三菱、自動車部品に適合する高耐熱性の木材原料樹脂を開発 カップ型灰皿として製品化し、他の部品にも応用。CO2削減や山林再生に貢献 |
三菱自動車工業は6月18日、スギの間伐材を主原料とする木材原料の樹脂「液状化木材フェノール樹脂」を開発し、同樹脂を採用したカップ型灰皿を7月1日に製品化すると発表した。木材原料樹脂の自動車部品への応用は世界初としている。
液状化木材フェノール樹脂は、同社独自の植物由来樹脂技術「グリーンプラスチック」の第4弾となる技術。白石信夫京都大学名誉教授が発明した木材を液状樹脂化する技術を元に、アグリフューチャー・じょうえつ、パナソニック電工と共同で研究開発したもので、液状木材樹脂に充填材や硬化剤などを配合することで、耐熱性や難燃性など自動車部品の高い要求仕様に適合する樹脂材料の開発に成功したと言う。
耐熱性が高いため、従来では石油由来のフェノール樹脂材料を用いてきた灰皿をはじめ、オイルフィラーキャップ、断熱材、プーリーなどのエンジンルーム内の耐熱樹脂部品への応用ができるほか、電気絶縁性も高いためモーターなどの電気部品への応用も期待できるとしている。今回製品化するカップ型灰皿は、液状化木材フェノール樹脂を実用化した最初の製品で、今仙電機製作所の協力を得て部品成型している。
なお、カップ型灰皿の本材料使用部位で原料採取から廃棄までのライフサイクル全体のCO2排出量を試算したところ、従来品と比較して約16%のCO2削減を達成したと言う。また、この技術によって用途が限定的なスギ間伐材などの付加価値向上につながるほか、主に焼却利用していた製材所や家具工場などでの廃材や木粉の有効利用につながり、国内山林再生に貢献できる可能性もあるとしている。
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2009年 6月 18日