フォルクスワーゲン、“クオリティを民主化する”新型ポロの発表会 4つ星適合モデルを2010年に投入 |
左からVolkswagen AG ガソリンエンジン開発担当のリューディガー・ジェンゲル博士、車両開発・試作担当のハラルド・ルダネック博士、研究開発担当取締役のウルリヒ・ハッケンベルク博士、フォルクスワーゲン グループ ジャパンのゲラシモス・ドリザス社長 |
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは10月20日、新型「ポロ」の発表会を都内で開催した。発表会には同社のゲラシモス・ドリザス社長、独Volkswagen AG フォルクスワーゲンブランド研究開発担当取締役のウルリヒ・ハッケンベルク博士が登場し、ポロの概要を説明したほか、来春、低排出ガス車認定4つ星の製品を発売すると発表した。
ハッケンベルク博士 |
■エントリーモデルでも上質
ポロは同社の国内ラインアップではエントリーモデルとなる車で、紺開きのモデルチェンジで5代目を数える。
5代目ポロは3月のジュネーブモーターショーで世界初公開され、欧州では7月に発売されている。国内に導入されるのは1.4リッター直列4気筒 DOHCエンジンと7速DSG(デュアルクラッチAT)を搭載する「1.4 コンフォート」の1グレード。先代よりも最高出力が4kW(5PS)上がったにもかかわらず、7速DSGなどの恩恵で10・15モード燃費は13.2km/Lから17km/Lに改善されている。
なお、新型ポロで話題を呼んだ新開発の1.2リッター直列4気筒ターボエンジン「1.2 TSI」は、欧州でもデリバリーが始まったばかりとのことで、日本に導入されるのは2010年半ばになる。
ハッケンベルク博士によれば、1975年の初代ポロの登場から、全世界で累計1100万台が出荷されたと言う。ゴルフよりひとまわり小さいエントリーモデルとして、現在では中国、ロシア、インドといった新興市場の拡大を担う役割を負っている。日本に導入されたのは1984年で、以来、15万台が販売された。
ハッケンベルク博士がもっとも強調した5代目のポイントは、エントリークラスでも「品質」にこだわったこと。ボディーのチリ(合わせ目)の隙間を1/10mm単位で制御し、内外装ともに上質な素材を高い精度で組み立てることで、エントリーモデルでも高品質な作りを実現したと言う。これを博士は、「クオリティの民主化」と表現した。
5代目を迎えるポロは、エントリークラスのコンパクトでも、上質さと高い安全性・環境性能を目標とする |
またシロッコ、ゴルフ同様にワルター・デ・シルヴァが手がけたエクステリアも上質感に一役かっており、「上級車のような洗練されたデザイン、スポーティーかつダイナミック」とした。ボディーサイズは全長が80mm、全幅が20mm、長く広くなっているが、全高は5mmダウンし、先代よりもフォルムが「ワイド・アンド・ロー」になった。
そのデ・シルヴァがポロのデザインを「省くものも加えるものもない」と言っていることをあげ、シンプルかつ質感の高いデザインであることを強調した
さらに、快適性の向上も5代目の訴求点。先代よりも室内長が8mm長くなり、膝まわりには22mmの余裕ができている。
3つのカップホルダー、前席のアンダートレー、1リットルのペットボトルが入るドアポケット、エアコン送風口や各種ホルダーが装備されたグローブボックスなど、車室内の収納にもこだわった |
ラゲッジルームは2段になっている | ||
ラゲッジルーム下のスペアタイヤ用の空間にタイヤはなく、パンク修理キットが入っている | リアシートはダブルフォールディング式でフラットになる |
6:4の分割可倒式。すべて倒せば容量は952L |
なお、日本に導入される1.4 コンフォートラインは、先代にはないエマージェンシーストップシグナル、前席むち打ち低減ヘッドレスト、CDプレーヤー/AUX入力付きAM/FMレシーバー、タイヤ空気圧警告灯を装備し、メンテナンス費用が3年間無料になる「プロフェッショナルケア」が付帯しつつ、価格は先代と同じ203万円にとどめられている。
導入当初はメーカーオプションのカーナビが用意されていないので、ディーラーオプションでの対応となる。いずれはゴルフ同様にバックモニター付きHDDカーナビ「RNS510」が導入される予定で、バックモニターのカメラもゴルフ同様にリアエンブレムの裏に隠れるものが付くが、時期は未定。
4つ星モデルを2010年に導入 |
■乗り換えを促進する
ハッケンベルク博士はさらに、エンジン本体の排気量を減らし、ターボチャージャーでパフォーマンスを補う「TSI」エンジンと、デュアルクラッチAT「DSG」を組み合わせて、日本の平成17年低排出ガス基準を75%達成したいわゆる「4つ星」のモデルを、2010年春に発売すると発表した。平成22年度燃費基準も+25%で達成している。
続いてドリザス社長は、ポロの国内マーケティング戦略を説明。輸入車には、高価でアフターサービスや燃費が心配という懸念がまだあるとし、ポロは低価格、アフターケアの充実、燃費性能、高い残存価値により、この心理的バリアを破るとした。
現状でも同社のユーザーの6割は、国産車からの代替か、新規に購入するユーザーだと言う。新型ポロも国産車の乗り換えユーザーを狙うほか、上級車からのダウンサイジング需要も取り込む。
ポロは低価格で輸入車への心理的バリアを打ち破る | ||
ポロのイメージキャラクターは「愛嬌と強靱さを兼ね備える」(ドリザス社長)ホッキョクグマ。ホッキョクグマを保護するNPOのスポンサードもする |
(編集部:田中真一郎)
2009年 10月 21日