Team Le Mans、2010年フォーミュラ・ニッポン参戦会見 石浦宏明選手を擁して戦う |
フォーミュラ・ニッポン、SUPER GTなどに参戦するレーシングチームのTeam Le Mansは2月24日、都内で記者会見を開催し、昨年も同チームに在籍した石浦宏明選手を起用し、フォーミュラ・ニッポンに参戦することを明らかにした。メインスポンサーは昨年同様に石油卸売りのキグナス石油、SUNOCOブランドのオイルを日本とアジア地域で販売する日本サン石油の2社で、カーナンバーは昨年同様に8番。エンジンはトヨタを利用する。
■日本のフォーミュラレースの最高峰となるフォーミュラ・ニッポン
フォーミュラ・ニッポンは、フォーミュラカーと呼ばれるタイヤが露出したタイプのレーシングカーで競われるレースとしては日本では最高格式を誇るシリーズ。1995年以前は全日本F3000選手権として、1986年以前は全日本F2選手権として開催されており、過去にはミハエル・シューマッハ選手やラルフ・シューマッハ選手のシューマッハ兄弟、ハインツ・ハラルド・フィレンツェン選手、エディー・アーバイン選手、ジョニー・ハーバート選手などのF1で優勝経験があるドライバーなども参戦するシリーズとして注目を集めてきた。
かつて日本からF1へステップアップしていったドライバーはいずれもこのシリーズ出身となっていたが、近年はF1への階段としては、ヨーロッパの下位シリーズ(ユーロF3やGP2など)が注目を集めており、日本人F1ドライバ(佐藤琢磨選手、中嶋一貴選手、小林可夢偉選手)はいずれもヨーロッパのシリーズ出身になっている。このため、現在ではF1へのステップというよりは、インディカー・シリーズが北米の最高峰のフォーミュラカーレースという扱いであるのと同じように、日本における最高峰のレースという位置づけをされている。
今年も4月17日に鈴鹿サーキットで開幕戦が行われ、ツインリンクもてぎ、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGO、オートポリスなどで全7戦が予定されているほか、11月13日、14日には富士スピードウェイで、SUPER GTと合同での特別戦が行われる予定となっている。
■伝統あるTeam Le Mansからは石浦宏明選手が参戦
そうしたフォーミュラ・ニッポンに、ほぼ昨年と同じ体制で参加することになるのが、Team Le Mansからカーナンバー8でエントリーする石浦宏明選手。
Team Le Mansはルマン(以前はルマン商会)というレーシングカーやパーツの輸入・販売を担当する企業から2000年に独立したレーシングチームで、その前身であるルマン商会時代を入れれば30年以上にわたって日本のレースに参戦している、まさに老舗チームと言える。
よく知られている話としては、今年F1に復帰するミハエル・シューマッハ選手が1991年に一戦だけ全日本F3000選手権(当時)に参戦したときに所属したのが当時のルマン商会だった(ちなみにデビュー戦となるスポーツランドSUGOのレースで、いきなり2位表彰台を獲得)。1996年には弟のラルフ・シューマッハ選手を擁して、この年から始まったフォーミュラ・ニッポンの初代チャンピオンを獲得し、さらに1998年も本山哲選手がやはりチャンピオンを獲得するなど、数々の栄冠を獲得した華々しい歴史を持っている。
そうしたTeam Le Mansが今年のドライバーとして選んだのは同チームでフォーミュラ・ニッポンにデビューして3シーズン目を迎える石浦選手。石浦選手は、1981年生まれで2003年にフォーミュラトヨタで4輪レースにデビュー後、2006年に全日本F3にステップアップ。2007年はSUPER GTにも参戦し、GT300クラスでチャンピオンを獲得するなど確実に結果を残している。「今年は3年目だし、とにかく優勝したいと考えている。これまでフォーミュラトヨタ、F3、SUPER GTとどんなカテゴリーでも必ず勝ってきた。残るはフォーミュラ・ニッポンだけなので、なんとしても優勝し、チャンピオンを狙っていく」(石浦選手)と力強く誓った。
Team Le Mans代表取締役兼チーム監督 土沼廣芳氏は「我々のチームは過去にはチャンピオンを取るなどの結果を出してきたが、近年は思うような結果が出せていない。そこで、昨年、今年と体制を作り直し、勝てる体制を作れるようにがんばってきた。今年こそ石浦選手の初優勝も期待できると思っている」と述べ、復活の年にしたいと抱負を語ってくれた。
Team Le Mansでフォーミュラ・ニッポン参戦三年目を迎える石浦宏明選手 | Team Le Mansの代表取締役兼チーム監督 土沼廣芳氏 |
石浦選手のマシンとなるカーナンバー8のスイフトFN09。エンジンはトヨタ RV8K(V型8気筒3.4リッター)。フォーミュラ・ニッポンではタイヤはブリヂストンのみ |
2010 キグナスサーキットレディの七瀬こまみさん。1985年生まれ、身長164cm | 2010 SUNOCOイメージガールの大山美保さん。1985年生まれ、身長161cm |
■メインスポンサーはキグナス石油と日本サン石油
石浦選手やTeam Le Mansをサポートするのが、メインスポンサーとなるキグナス石油と日本サン石油だ。両社は昨年もTeam Le Mansと石浦選手をスポンサードしており、今年も継続することになる。
キグナス石油は、キグナス(KYGNUS)のブランドでガソリンスタンドなどに石油を卸売りする石油会社で、日本中の約600のスタンドに石油を供給している。キグナス石油 代表取締役社長 藤修氏は「昨年キグナス石油ではサービススタンドのCIの変更などを行った。そうしたキグナスのブランドイメージの向上やサービススタンドで働くスタッフのモチベーションの向上などを目標にフォーミュラ・ニッポンに参戦していきたい。今年はチームからも十分優勝が期待できるレベルであるとも聞いておりますので、期待したいです」と述べ、フォーミュラ・ニッポン参戦を通じてキグナス石油のブランド認知度の向上を目指すと説明した。
日本サン石油は、米国のSUNOCOのオイルを日本およびアジア地域で販売する企業。フォーミュラ・ニッポンへのスポンサードは1995年から行っており、モータースポーツに熱心に取り組んでいる企業の1つだ。日本サン石油 代表取締役社長 井口廣氏は「フォーミュラ・ニッポンは日本レース界の原点。観客動員数ではSUPER GTにやや劣るものの格式ではこちらのほうが上だと理解している。若者の自動車離れが叫ばれるようになって久しいが、自動車メーカーだけでなく、我々のようなスポンサーなども一緒になって自動車の楽しさを若者にアピールしていかなければならない。フォーミュラ・ニッポンもその裾野の一端におり、まだまだ将来性があると考えている」と述べ、フォーミュラ・ニッポンのような自動車レースに積極的にかかわることで、若者へ自動車の楽しさをアピールしていきたいと、そのスポンサードの意義を語った。
なお、質疑応答では、Team Le Mansの土沼監督に、今年は1台体制なのか、2台体制なのかという質問が出たが、「Team Le Mansとしては2台となる。キグナス石油と日本サン石油にスポンサードしていただくのは今回紹介した石浦車となる」(土沼氏)と2台体制だが、もう1台は別スポンサーになるという可能性が示唆された。なお、もう1台の体制に関しては、それ以上の発表はなかった(2月26日に鈴鹿サーキットで行われる新人プライベートテストでは、ケイ・コッツォリーノ選手とヘンキ・ワルドシュミット選手の2人が乗る予定)。
キグナス石油 代表取締役社長 藤修氏 | 日本サン石油 代表取締役社長 井口廣氏 | 関係者が集まっての記念撮影 |
(笠原一輝)
2010年 2月 25日