GM、ラグジュアリー&スポーツ「CTS スポーツワゴン」を発表
あわせて2010年の事業展望も発表

CTSスポーツワゴンと代表取締役社長の石井澄人氏

2010年2月17日開催



 ゼネラル・モーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAPJ)は2月17日、都内でキャデラック「CTS スポーツワゴン」の発表会を開催し、あわせて新たに代表取締役社長に就任した石井澄人氏から2010年の事業展望などが発表された。

セダンと同サイズのスポーツワゴン
 国内で発売するCTS スポーツワゴンは、ワゴンボディーを持ちながらセダンと同じ全長やホイールベースを持つ。CTSのラグジュアリーかつスポーティな走りに加え、多機能なワゴンとしての機能を加えたモデル。

CTS スポーツワゴン。セダンとの外見の違いはリアドアから後ろとルーフ。ボディーカラーはセーブルブラック
特徴的なCピラー。幅広で斜めにカットされているフロントのスタイリングはセダンと共通リアゲートは電動で開く。開閉角度はメモリー可能で、高さ制限のある場所でもぶつけることがない
ラジアント シルバーのボディーカラー
明るいカラーはCピラーのスタイリングがより強調されるボディー一体のルーフレールはメッキ仕上げ。黒い部分を取り外すことでキャリアベースが取り付け可能となる
リアのライセンスプレート上には後方確認用のカメラが備わる3.0リッターモデルには235/50 R18のオールシーズンタイヤが備わる

 CTS スポーツワゴンの発売によって、ラインアップの拡充を図るとともに、燃費、サイズ、乗り心地などSUVに不満を感じるユーザーのラグジュアリーワゴンへの回帰を期待することや、ラグジュアリーワゴンの潜在顧客への新たな選択肢を提供する狙い。

 ターゲットユーザー層は、40代のアクティブな男女。多様なライフスタイル、ユニークで斬新なデザインを好み、高性能で運転して楽しい車を求めるユーザーとしている。

新型の3.0リッターエンジン。カバーがかかっているため、基本的に3.6リッターエンジンと見た目の違いはないと言う

 CTS スポーツワゴンはV型6気筒の3.0リッターまたは3.6リッターエンジンを搭載し、燃料噴射は直噴タイプとなる。新型となる3.0リッターエンジンは最高出力201kW(273PS)/7000rpm、最大トルク302Nm(30.8kgm)/5700rpm。3.6リッターエンジンは最高出力229kW(311PS)/6400rpm、最大トルク374Nm(38.1kgm)/5200rpm。吸気および排気に連続可変バルブタイミング機構(VVT)を組み込む。燃料は無鉛レギュラーガソリン仕様で、10・15モード燃費は3.0リッターが8.4km/L、3.6リッターが7.9km/Lとなる。

 トランスミッションはトルコン式の6速ATで、後輪を駆動するFRレイアウトを採用。駆動系では全車にLSDを標準装備する。

 ボディーサイズは4870×1850×1470mm(全長×全幅×全高)で、重量は3.0リッターモデルが1870kg、3.6リッターモデルが1890kgとなる。サイズはセダンと同一ながら、重量はセダンの同一グレードからそれぞれ約80kgの増加となっている。

 CTS スポーツワゴンの特徴的な装備としては、ボディ一体のルーフレール、高さ調整メモリー機能付パワーリフトゲート、リアシートとカーゴルームを仕切るペットガード、レールに取り付けて位置を移動できるフック、リアビューカメラなど。

 6:4の分割可倒式リアシートはシングルフォールディングタイプで、背もたれを倒すことで荷物スペースが720Lから1470Lに拡大する。アームレスト部分のみを倒してトランクスルーとすることも可能。

 CTS スポーツワゴンに用意されるグレードは3.0リッターが3タイプ、3.6リッターが1タイプ。中心グレードは3.0リッターの「CTS スポーツワゴン 3.0 ラグジュアリー」(544万円)と「CTSスポーツワゴン 3.0 プレミアム」(575万4000円)で、両者はHDDカーナビやBOSEサウンドシステムを装備するが、プレミアムはさらにベンチレーションシート、キーレスイグニッション、リモートスタート、アンビエント・ライティングなどを追加装備する。

 廉価版の「CTS スポーツワゴン 3.0 スタンダード」(515万円)は、「ラグジュアリー」からHDDカーナビとBOSEサウンドシステムを省いたもの。3.6リッターの「CTS スポーツワゴン 3.6 プレミアム」(666万円)は「CTSスポーツワゴン 3.0 プレミアム」に対して排気量の大きなエンジンのほか19インチホイールを履き、サペリウッド・トリム・パッケージが標準装備される。

 なお、ステアリング位置は「CTSスポーツワゴン 3.0 ラグジュアリー」と「CTSスポーツワゴン 3.0 プレミアム」は左右ハンドルが選べるが、「CTS スポーツワゴン 3.0 スタンダード」は右ハンドルのみ、「CTS スポーツワゴン 3.6 プレミアム」は左ハンドルのみとなる。

写真の「CTS スポーツワゴン 3.0 ラグジュアリー」は右ハンドルが標準。左ハンドルも選べるが受注生産となる
カーナビゲーションシステムの液晶ディスプレイは格納式。エンジンをかけていないときは収納しているエンジンをかけると下から出てくる液晶ディスプレイ6速ATのシフトレバー。「CTS スポーツワゴン 3.0 ラグジュアリー」は右ハンドルのみ電子スイッチのパーキングブレーキとなる
右ハンドル化でも広い足下を実現しているドアにはパワーウインドーやドアミラーの操作ボタンが並ぶ。その横の丸いつまみでリアゲートの開閉角度の調整ができる
リアゲートを開くと広大なスペースが広がる。リアシートを利用した5名乗車の際の状態リアゲートのボトムとフラットになるフロアの下には収納スペースがあるリアシートを倒した2名乗車の際は、さらに前後長の長いスペースとなる。仕切りのペットガードも前方にセットすることができる
リアシートは折りたたみに備えて座面がえぐられている背もたれを前に倒すだけで荷室が広がる収納スペースの下にスペアタイヤとサブウーファーが装備される
カーゴ マネジメントシステムの1つ、レールに装着されたフック。自由な位置で止まり、フックを起こすことで荷物の固定に対応する

石井社長自らハンドルを握った際の燃費は約8km/L
 今回の発表会は、代表取締役社長に就任したばかりの石井澄人氏のお披露目の場も兼ねていた。「車が大好きでずっと自動車屋に勤めている」と語る石井氏は、トヨタ自動車を経て、1996年に当時の日本ゼネラルモータースに入社、サターン・プロジェクトなどを担当した後、1998年から2003年までアメリカ本社に出向した経歴を持つ。

新しく代表取締役社長に就任した石井澄人氏自ら運転席に座ってみせる

 石井氏は昨年の販売台数、店舗来場者とカタログ請求者のグラフを例に出し、販売台数ほど来場者数やカタログ請求数の落ち込みがない点や、リニューアルしたWebサイトが注目を集めていることを挙げ、「まだまだGMに興味を持っている顧客がいることを裏付けている」と現状を評価した。

 当面の戦略としては、今後発売するCTS クーペや新型SRXの投入、カマロ、CTS セダンなどの既存商品力によってショールームへの来店者数を増やすと言う。新型車ではコルベットZR1を第3 四半期に投入予定だが、販売店で行った予約注文では、2010年モデルが即日完売という実績も明らかにした。

 また、「新たなアメリカ車のファンを増やすようイメージの改革、ブランド、新商品の認知度の向上を図る」として、新規顧客の獲得活動にも注力すると言う。現在の状況として「残念ながらCTSがキャデラックだと知らない方がいる、CTSを見て、CTSと言える方は、我々が望んでいるほどたくさんいない」と分析し、認知度の向上も目標とした。

 さらに「特にフロントとリアの斜め45度から見たリアのフェンダーの盛り上がりが好き」と評価するCTSについては、「右ハンドル、3.0リッターないし3.6リッターのパワー、しかしガソリンはレギュラー仕様。そして3.0リッターエンジンは10・15モード燃費で8.4km/Lの燃費。こういったことをもっとユーザーに訴求することで、過去のイメージを払拭していきたい」と述べた。

 石井氏自らCTS セダンに乗った実例として、「横浜に住んでいるが実燃費で約8km/L走ります」と強調。「こういった事実をきちっと伝えていきたいと思っている」とした。

 一方、質疑応答でトヨタの一連のリコール騒動についてコメントを求められた石井氏は、「対岸の火事ではない。あの事例を参考にしながら、気を引き締めていかないといけないと思っている」と述べた。GMの業績についての影響は「日本においてはフラット」と言い、国内セールスには影響がないと述べた。

2009年は新規来場者やカタログリクエスト数は販売台数ほど落ち込んでいないと言う。12月のカタログリクエスト数が増加しているのは新型カマロの影響Webサイトの訪問者数はリニューアル後に上を向き、新型カマロ発売で大幅に伸びたシボレーのWebサイトはカマロ発売で訪問者が増えた
2010年モデルが即日完売したコルベット ZR1GMが考えるキャデラック・ブランドの特徴

(正田拓也)
2010年 2月 18日