PSP向けカーナビレビュー前編「MAPLUSポータブルナビ3」 案内方法や表示バリエーションの豊富さは据え置き型以上 |
この数年、カーAV市場の人気モノとなっているのがポータブルタイプのカーナビ、いわゆるPND(Portable Navigation Device)だ。お手頃価格とコンパクトさに加え、フラッシュメモリーの低価格化などによって内蔵メモリー容量が増え、市街地図や住所データを「号」レベルまで収録できるようになったのが大きな理由。DVDナビとの比較なら、使い勝手はもちろんデータ量でも、もはやそれほど差がない状況になってきた。「カーナビは欲しいけど高級モデルは不要」とか、「セカンドカーにもナビが欲しい」なんて層にピッタリなのだ。
ただ、価格は安いモデルでも3万円を切る程度で、機能が充実したモデルとなると5万円超えも普通。このご時世、「衝動買い」ってレベルというにはまだちょっとハードルが高い感じ。
お手軽さを最優先するなら携帯電話のナビアプリを使う手もあるけど、クルマの中で使うには画面サイズは小さいし、文字入力は面倒だし、場合によっては通信費用も掛かるし……、とちょっとばかりツライ。
そこで注目したいのが、ポータブルゲーム機。携帯電話より画面は広いし、バッテリー搭載で持ち運びもOK、もちろんハードのパフォーマンスも高い。これを利用しない手はないよね、なんてメーカーが考えたかどうかは分からないけれど、ここに来てPSP用のナビゲーションソフトが連続してリリースされることになった。
先行したのは9月10日に発売されたエディアの「MAPLUSポータブルナビ3」。熱狂的なファンを持つ人気シリーズの3作目となるソフトで、発売前から注目度が高かったタイトルだ。
続いてこの11月19日に発売となったのがゼンリンの「みんなのナビ」。PSP用のクルマ向け地図は同社では初のラインアップながら、住宅地図メーカーであるとともにカーナビ用地図データでも高いシェアを持っているだけに、その仕上がりには期待が持てるところ。
この両者、どちらも8190円と同価格。専用GPSレシーバーが6000円なので、PSPを持っているなら1万5000円以下でカーナビを手に入れることができるワケ。もし、新たに本体を購入するとしても値下げ効果もあって、ポイント還元やら何やらを考えればなんとか3万円を切るぐらいで手に入れられる。3万円となるとPNDとあまり変わらない価格になってしまうけれど、ついでに(?)ゲームもできると考えればお買い得度は高い……ハズだ。
PSP用ナビソフト「MAPLUSポータブルナビ3」(写真右)と「みんなのナビ」(写真左)を使ってみた |
■PSP? PND?
というわけで「PSP用のナビソフトってPNDとくらべてどうなのよ?」ってところをチェックしてみることにしよう。早速、個別に紹介といきたいところだけど、まずは最初にハードウェアとしてのPSPとPNDの違いを確認しておきたい。
実用面でもっとも大きな違いとなるのが操作性。現状、PNDの操作はタッチパネルが主流となっているけれど、PSPは未対応なため、すべての操作をボタンやカーソルキーで行う必要がある。もっとも、パネルを触るよりボタンのほうが便利なシーンがあったり、画面上にボタンが並ばないため地図が見やすいなんてことがあったりするわけで、一概によしあしは言いづらい。
ただ、文字入力に関してはPSP独自の文字入力パレットは、カーナビで利用するにはあまり使いやすいとは言えない。入力方法自体は携帯電話などでおなじみの10キー方式のため慣れれば済むハナシだけれど、表示される文字が小さすぎて注視しないと入力できない。手に持って操作することが前提のゲーム機ならではの仕様で、スタンドに固定したまま操作するには不便なのだ。
もうひとつ気になる点はモニターの輝度が低いことで、ソニー・nav-uや三洋・ゴリラと比べるとかなり暗い。グレアパネルということもあって写り込みも激しく、車内に設置するとはいえ日光が照りつける晴天下ではかなり見づらくなってしまう。
そのほか、GPSを本体に直付けする構造上、ある程度設置場所が限られてしまうのもデメリット。一部の猛者は延長ケーブルを自作しているようだけど、このあたりはメーカーに対応してほしいところ。また、快適に使うのであれば、スタンドのほか電源、FMトランスミッターも欲しくなってくる。などなど、いろいろと制限があるけれど、あまりコストをかけてしまうとPNDと価格差がなくなってしまうから、適当なところで妥協して置いたほうがよさそうだ。
エディア「MAPLUS3ポータブルナビ」 |
■MAPLUSポータブルナビ3
前置きが長くなってしまったけれど本題に入りたい。まず前編ではエディアがリリースするMAPLUSポータブルナビ3から紹介しよう。
2006年に初代「MAPLUS(マップラス)ポータブルナビ」、2007年に「MAPLUSポータブルナビ2」を、そして今年9月に3作目となる「MAPLUSポータブルナビ3」が発売となった。
このシリーズの特長はなんといっても豊富なカスタマイズ機能にある。一般的なカーナビでも可能な地図やアイコンの表示、案内などはもちろん、案内音声やパソコンでいうところの「テーマ」のように画面全体のイメージを変えることも可能。特に案内音声は多数の有名声優によるボイスが用意されており、ファンならずとも楽しくルート案内を受けられる。その内容は単なる「右」とか「左」といった案内だけにとどまらず、ちょっとした雑談や誕生日のメッセージなど多数収録されている。残念ながらここで紹介することはできないので、公式ページでチェックしてほしい。
使い始める前にやっておきたいのが、パソコンを使ったデータのダウンロードとインストール。最優先したいのは声優ナビデータ、……ではなく検索用の「番地・号」および「電話番号データ」。本ソフトではUMDの容量制限のためか未収録で、そのままでは目的地の検索力が大きく落ちてしまう。無料でダウンロードできるから余計なことは考えず落としておきたい。そのほかにも「日本全国観光スポット」などが無料で用意されているほか、有料となるが市街地図データ、もちろん必要とあれば声優ナビデータもダウンロードしておこう。
次にインストール。UMDのデータをメモリースティックにコピーすることで検索や地図表示のスピードアップが図れる。お世辞にもUMDのアクセス速度は速いとは言えないから、快適に使うためには必須と言える作業だ。同時にダウンロードしてきたデータもインストール。こちらはパソコンとUSB接続するほか、メモリースティックにカードリーダー経由でアクセスすることでも可能となっている。
メモリースティックに保存したデータ類は「俺ナビ」メニューを使って設定を行う必要がある。変更可能な項目はなんと6カテゴリ62項目にも及ぶ詳細なモノだが、変更した内容はユーザー設定として100パターンの記録が可能。「自分用」はマニアックに、「家族用」はノーマル風味で、といった使い分けがカンタンだ。音声やテーマの変更もここから行うが、該当項目をいちいち自分で変更しなければならない。ちょっと面倒だが、まぁ、儀式みたいなモノだから、ドライブ前に済ませておきたい。
案内音声だけでなく画面のカスタマイズが可能な「きせかえ機能」も搭載。「ハヤテのごとく!!」とコラボしたオプションパック(有料)では地図やメニュー画面、音声がセットになっている。ただし、各項目の設定変更はユーザーが自分で行う必要がある |
■目的地検索&ルート探索
目的地検索に用意された項目は、住所、ジャンル、履歴、フリーワード、電話番号、経度緯度などのほか、周辺検索が「レーダー検索」として別メニューで用意されている。このあたりの項目そのものは、普通のカーナビとまったく変わらない。検索用データは住所約3500万件、電話番号約700万件、施設約230万件を収録。個人宅の電話番号検索には対応していないけれど、ごく一般的なPNDもそれは同様。住所検索を利用するなど、使い方を変えることでカバーしよう。
検索の操作方法は直感的で分かりやすい。カーナビを使ったことがある人なら、取説をいちいち読まなくても使えるハズだ。ジャンル検索など候補から選ぶ方法はサクサクと気持ちよく操作できる。文字や数字の入力を伴う方法では、PSPに用意されている「キーボード」を利用する。入力方法そのものは携帯電話でもおなじみだが、候補の文字が小さく、使うボタンも多いため、ダッシュボードに装着したままの操作には向いていない。スタンドなどに装着する前に済ませておいたほうがスムーズだ。
ルート探索は現在地~目的地のルートを探すだけでなく経由地の追加、さらに出発地や探索条件を細かく変更可能と便利なもの。結果を見てから条件の変更や中継点を追加することもできると、使い勝手に優れる半面、探索に要する時間が条件によっては1分あまり掛かってしまうことがある。特に一般道を走る距離が長くなるときにこの傾向が強いようで、HDDナビを使い慣れていたりするとストレスを感じるかもしれない。
■ルート案内
ルート案内に関してはもはや据え置き型のナビと変わらないレベル。一般道では交差点の拡大はもちろん、レーンガイドや方面案内看板風の青看板、さらに立体交差の側道などにはイラストによる案内も行う。高速道路も都市高速入口やジャンクションのイラスト表示、ハイウェイマップなど、とても分かりやすい案内をしてくれる。また、これらの案内画面は「俺ナビ」でサイズの変更が可能。案内を見やすく、地図を見やすくと好みに応じて変更できるのは据え置き型ナビにもあまり搭載されていない機能で、かなり嬉しいポイントだ。
音声による案内も充実しており、分岐点はもちろん料金所やSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)、右左折レーンや合流に関する注意など実に豊富。声優データをインストール、さらに「俺ナビ」で案内頻度を「おしゃべり」に設定していれば、四六時中と言ってよいぐらい話し続けてくれる。セリフが長すぎて次の案内とかぶってしまったり、同じセリフがたびたび繰り返されてしまったり、なんてご愛敬的な部分もあるけれど、そっち系の属性があるなら間違いなく楽しめるハズ。
ただ、気になるのはリルートが遅い点。これはタイミングというよりは探索速度によるところが大きく、一般道でもバイパスのような速度が速いところを走っていると、探索が終わるのが追いつかないことがある。案内そのものはルート品質を含めて高いレベルにあるだけに、ちょっと惜しい部分だ。
自車位置精度に関してはGPSのみの測位となる他のPNDとあまり変わらない印象。若干、高速の高架下などで掴みがわるいように感じるものの、GPSユニットの仕様だからこれは仕方のないところか。推測航法エンジンなどを搭載しているわけではないため、そんな場所ではすぐに測位不能となってしまうけれど、頭上が開けている場所に戻ればまずまずの速度で復帰してくれる。実用上、不便さを感じるほどではない。また当然ながら一般道の上に高速が平行して走っている場所では自車位置を正確に検出することはできないが、一般道/高速の切り替えメニューを用意。この機能を使えば正しくルート案内を受けることができる。
ルート案内時はミュージックプレーヤーも嬉しい機能。メモリースティックの「MUSIC」フォルダにMP3ファイルを入れておくことでBGMとして再生できる。音声案内時はちゃんとボリュームダウンしてくれるなど、使い勝手は据え置き型ナビ並み。フォルダ再生に対応していないのが残念。
■地図表示
圧巻というコトバがピッタリなのが地図表示。2D/3Dは上下の方向キーで角度の調整が可能なのだが、これがとってもスムーズかつスピーディ。アナログパッドで行える回転やスクロールも同様で、PSPならではの描画性能をフル活用した(であろう)表示は、PNDはもちろん据え置き型のナビにもマネのできないもの。思わず「気持ちいい~」なんて叫んでしまうほどだ。
また、SELECTボタン長押しで変更できるタテ表示も便利。基本的にナビは進行方向が広く見えたほうが使いやすく、車内への設置もタテのほうがスペースを確保しやすいクルマが多いはず。難点はGPSアンテナが1軸のため横向きになってしまうことだけど、テストした限りでは「意外と大丈夫」って印象。もちろん、このときも回転やスクロール、角度変更はグリグリと行える。
標準状態の地図スケールは50m~300kmまでの10段階。100m/50mスケールでは3D表示を行うと建物を立体的に表示するほか、一部のランドマーク的な建物は外観までリアルに再現。さらに、県単位で別売されている市街地図を購入することで、道幅や建物の形状、一方通行などが収録された50m/25mスケール地図の表示が可能になる。都市部で使うならぜひ欲しいところだけど、価格は意外と高めの設定(1050円~4935円)。もともとのソフト価格を考えるとちょっと手を出しにくい。
50mスケール | 100mスケール | 200mスケール |
400mスケール | 800mスケール | 1.5kmスケール |
5kmスケール | 25kmスケール | 100kmスケール |
300kmスケール | 100m/50mスケールで3D表示を行うと建物を立体的に表現。「赤レンガ倉庫」は外観まで美しく再現されている |
タテ表示の2D/3Dと同地点でのヨコ表示比較。SELECTボタン長押しでいつでも変更できるので、シチュエーションに応じて使い分けたい |
■そのほか
オフィシャルwebサイト「MAPLUS.web」との連携機能を用意。前述したようにデータの追加や更新ができるほか、スポットの公開や共有、ルートの作成や公開、地図画面の変更などが行える。また、ユーザー情報やドライブ情報を連動させることも可能だ。
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(C)畑健二郎/小学館・白皇学院生徒会・テレビ東京
(安田 剛)
2009年 12月 1日