日 10:45
- 2026年5月29日 発表
三菱自動車工業は5月29日、2030年代に向けた新たな「中長期ビジョン」を発表した。同日に三菱自動車本社で行なわれた同説明会では、フラグシップSUV「パジェロ」の今秋復活を筆頭に、「尖った商品」に集中し今後5年間で13車種を投入する商品ロードマップや、世界トップクラスの熱効率48%を目指す自社開発エンジンの計画、ブランド価値を起点とした販売網の刷新などが明らかにされた。
外部環境の激変と「変化に対応しやすい小まわりの利く体制」への変革
説明会ではまず加藤CEOが、2021年度から開始した前中期経営計画「Challenge 2025」を振り返った。この期間はコロナ禍に始まり、ロシア・ウクライナ情勢、米国の関税政策、中国ブランドの急台頭など、地政学リスクを含めた不確実性が継続的に高まったと分析。
販売台数や収益は当初想定を下まわったものの、「既存モデルの売価改善を着実に推進し、収益体質の改善も進めたことで、外部環境の影響を受けながらも、収益を確実に底支えする体制ができたという点が、この期間の重要なポイント」とし、中国市場からの撤退による事業スリム化や財務健全性の確保により「負の遺産を持たず、変化に対応しやすい小まわりの利く体制であることは大きな強みである」と自信を見せた。
一方で加藤CEOは、現状の課題として、販売現場におけるブランド訴求力の不足や、中堅市場での商品力の低下を挙げた。特に「アジア向け商品に少し振りすぎた結果、強みであったオーストラリアでの市場で商品が弱くなったこともある」と述べ、一部地域での苦戦を招いたことを認めた。
成長ドライバーは尖った商品力とブランドの強化
これらを踏まえ三菱自動車は、「尖った商品・ブランドの強化によりお客さま満足と企業価値を向上」を中長期ビジョンとして打ち出すこととし、アセアン商品群とオフロード商品群を軸に展開する。
加藤CEOは、今回の計画が「従来の中期計画の延長線ではなく、当社のアイデンティティを再定義し、抜本的な改革に向けた施策を明確にすることが重要」と強調した。
「尖った商品」に集中する理由は、三菱自動車の価値が「悪路走破性、耐久性、信頼性、電動化技術を含めた環境性能」だとし、技術や商品特性をベースに、地域ごとに最適化された価値提供を行なうことが「三菱自動車らしさ」の本質とした。
成長戦略の象徴が「パジェロ」の復活、富裕層を取り込むハイブランド店の新設
中長期ビジョンのなかで、最も注目を集めたのがフラグシップSUV「パジェロ」の復活と今秋投入の発表。「販売を終了してからも各国でお客さまからその復活を望まれる声が非常に強い」と要望があったことを明らかにし、顧客の熱い期待が復活の原動力になったと語った。
新型パジェロは、ピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームを採用しつつ、クロスカントリーSUVとして専用開発する。さらに、「パジェロ・シリーズ」としてスモールSUVやコンパクトSUVを含めた展開も発表された。
ラインアップについては、「あれもこれもではなく、当社の強みが最も生きる領域にリソースを集中し、商品力、ブランド力の明確化を図りつつ、一部領域においては協業モデルを活用しながら、効率的に商品ラインアップを補完する計画」とし、販売戦略も「台数重視」から「価値訴求型」へと転換する「収益アップ戦略2.0」に移行する。
その具体的な施策として、新型「パジェロ」の導入に合わせた「ハイブランド旗艦店舗」の新設が発表された。説明会中、岸浦COOもパジェロについて「ラグジュアリーカーが世界で人気だが、その購入層にもご愛顧いただけるクルマに仕上げている」と話していることからも、パジェロが富裕層を含む新たな顧客層の取り込みを狙う高価格帯の商品として登場することがうかがえた。
また、パートナーとの協業については、日産やルノーとのアライアンスを基盤としながらさまざまなプロジェクトを推進する。日産との間では日産の北米生産工場を活用した新型ピックアップトラック協業、水島製作所での軽自動車のEVおよびICEモデル次期車の協業、さらに、鴻海(ホンハイ/Foxconn)と進めてきたEVのプロジェクトは今年、オーストラリアで立ち上がるという。
世界トップクラスの「48%熱効率エンジン」と開発期間36か月への短縮
続いて登壇した岸浦COOは、さらに具体的な商品戦略について説明し、「2026年度から2031年度にかけて、絶え間なく新型車13モデルを投入」とラインアップ強化を打ち出した。そのうち尖った商品に集中する一方で、協業モデルを活用しながら、自社開発はHEVとPHEVに注力する。
これに、PHEVおよびHEVに特化した新型ガソリンエンジンを自社開発し、世界トップクラスの熱効率48%を実現すると表明、社内の先行実験ではすでに48%を実現しているという。
ただし、新型エンジンについて加藤CEOは、「全く新しく開発するわけではなく、われわれがすでに持っている、生産ラインもあるエンジンを徹底的に改良することで新型のエンジンにする」とした。
一方、中国メーカーなどのスピード感に対抗するため、車両開発期間を従来の45か月から36か月へと大幅に短縮する構造転換も進める。岸浦COOは「中国ブランドに代表される強豪ブランドとは別次元の特徴を磨き、自動車業界において独自のポジションを確立していく」と強調した。
また、コスト競争力強化の観点から、プラットフォームを5種類から3種類に集約し、部品の共用化を進め、構造的なコスト低減を図るとした。

















