ジャガー、大きくスタイルを変えた新型「XJ」 時計以外に「針」がない、バーチャル・インストゥルメントパネルを採用 |
英Jaguar Carsは7月9日(現地時間)、新型「XJ」(X351)を発表した。欧州ではFセグメントに分類される大型のスポーツセダンで、同社4ドアサルーンのフラッグシップモデルと位置付けられる。
V6エンジンまたはV8エンジンをアルミボディーに搭載する構成は踏襲されているが、スタイリングはこれまでのXJとは大きく異なり、同社のミドルクラスサルーン「XF」同様の意匠で揃えられている。
特にフロントマスクは、ヘッドライトが丸目4灯から異形となり、グリル中央のバーが無くなり、メッシュの1枚タイプとしたことで、大きく表情を変えている。リアのランプクラスターはトランクリッド上面に及ぶ長い形状になり、トランクリッドのクローム装飾がなくなり、フラッシュサーフェイス化された。全体のフォルムは前傾をやや強め、ルーフラインがリアウインドーに続くワンモーションのクーペ風形状とし、よりアグレッシブな印象を強めている。
各モデルとも、スタンダードホイールベース(SWB)モデルと、ロングホイールベース(LWB)モデルが用意される。ボディーサイズは若干拡大されており、LWBモデルはリアシートの足元がこれまでよりも125mm伸びたほか、トランク容量も520Lに増えている。
スライドオープンするガラスルーフを採用したのも新型XJの大きな変更点。ルーフガラスには特殊反射コーティングが施され、直射日光による車内の温度上昇を防ぐほか、ツイン電動ブラインドも備える。
エンジンはツインシーケンシャルターボチャージャー付3リッターV6ディーゼル、自然吸気5リッターV8直噴ガソリン、スーパーチャージャー付5リッターV8直噴ガソリンの3種で、スーパーチャージャー付エンジンには346kW(470PS)と375kW(510PS)の2つのチューンが用意される。トランスミッションはすべて6速AT。
ロンドンで開かれた新型XJの発表会。写真左がジャガーのチーフ・デザイナーであるイアン・カラム氏。右がJaguar Carsのマイク・オドリスコル社長。中央はカーマニアとして知られる米国のコメディアン、ジェイ・レノ氏 |
このほかエアサスペンション、アダプティブ・ダイナミクス(連続可変ダンパー)、アクティブ・ディファレンシャル・コントロール(ADC)、クイックレシオ・パワーステアリングなどを搭載。エンジンやトランスミッション、サスペンション、アクティブ・ディファレンシャル・コントロール・システム、DSCの設定を「ダイナミック」と「ウィンター」に切り替えることができる「ジャガー・ドライブ・コントロール」を採用する。
インテリアには、XFやXKでも採用されている円筒形アルミのロータリー・シフト・セレクター「ジャガー・ドライブ・セレクター」を採用。パドルシフトによるシフト操作も可能となっている。
また、アナログ時計以外の機械的な計器類を廃し、12.3インチの高解像度バーチャル・インストゥルメントパネルを新たに採用した。通常は3つのバーチャルメーターを表示するが、重要な情報を優先表示する「スポットライト」機能を備える。これにより、残燃料が少ないときやラジオのチューニング中にタコメーターの代わりに必要な情報を表示したり、ジャガー・ドライブ・コントロールをダイナミックモードにすると文字盤の色が赤になり、ギアポジション・インジケーターを強調したりするなどの機能を備える。
さらにオーディオやエアコン、カーナビのコントロール用にデュアルビュー技術を搭載した8インチのタッチスクリーンを搭載。1枚のディスプレイで、ドライバー側とパッセンジャー側に同時に異なる2種類の映像を表示できるため、ドライバーがカーナビ画面を見ているときに、パッセンジャー側でDVDビデオ映像を表示するなどの使い方ができる。
オプションでBowers & Wilkins製1200Wオーディオシステム、DTS Neo:6デコーダーなどを用意する。フロントシート・ヘッドレスト裏の8インチのディスプレイと、赤外線方式のワイヤレス・デジタルヘッドフォンを備えるリアシート・エンターテインメントシステムも用意される。
■前モデルとのサイズ比較
新型XJ(X351) | 現行XJ(X350) | |||
SWB | LWB | SWB | LWB | |
全長(mm) | 5122 | 5247 | 5100 | 5225 |
全幅(mm) | 1894 | 1900 | ||
全高(mm) | 1448 | 1460 | 1465 | |
ホイールベース(mm) | 3032 | 3157 | 3035 | 3160 |
前トレッド(mm) | 1626 | 1555 | ||
後トレッド(mm) | 1604 | 1545 | ||
トランク容量(L) | 520 | 470 |
■新型のエンジンと車両重量
XJ 3.0L V6D 600 | XJ 5.0L V8 N/A | XJ 5.0L V8 S/C | XJ 5.0L V8 S/C | |
排気量 | 3リッター (ディーゼル+ターボチャージャー) | 5リッター | 5リッター+スーパーチャージャー | |
形式 | V型6気筒 | V型8気筒 | ||
最高出力[kW(PS)/rpm] | 202(275)/4000 | 283(385)/6500 | 346(470)/6000-6500 | 375(510)/6000-6500 |
最大トルク[Nm/rpm] | 600/2000 | 515/3500 | 575/2500-5500 | 625/2500-5500 |
車両重量SWB/LWB[kg] | 1796/1813 | 1755/1773 | 1892/1915 | 1892/1915 |
(編集部:田中真一郎)
2009年 7月 10日