「ワイルド・スピードMAX」のヴィン・ディーゼルも習ったカースタント養成所 リック・シーマン・スタント・ドライビング・スクール訪問記 |
2月17日にDVDとBlu-rayタイトルが発売となった「ワイルド・スピードMAX」。ヴィン・ディーゼルやポール・ウォーカーが演じる激しいカーアクションがウリの映画だが、主演のヴィン・ディーゼルがカースタントの手ほどきを受けたドライビングスクールが「リック・シーマン・スタント・ドライビング・スクール(The Rick Seaman Stunt Driving School)」(以下、シーマン・ドライビングスクール)だ。
Blu-ray版/DVD版のワイルド・スピードMAXには、ヴィン・ディーゼルがシーマン・ドライビングスクールで講習を受ける模様が特典映像として収録されている。そのシーマン・ドライビングスクールで、講習の模様を取材してきたので、ここにお届けする。
アメリカ カリフォルニア州ロスアンゼルスからチャーターバスで約2時間。途中、はげ山や小さな渓谷(アクア・キャニオン)を抜けながら着いた場所が「Willson Sprinng」。そこに、シーマン・ドライビングスクールがある。
このシーマン・ドライビングスクールは、1997年、スタントマンでもある校長のリック・シーマン氏によって設立され、これまでに1500人以上のドライバーたちを養成し送り出したと言う。このスクールでは、「ドリフティング」「180度、270度、360度スピン」や「パーキング・スポットポール止め」など、車のコントロール方法を教えている。熟練者やカースタントマン向けにも教えているが、一般の人も受講でき受講料は3日間で2675ドル(1ドル90円換算で、約24万円)。レベルは、コース1、コース2の2種類がある。
取材時の受講者は年配の方が多く、イギリスやオーストラリア、フランス、ポーランドなど各国から10人が参加。これらの参加者は、ラジオ番組やインターネットで行った受講プレゼントの当選者で、年齢もさまざま。下は20代から、50代、60代の人も参加していた。
講習は2名1組になって行われた。講習は午前と午後に分かれ、午前の講習ではスクールのスタントドライバーがインストラクターとなり、車に慣れるため20分ほどサーキットを走行する。これは、参加者の運転のクセなどを見極め、適切な指導をするためとのこと。慣れてきたところで、ドリフト走行や180度スピン、パーキング・スポットポール止めの講習が始まった。
講習はタイヤスモークが激しく上がるなど、本格的なもの |
参加者が講習を受けている間にシーマン校長にお話をうかがった。
インタビューに答えるリック・シーマン校長。カースタントの第一人者としても有名だ |
──どのような経緯でスタントマンになったのか?
シーマン校長:1967年にスタントを始めたのが最初かな? 理由はないよ。ただ、僕はスピードが出る車が好きなんだよ。単に車オタクでギアのことやエンジンのことをいじったりするのが好きだったね。子供が車のオモチャで遊ぶのと一緒さ! 全米をまわるスタント・カー・ショーがあって、そこで働きながらいろいろなことを学んで、この道に入ろうと決めたんだよ。
──最初の映画での仕事は何ですか?
シーマン校長:最初の仕事は誰も知らない映画だから……。2番目が「007/死ぬのは奴らだ」だ。
──「ワイルド・スピードMAX」の主演者の1人、ヴィン・ディーゼルが習いに来たそうですが、テクニックはどうでしたか?
シーマン校長:彼は車好きでドライビングテクニックも覚えるのは早かったね。その上、センスもあり、生徒としても教えやすかった。多くの俳優さんは、ある程度、運転できるけど、彼ほどではないね。とにかくプロのスタントマンとしても仕事ができるほどかもしれないね。
ワイルド・スピードMAXより。手前の男性が主演のヴィン・ディーゼル |
──日本人で、このスクールに習いに来た人はいますか?
シーマン校長:日本人ビジネスマンが習いに来たよ。理由は、ただ単にスタントドライビングをしたいからって……。どんな人だってくるよ。学校の先生、医者、消防者、主婦、いろんな人たちがね。スタントマンたちだけが来るわけじゃない。
──最後に日本の車ファンやドライビングテクニックに興味がある人たちにメッセージをお願い致します。
シーマン校長:我々は車に対して敬意を払っているし、皆さんもそう思いながら車に接してほしい。ここに来たら、自己啓発や自己抑制などを学んでほしいね。自信を持って車を運転することはもちろん、ドライブを楽しんでほしい。それがよいドライバーになれるということさ。ここに来て、車の運転テクニックを楽しもうよ(笑)
パーキング・スポットポール止めの講習で午前は修了。昼食をはさんで午後の講習へ。午後の講習前にはシーマン校長自らドライビングを披露してくれた。
午後の講習では、午前の講習で習ったことを一通りおさらいした後、タイムレースが始まった。このタイムレースは、誰が一番速くパーキング・スポットポール止めができるかを競うもので、優勝賞品は再度レッスンを受けられる無料受講権(2675ドル)。
受講者全員での記念撮影。一番左がシーマン校長 |
見事優勝したのは、ポーランドから来た20代の男性で、若さが勝利に結びついたといったところだろうか。ただ、そのほかの受講者もタイヤスモークを上げながら車を操っており、運転技術の向上につながっていたようだった。
Film(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
Artwork(C)2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
(岩崎郁子)
2010年 2月 18日