PSP用「グランツーリスモ」で秋葉原がサーキットに GT500チャンピオン脇阪選手に、TEAM IMPULくんたちが挑戦 |
11月14日、SCEJ(ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン)は、PSP(プレイステーション・ポータブル)専用ゲーム「グランツーリスモ」を使った、対戦レースイベント「Akiba Grand Prix」を東京 秋葉原で開催した。
グランツーリスモシリーズは、シリーズ累計300万本以上出荷されている自動車ゲームで、自動車やコースなどがリアルに作り込まれていることから、ドライビングシミュレーターとしての側面も持つほど。PSP用のグランツーリスモでは、リアルさはそのままに、PSPの機能を活かした、無線LANによる対戦機能が大きな特徴となっている。
ソフマップ秋葉原本店の向かいに建つベルサール秋葉原。地下1階、1階、2階はイベントフロアになっている。その名称から、“ベルばら”と呼ばれることも |
Akiba Grand Prixは、その対戦機能を活かしたイベントで、メイン会場となる「ベルサール秋葉原」で受け付けを行い、サテライト会場となる「リナックスカフェ」「パソコンショップ イオシス」「ラジオ会館 山本無線」「メガネスーパー」「ロケット5号店跡地」を巡り、サテライト会場で待ち受ける凄腕レーサーと対戦を行っていく。それらのレーサーと対戦をして勝つと、最大435台(229車種)のクルマデータを入手できる。
ファイナルラウンド最終戦優勝者への賞品。スタッフクレジット氏名記載権など、これらすべてがプレゼントされる豪華なものだ |
また、5カ所の凄腕レーサーすべてに勝ったプレーヤーは、メイン会場のベルサール秋葉原でのタイムトライアルに参加でき、タイムトライアルの上位12名はメインステージ上で行われるファイナルラウンドへ進める。ファイナルラウンドでは4名ずつ対戦し、3人のファイナリストを選出。勝ち抜いた3名がメインゲストとのファイナルラウンド最終戦への挑戦権を得るという趣向だ。さらにここで1位になれば、PS3やドライビングコントローラがセットになった「グランツーリスモ」マスターコレクションがプレゼントされるほか、2010年3月発売のPS3用「グランツーリスモ5」のスタッフクレジットに名前が記載される。世界的にヒットしているグランツーリスモシリーズの最新作に名前が刻まれるのは、名誉なことだと言える。このファイナルラウンド最終戦は、14時と17時の2回行われ、Car Watchでは17時の回を取材した。
■脇阪寿一選手は猛特訓してチャレンジ
メインステージ上での司会進行はピエール北川氏。ピエール北川氏は、鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎで実際のレースの実況などを行っているフリーアナウンサ-。SUPER GTの最終戦の実況中継もピエール北川氏によるものだった。
そして、メインゲストは見事今シーズンのSUPER GT500クラスにおいて、シリーズチャンピオンを獲得した脇阪寿一選手。SUPER GTは日本で一番人気のあるモータースポーツイベントであり、一流のレーサーが多数出場しているカテゴリー。つまり、日本最強のレーサーと、グランツーリスモで戦うことになる。
とはいえ、いくら日本最強レーサーといえどもゲームはやはり勝手が違うようで、14時の回ではコテンパンにやられたとのこと。脇阪選手は「14時の回ではまったく歯が立たなかったが、あれから17時の回まで裏でみっちり練習した。オレの学習能力の高さを見せてやる!!」と言うとおり、予選に先立って開催されたエキシビションレースでは見事な勝利を収めていた。
エキシビションレースの模様。1号車脇阪選手はPSPにかぶりつきでプレイ。17時までみっちり練習したかいがあったようだ | ピエール北川氏が脇阪選手に話をふっても、基本無視。集中力の高さを発揮していた |
エキシビションレースの後、予選が3レース行われファイナリストを決定。見事ファイナリストとなったのは、ハムくん、TEAM IMPULくんら3名。TEAM IMPULくんは、タイムトライアル2位、予選はぶっちぎりで勝利した強者で、そのプレーヤー名から、PETRONAS TOM'S 所属の脇阪選手は激しくライバル視。ファイナルラウンド最終戦が始まる前から、TEAM IMPULくんに舌戦を仕掛け、ハムくんの脇腹をつつくなど、さまざまな攻撃(?)をしていた。ただ、これは大勢の観衆の前で緊張していた、参加者への気配りでもあったようで、ハムくんは脇阪選手とレース前につつきあいをしたことで、固かった表情がほぐれていた。
ファイナルラウンドでは、市街地コースのシアトルサーキットとシトロエンGTの組み合わせだったのが、ファイナルラウンド最終戦は富士スピードウェイとレクサス SC430の組み合わせ。いわば脇阪選手のホームコースと愛車とも言えるわけで、実際脇阪選手はグランツーリスモのデータ制作に協力したというエピソードも披露していた。
ファイナルラウンド最終戦は、それまでの2周とは異なり3周のレース。レースは2周目まで終始ハムくんがリードし、TEAM IMPULくんが追う展開。脇阪選手と言えば、「オレの秘密のラインを見せてやる!!」と叫びつつダンロップコーナーから続くコーナーを激しくショートカット。その割には前になかなか追いつけず、離されての4位を走行していた。
ハムくんとTEAM IMPULくんの差はほんのわずかで、2周目の終わりにプリウスコーナーからパナソニックコーナーにかけての処理をハムくんがミス。このミスが富士スピードウェイの直線加速に影響し、3周目の1コーナーでTEAM IMPULくんがハムくんを抜き去り、なんとかハムくんを抑えてゴールし見事優勝となった。1位と2位の差が小さく、ほぼノーミスによる2人のバトルには、戦いを見ていた観客も熱い声援を送るほど。脇阪選手も最後は自分のマシンコントロールなどより、レース展開に魅せられ、ゴールの瞬間にはTEAM IMPULくんと抱き合って喜ぶほど。
脇阪選手はレース後の感想として「熱いバトルや。とくに最後なんかはあの(接近戦の)プレッシャーはたまらん。オレも先週そのプレッシャーに打ち勝ってチャンピオンになった」と言い、ツインリンクもてぎでのバトルを思い起こしていたようだ。
TEAM IMPULくんは「レースが3周でよかった。2周だったら負けていた」と語り、ハムくんは「富士スピードウェイは走り込んでいなかったので、最終コーナーの辺りとかよく分からない部分があった。そのためミスをしてしまったのが残念でした」と語ってくれた。TEAM IMPULくんは、富士スピードウェイでのレース観戦の経験もあり、コースをイメージできたかどうかが、レースの勝敗を分けることになった。
決勝には進めなかった参加者も、「Akiba Grand Prixは楽しかった。普段は家で1人でゲームをしているけど、初めて会う人と対戦でき、同じ趣味を持つことが分かって仲よくなれた。ぜひ、またやってほしい」と言うなど、PSP用グランツーリスモの対戦機能は、グランツーリスモの新たなおもしろさをユーザーに届けることができたようだ。
(編集部:谷川 潔)
2009年 11月 16日