「東京キャンピングカーショー」リポート
高速上限1000円化も手伝って、人気沸騰のキャンピングカー

東京ビッグサイトで開催された「東京キャンピングカーショー」

2009年7月25日、26日開催



 キャンピングカーの展示即売会「東京キャンピングカーショー」が7月25日、26日に東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された。

 5回目となる今回は、東京ビッグサイトでの初の開催となり、キャンピングカーを製作するコーチビルダーなど全54社が出展、展示車両は108台と過去最高の規模となった。ここ数年密かにブームとなっていたが、高速道路の上限1000円化も追い風となって、さらに人気が増している。

 会場でも熱心に展示車両を見学したり話を聞いたりしている来場者は多く、また、ペット連れで来ている人も目立っていた。最近ではペット同伴可の宿も増えてきたとは言え、気兼ねなくペットを連れて旅行に出かけられるキャンピングカーは、ペット連れにとっても強い味方なのかもしれない。

 そんな人気急上昇中のキャンピングカー。軽自動車をベースにした物から、トラックやバスをベースにしたものまで、サイズも形もさまざまだが、ここではそんなキャンピングカーを、タイプごとに紹介する。

軽自動車キャンピングカー
 駐車場のサイズも困らず、価格も手ごろとあって、最近人気が高いのが、軽自動車をベースにしたキャンピングカー、通称「軽キャンパー」。折りたたみ式の2段ベッドなどで4人就寝を可能にしたものもある。

197万4000円~というお手頃価格が注目のWHITE HOUSE「MY BOX Pro」。ホンダの「バモス」をベースにした軽キャンパーフラットになるベッドに、小さめながらシンクも装備エンジンを掛けなくても暖房が効くFF式ヒーターも装備していた
スズキ「エブリィ」ベースの「オフタイム(トラベラー)」は、165万円~と軽キャンパーの中でも特に安い。スマイルファクトリー製大人2人が寝られる広めのベッド天井部にはつり下げ式のベッドが収納されていて、最大4人の就寝ができる
軽キャンパーの中でも目立っていたのがコイズミの「かるキャン」。ドライブモード/ステイモードにキャビン部分を変形させることができる。価格は248万8000円~屋根の高さは最大で2122mmと、大人が立っても問題ない高さを確保シンクがあるほか、屋根部にはつり下げ式のベッドも装備される
かるキャンがドライブモードへ変形する様子。スタッフ1人で簡単そうに作業していた。まずは側面を押し込み、屋根を下ろせば普通の軽自動車サイズになる
ドライブモードへ変形するときの室内の様子。ドライブモードでは室内には人は座れないので、乗車定員は2名になる

トラベルバンコンバージョン
 ミニバンやワゴンなどをベースにしたもので、通称「バンコン」。軽自動車よりもスペースが広く、それでいて乗用車サイズなので、取り回しも楽とあって初心者にも人気が高い。ハイエースをベースにしたものが特に種類が多い。

トヨタ「ハイエース」ベースのバンコン、ビークル「フューチャー」。447万8250円~セカンドシートを後ろに向ければコの字型のダイネットが完成キャビン後部にはシンクや冷蔵庫が配置される
セカンドシートに使われるイタリアのFASP製シートは、アレンジしてフラットにもできるFASPシートをフラットにし、3列目の対面シートも変形させれば広々ベッドが完成キャビン後部のシンクまわりも、子供向け2段ベッドに変身
ハイエースの中でも車高、全長ともにコンパクトで取り回しやすいスーパーGLをベースにしたアム・クラフト「コンパス」。570万1500円~右後ろの窓が飛び出した形状になっているのがポイント窓部を拡張したことで横向き就寝を可能に。これはキャンピングカー登録する上で就寝スペースとして認められるのに必要なサイズが決められているため
2列目、3列目シートはFASPシートで、対座型ダイネットやフラットベッドにもなる普段は高さが低く駐車場も安心だが、ポップアップルーフを上げれば寝ることもできる
アルフレックス「クライムジャンパー ジュエル」はキャンピングカーではなくトランスポーターと呼ばれるタイプ。338万1000円トランスポーターは、シンクや冷蔵庫などキャンピングカー向け装備はない場合が多いが、荷物の積載性に優れる後部荷室スペースにマットを敷けばベッドに変身。上段にもマットを敷いて2段ベッドにもできる
日産ピースフィールドクラフトの「キューブ 2ルーム」207万9000円~ポップアップルーフは長さ200cm、幅115cmと大人2人が寝られるスペース車内は通常の「キューブ」と同様で、ルーフだけが変更される

キャブコンバージョン
 トラックのキャビン(荷台)部に居住スペースを架装したキャンピングカーで、通称「キャブコン」。ベース車両のボディー形状にとらわれず製作できるので、スペースとレイアウト面で有利。また外壁も専用のものとなるので、断熱効果が高いというのも利点。

トヨタ「カムロード」ベースのキャブコンナッツRV「ミラージュX グランデ」。547万7850円~バンコンと比べるとサイズにゆとりがあるキャブコンシンクの下に冷蔵庫を装備
後部の常設ベッドは、いちいちシートアレンジする必要がないのがメリット運転席上部にもベッドができるフリースペースは着替えスペースやトイレとしても活用できる

バスコンバージョン
 バスやマイクロバスをベースに架装したもの。通称「バスコン」。そのサイズの大きさが最大の魅力。キャンピングカーの場合、ボディーが大きくても乗車定員が10名以下ならば普通車の扱いとなるため、普通免許で運転でき、また、上限1000円などの普通車以下限定のETC割引も適用される。

日野リエッセIIをベースにしたバスコン、RVビックフット「エポックミュー 2ルーム」価格は786万7600円~。乗車定員10名なので免許も高速料金も「普通」でOKキャビンを運転席から見たところ。名前のとおり、手前のダイネットと奥のベッド部で2ルームになっている前方の部屋には大人4人が座れる対座型ダイネット
後方の部屋にはベッドとダイネットが設けられる冷蔵庫やシンク、電子レンジも用意される

フルコンバージョン
 フレームやエンジン、駆動系など以外はすべて架装メーカーが製造したもの。通称「フルコン」。輸入車が多いが国内で製造している架装メーカーもある。

ドイツのハイマー「B655SL エレガンス仕様 2010モデル」。価格は1930万3320円キャブコンよりもさらに広い室内後部にはゆったりとしたベッド。ベッドの下は収納スペースになっている
シャワーに洗面所、トイレも完備シンクに3口のコンロも装備する電子レンジや冷蔵庫も装備。冷蔵庫も比較的大型だ

トラベルトレーラー
 普通車やトラックなどで牽引するトレーラーにキャビンを架装したもの。サイズは大きい物から小さい物までさまざま。高速道路での扱いは、牽引する車の1つ上のサイズになるため、牽引する車が普通車でも中型車料金の扱いとなり、上限1000円のETC割引は対象外になる。またトレーラー自体の車重が750kgを超える場合、牽引免許(ライトトレーラー免許で2tまで牽引できる)が必要となる。

ドイツのメーカー、ハイマーの「Puck230GT」。車重700kgで価格は271万9500円~ルーフ部がポップアップすることで、室内の頭上高さを確保大きめのガスコンロや冷蔵庫にシンク。収納も豊富で使いやすそうだ

(瀬戸 学)
2009年 7月 29日