トヨタ、「プリウス」「SAI」「HS250h」をリコール
制御プログラムを修正、全世界で約40万台が対象

プリウス

2010年2月9日届出

2010年2月10日改修開始



 トヨタ自動車は2月9日、ハイブリッドカー「プリウス」「プリウスPHV(プラグインハイブリッド)」「SAI」「レクサス HS250h」のリコールを国土交通省に届け出た。国内での対象車は約22万3000台。このほか、輸出した約20万台についても、「できるだけ速やかに」「迅速に対応」するとしている。

 対象となる車両は次のとおり。

車名型式対象車の製作期間台数
トヨタ プリウスDAA-ZVW30ZVW30-0052877~ZVW30-0124227
2009年9月4日~2010年1月27日
1万7344台
ZVW30-1000083~ZVW30-1157306
2009年4月20日~2010年1月27日
10万8201台
ZVW30-5000005~ZVW30-5118205
2009年4月20日~2010年1月27日
7万4121台
トヨタ プリウスPHVDLA-ZVW35ZVW35-3000120~ZVW35-3000382
2009年11月25日~2010年2月5日
約150台
トヨタ SAIDAA-AZK10AZK10-2000150~AZK10-2010991
2009年10月2日~2010年2月8日
1万820台
レクサス HS250hDAA-ANF10ANF10-2000178~ANF10-2028690
2009年6月10日~2010年2月8日
1万2423台
計4車種計4型式2009年4月20日~2010年2月8日(全体の範囲)計22万3068台
プリウスPHVSAIHS250h

 リコール届出では、「ABSの制御プログラムが不適切なため、ABS作動完了後の制動力が作動直前の制動力より低下することがある。そのため、ブレーキをかけている途中に凍結や凹凸路面等を通過してABSが作動すると顕著な空走感や制動遅れを生じることがあり、そのまま一定の踏力でブレーキペダルを保持し続けた場合には運転者の予測より制動停止距離が伸びるおそれがある」と、原因を説明している。

 このため、ABSの制御プログラムを修正、2月10日から対象全車に順次適用する。ただし、プリウスPHV、SAI、レクサスHS250hは対策プログラムを準備中で、準備ができてからの適用となる。プログラムを修正した車両は、運転席側ドア開口部のドアストライカー付近にNo.2466のステッカーを貼る。

 修正プログラムの適用に要する作業時間は約15~40分。対象車の台数が多いため、修正までに時間がかかる可能性があるが、それまでの間は、滑りやすい路面や段差乗り越えなどでブレーキをかける時に注意して運転するよう、同社は呼びかけている。また、空走感があったり制動の遅れを感じた場合は、ブレーキを踏み込めば確実にブレーキが効くとしている。さらに、ABSは、すべりやすい路面でブレーキを素早く、強く踏み続けることで効果を発揮するとしている。

 プリウスには、ブレーキの効きが悪いというクレームが相次いでいた。同社の横山裕行 品質保証担当常務役員は2月4日、「ABS(アンチロックブレーキシステム)動作時に回生ブレーキから油圧ブレーキへ切り替わる際の時間差があるため、空走感がある」ことを原因とし「ブレーキを踏み増せば安全に停止できる」としていた。

 一方で、不安を感じるユーザーが多いこと、米国でのフロアマットに起因する事故やアクセルペダルの不具合などで、トヨタ製品の品質に対する世論が厳しさを増していたことなどから、1月の新規生産車では対策を施し、販売済みの車両にも対応するとしていた。この対応が、国交省への届出が不要なサービスキャンペーンになるのか、届出が必要なリコールになるのかに注目が集まっていた。

 なお同社の豊田章男社長が、リコールの問題について9日15時から都内で会見を行っているが、この模様は追ってお伝えする。

(編集部:田中真一郎)
2010年 2月 9日