日産、フラッグシップセダン「フーガ」をフルモデルチェンジ
最高峰の「走・美・快」を調和

フーガ 370GT

2009年11月19日発売
399万円~550万2000円



 日産自動車は11月19日、フラッグシップセダン「フーガ」をフルモデルチェンジし発売した。価格は399万円~550万2000円。

 新型フーガは、セダンの本質的な魅力を「走・美・快」と考え、FRセダンとして美しくスポーティに進化したと言う。とくにエクステリアデザインにおいては、自然の持つ躍動感である“勢”と、魅惑的で色気ある“艶”をデザインキーワードに設定。高級車らしいプロポーションを表現している。グレードと価格は以下のとおり。

グレードエンジン変速機駆動方式価格
250GT AパッケージV型6気筒 DOHC
2.5リッター
7速AT2WD(FR)399万円
250GT427万3500円
250GT Type P455万7000円
370GTV型6気筒 DOHC
3.7リッター
457万8000円
370GT Type S492万4500円
370VIP550万2000円
370GT FOUR Aパッケージ4WD451万5000円
370GT FOUR478万8000円

 ボディーサイズは、4945×1845×1500~1515mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2900mm。先代フーガと比較して、全高を10mm下げ、全幅を40mm拡大、フロントピラー(Aピラー)を50mm後退させ、低くワイドなプロポーションとしている。全幅は40mm拡大されたが、ドアミラー端全幅は先代と同様の数値にとどめてある。ボディーカラーは、「クリスタルホワイトパール」「スーパーブラック」「ディープブロンズ」など全7色を用意。塗装表面にキズが付きにくく、ある程度の擦りキズも時間の経過でほぼ復元するスクラッチシールドの塗装が採用されている。

 このフーガは空力的にも優れており、Cd値は0.26を実現。最新のシミュレーション技術で作り上げられたスポイラー一体型トランクにより、標準車ではフロント/リアともにゼロリフトを達成している。

Cd値0.26という優れた空力性能を持つフーガ
FRらしいプロポーションを実現したフーガのパッケージ。ホイールベースは2900mm先代フーガとのサイズ比較。よりロー&ワイドになった。ドアミラー端の全幅は先代と同様の数値
リアコンビネーションランプには高輝度LEDを採用トランクには9インチゴルフバッグが4個収納できると言う高剛性と低振動を実現したと言うボディー
クリスタルホワイトパールブレードシルバーグレイッシュブルー
ブリリアントシルバーディープブロンズガーネットブラック
スーパーブラック

 スポーツグレードの370GT Type Sでは、フロントバンパーが専用のものとなり、グリル下部の開口部が拡大されるほか、ホイールサイズも他グレードの18インチから20インチとし、タイヤサイズも245/50 R18から245/40 R20となることで、タイヤ横剛性も向上させている。

370GT Type S専用の20インチホイール標準の18インチホイール

 インテリアでは、曲線を活かしたデザインをベースとしながら、センタークラスター部を従来よりもさらに手元に近付け操作性を向上。吹き出し風量をランダムに制御することで自然なそよ風を再現し、湿度制御などの機能を持つ「フォレストエアコン」の搭載や、エンジンの回転数に同調して発生する不快なこもり音を低減する「アクティブ・ノイズ・コントロール」などにより、快適な室内空間を実現している。

 とくに、370VIPと一部グレードにメーカーオプション設定されるプレミアムインテリアパッケージでは、人が感じる触り心地のメカニズムを追求し、人の感覚を数値化できたことで、これまでにない触り心地を実現。ソフトフィールインストルメントパネル、赤ちゃんの肌のような触り心地のソフィレス素材によるドアトリム&アームレストなどに、その成果が現れている。プレミアムインテリアパッケージには、セミアリニン本革シートや、職人によって銀粉がすり込まれた銀粉木目フィニッシャーが含まれ、独特の高級感のあるインテリアを実現した。

ブラウンの内装色、銀粉本木目フィニッシャー、セミアニリン本革シート
ブラックの内装色、木目調フィニッシャー、ネオソフィール/ジャカード織物シート
ベージュの内装色、木目調フィニッシャー、スエード調トリコット/ダブルラッセルシート
セミアリニン本革シートファインビジョンメータースエード調ルーフ
銀粉本木目フィニッシャーソフィレス素材によるアームレスト

 エンジンには、V型6気筒 DOHC 3.7リッターのVQ37VHR型エンジンと、V型6気筒 DOHC 2.5リッターのVQ25HR型エンジンが用意される。VQ37VHRには吸気バルブタイミングとリフト量を無段階で最適制御するVVEL(バルブ作動角リフト量連続可変システム)が搭載され、最高出力245kW(333PS)/7000rpm、最大トルク363Nm(37.0kgm)/5200rpm。2400~7000rpmで最大トルク値の90%を発揮し、7500rpmまで軽快に吹き上がると言う。一方VQ25HRは、最高出力165kW(225PS)/6400rpm、最大トルク258Nm(26.3kgm)/4800rpmで、その燃費性能からエコカー減税に対応し、2.5リッターモデルでは自動車取得税および重量税が50%減税されるほか、オプションの組み合わせによって75%減税となる。

 組み合わされるトランスミッションは、マニュアルモード付きの7速AT。カーナビや、インテリジェントクルーズコントロール搭載車であればレーダーからの情報をもとに、カーブ、交差点、前車との距離など走行環境に応じて変速タイミングなどを最適化。燃料カット頻度を増加させ、エコドライブをアシストするナビ・レーダー協調制御を新採用している。

 サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。リアサスペンションは新たに開発したもので、インシュレーターの剛性を低くすることで、ロードノイズを大幅に低減させている。また、370GT Type Sのスポーツチューンドサスペンション、および370VIP/250GT Type Pに標準装備(370GT/250GT/250GT Aパッケージにオプション)されるコンフォートサスペンションでは新開発のダブルピストンショックアブソーバーを採用。路面入力の周波数に応じ、減衰力をコントロールすることで、体の大きな揺れと、背中や足で感じるゴツゴツした振動の両方を抑え、乗り心地を向上させたと言う。

 そのほか、シフトノブ下のダイヤルでモードを選択することで、パワートレイン、4WAS(4 Wheel Active Steering:4輪アクティブ操舵)、コーナリングスタビリティアシストなどの制御を切り替える統合制御システムを装備。燃費に優れるECOモード、スポーティなドライビングを楽しめるSPORTモードが選べる。ECOモード時には、アクセルペダルを踏みすぎることで生じる燃費の悪化を、ペダル反力で知らせるECOペダル機能が作動する。

バルブ作動角、リフト量ともに連続可変コントロールを行うVVELを搭載する3.5リッターのVQ37VHR型エンジン2.5リッターのVQ25HR型エンジン搭載車はエコカー減税対象車となる7速ATを全グレードで搭載する
リアサスペンションは新開発のマルチリンクサスペンション路面の入力に応じて減衰力を切り替えるダブルピストンショックアブソーバースポーツグレードの370GT Type Sでは、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキを採用する
ドライブモードセレクターを日産車で初搭載。ECOやSPORTのほか、SNOWを選択できるECOペダルの動作イメージ。ECOモード時にペダルから伝わる反力をコントロールする

 フーガでは各種の最新技術が搭載されているのも特徴となっている。運転サポート技術である「カーナビゲーション協調機能付インテリジェントペダル(ディスタンスコントロールアシスト)」や、横滑り防止機能のVDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)にコーナリングスタビリティーアシスト機能・ブレーキ効き感向上機能・左右制動力配分機能を追加。濃度を高めた新型プラズマクラスターイオンとブドウポリフェノールフィルター、アロマディフューザーやゆらぎ風により森の空気のような心地よさを実現すると言うフォレストエアコンも初搭載された。

フォレストエアコンのスイッチフォレストエアコンの動作イメージ
地デジ内蔵HDD式カーウイングスナビゲーションシステム。路上のインフラ設備からの情報を受け取り、交差点における危険を知らせてくれる安全運転支援機能を持つ

 なお、本日発表会が行われており、その模様は追ってお届けする。

(編集部:谷川 潔)
2009年 11月 19日