伊豆縦貫自動車道 沼津岡宮IC~三島塚原IC間が開通
東名高速 沼津IC直結の自動車専用道路

伊豆縦貫自動車道の開通式は、沼津岡宮IC近辺で行われた

2009年7月27日16時開通



 東名高速 沼津IC(インターチェンジ)に直結し、伊豆半島を下田まで縦断する全長約60kmの自動車専用道路として計画されているのが、伊豆縦貫自動車道だ。全国的な高速交通体系である高規格幹線道路網1万4000kmに位置付けられている路線の1つである。

 7月27日に開通したのは、東名沼津ICとも接続する沼津岡宮IC(静岡県沼津市岡宮、県道405号足高三枚橋線と接続)から国道1号線に接続する三島塚原IC(三島市塚原新田)までの約10km。途中で国道246号線と接続する長泉IC、県道21号三島裾野線と接続する三島萩IC(ハーフIC)の2つのICも開通した。車線は大部分が片側1車線だが、一部片側2車線になる形だ。今後は、全線片側2車線化を目指し、拡幅工事が行われている最中である。また、今回開通した区間は無料で通行が可能だ。

緑色の部分が今回開通した区間。東名 沼津ICから国道1号まで直結する。国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所の資料より抜粋右が沼津岡宮IC。県道405号からも入ることができ、奥に見える東名高速 沼津ICとも直結している左の沼津岡宮ICを東名高速 沼津IC側から見る。左が一般道につながり、右が伊豆縦貫道につながる
開通前の伊豆縦貫道。片側1車線の構造になっている沼津岡宮ICの接続図。やや複雑な構造になっている国道246号に接続する長泉IC。沼津岡宮ICと比べるとシンプル
県道21号三島裾野線との接続する三島萩IC。片方向のみのハーフICとなっている現在の終点である三島塚原IC。国道1号線と接続する

 伊豆縦貫道は、計画および工事中のものも含めていくつかの道路から構成されており、今回開通した区間に、東駿河湾環状道路という名称がある。沼津市と三島市を囲むように作られた環状道路で、都市部で慢性的に発生している渋滞緩和を目的に建設されている。

 中伊豆・西伊豆方面への観光や物流などの通過車両が市街地を通過しないようにし、生活交通と切り離すのが狙いだ。今回は、東駿河湾環状道路の計画の内、約半分が開通した形である。この先さらに南進する予定で、JR東海道線と交差する直前に三島玉沢IC、その先で東西に分岐するのだが、分岐直前に大場・函南IC、分岐して東進する方は函南IC(仮称)で終点。西進する方は、国道136号線と接する函南塚本ICで終点となる。また、今回開通している区間の中でも、新東名と接続する長泉JCT、三島萩ICと三島塚原ICの間に三島加茂ICが建設中だ。

東駿河湾環状道路と主要渋滞ポイント。今回開通した区間はそれらを迂回するルートとなる今回の開通区間の終点となる三島塚原ICの先も建設が進んでいる。具体的な開通時期などは未定

 今回の開通によるメリットは、沼津ICから観光地の箱根や伊豆へ向かう際に、市街地部の主要渋滞ポイントを回避することが可能となること。それにより、所要時間の大幅な短縮が実現し、沼津IC~箱根方面(神奈川県との境の箱根峠まで)は、22分程度短縮され約28分になると言う。途中にある信号交差点も、24カ所からわずかに3カ所と大幅に減り、よりスムーズに移動できるというわけだ。

雨の中行われた開通式展
 7月27日16時の開通を前に、「伊豆縦貫自動車道(東駿河湾環状道路)沼津岡宮IC~三島塚原IC間開通式」が開催された。式典開始直前からあいにくの大雨となってしまい、急遽テント内での開催となった。

 式辞を述べたのは、同式典を主催した東駿河湾環状道路整備促進期成同盟会の会長であり、沼津市長でもある栗原裕康氏。栗原氏は、「日本でも有数のランドスケープを有した観光地として発展してきた同地だが、それゆえに慢性的な渋滞を引き起こす要因ともなっており、急速な都市化もあって交通整備が遅れている」と述べた。その渋滞が、住民や物流にも影響を及ぼしているとし、「今回の開通で、伊豆地域の今後の発展に重要な役割を果たしてくれることを期待し、早期の全線開通に向け、今後も皆様と一致団結して、整備促進に取り組んでいく」と語った。

 その後、来賓の挨拶などが行われ、テープカットが開催された。

東駿河湾環状道路整備促進期成同盟会会長で、沼津市長の栗原裕康氏テープカット終了後、くす玉開披も行われた

16時から開通
 式典のあと、しばし時間をおいて16時に開通。その間は、最後の準備ということで、信号機の変更やシステムの調整、道路のペイント、案内板の覆いはがしなどが行われた。

16時の開通を前に、道路に矢印のペイントを施すといった作業が続く案内板の覆いがはがされると、伊豆縦貫道の文字が。「無料 FREE ROAD」である

 16時には沼津岡宮ICと三島塚原ICが開通し、両ICからパトカーに先導された車がスタート。その後、東名沼津ICの出入口がオープンになるほか、途中のICもオープンするという段取り。一番乗りの人はお昼頃に到着し、15時ごろから車列ができ始め、開通直前には40~50台が並んでいるようだった。

開通が迫ってきた15時30分頃。100m以上の車列ができたパトカー、国土交通省の緊急車両に続いて、沼津岡宮IC側の一番乗りとなるコペンが現れた国道1号の三島塚原ICそばの案内板も、開通後はこのような表示に

 伊豆縦貫道が将来完成し、下田までつながると、国道136号に代表される伊豆の交通渋滞はかなり緩和されるものと思われる。なお、今回開通した部分に関しては将来的にも有料化されないことが決まっている。

 

(デイビー日高)
2009年 7月 29日