自動車と自転車の合同イベント「ルノー&インターマックス 6 Wheel Day」リポート
クローズドコースで「メガーヌR26.R」など試乗、「カングー Be-Bop」も展示

サイクルスポーツセンターにおいて開催された「ルノー&インターマックス 6 Wheel Day」

2010年3月13日開催



 3月13日、サイクルスポーツセンター(静岡県伊豆市大野)で、「ルノー&インターマックス 6 Wheel Day」が開催された。ルノー&インターマックス 6 Wheel Dayは、ルノー・ジャポン初の自転車メーカーとの合同イベント。ルノー・ジャポンと、ロードタイプの自転車を主に販売するインターマックスが共催し、自動車(4輪)と自転車(2輪)を1日楽しんでもらおうというところから6 Wheel Dayと名付けられている。

 自転車との合同イベントとなるため、天候が心配されたが、風はやや強かったものの、午前中は薄曇り、午後からは青空が広がるなど、まずまずの天気の中開催された。

 サイクルスポーツセンターは、さまざまな変わり種自転車に乗れるほか、MTB(マウンテンバイク)やロードタイプ自転車向けの専用コースを持ち、今回のイベントはそのロード車向けの5kmサーキットを使用して、午前はインターマックスの最新モデルの試乗など、午後はルノー車の試乗や同乗走行などを行うプログラムが組まれていた。

インターマックスの今中大介氏を先頭に、ルーテシア RS(手前)、トゥインゴ QSリミテ2(奥)が登場

自転車が中心となった午前のイベント
 イベントは、5kmサーキットの最終コーナーから「ルーテシア RS(ルノー・スポール)」「トゥインゴ QSリミテ2」、そしてインターマックスのロードタイプ自転車がメインストレートに走り込む形で始まった。ルーテシア RSをドライブするのはモータージャーナリストの吉田匠氏、トゥインゴ QSリミテ2をドライブするのはレーシングドライバーの青木拓磨選手、ロードタイプ自転車に乗るのはインターマックス代表取締役の今中大介氏。

 吉田匠氏の登場は予告されていたが、青木拓磨選手は告知されておらずサプライズゲストとしての登場。その後、会場後方から自転車トライアル・デモンストレーターの岡村周治(オカッピー)氏が石垣を自転車で飛び降りて登場し、イベントが始まった。

インターマックス代表取締役 今中大介氏モータージャーナリスト 吉田匠氏青木拓磨選手
トライアル・デモンストレーターの岡村周治氏は、自転車のライドパフォーマンスをしながら登場

 5kmサーキットを自転車と自動車が混走するのは安全性に問題があるため、午前のイベントは自転車が中心。参加者が持ち込んだ自転車での5kmコースの走行、コースの一部を使ってのヒルクライムレース、そしてインターマックスの最新自転車の試乗会などが行われた。

インターマックスのロードタイプの自転車が数多く取りそろえられた試乗の際には、インターマックスのスタッフがサイズ合わせを行ってくれる
自転車によるヒルクライムレースなども行われた岡村氏による、自転車のトライアルデモンストレーションを実施。自転車を使い、ブロックに飛び移っていく

 現在のルール形態になった「ツール・ド・フランス」に日本人として初めて参戦した今中大介氏が代表を務めるだけあって、インターマックスがラインアップする製品は、ロードタイプが中心。カーボンをフルに使用したフレームを持つものばかりで、自転車のロードレースに使用できるレベルのものを取りそろえていた。

ルノー・ジャポンCOO 大極司氏

 今回、このインターマックスとの共同イベントを開催したことについて、ルノー・ジャポンのCOO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)の大極司氏は、「ルノーはフランス車であり、そのフランスで行われれる世界最大の自転車レースがツール・ド・フランス。今中氏はツールに出場した初めての日本人でもあり、インターマックスがルノーと同様に高いスポーツ性を持つことから一緒にイベントを行うことにした」と言う。ルノーユーザーにはインターマックスのスポーツ性を、インターマックスユーザーにはルノー車のスポーツ性を体感してもらうことが主眼のようだ。


 今中氏も同じ思いのようで、「フランスでのレースの際にルノー車をレースのサポートカーとして利用していた。ルノー車は、シャシー性能が高く、運転していて楽しい」と語り、ルノーの中でも、一番レーシーなメガーヌR26.Rがお気に入りとのこと。

ツール・ド・フランスに参加したこともある今中氏は、スポーツ性能の高い車が好きだと言うメガーヌR26.Rをなにやらのぞき込む今中氏

 実際、イベントを訪れる人の中には、カングーに自転車を積み込んで来た人を多く見かけ、自動車と自転車の組み合わせの相性のよさを実感できた。

午後は同乗走行&試乗大会に
 午後は、5kmサーキットを利用した同乗走行&試乗大会となった。サイクルスポーツセンターの5kmサーキットは、自転車用のため自動車用のサーキットと異なり、コース幅は狭め。エスケープゾーンもなく、つづら折れや、アップダウンが続くことから路面のよい峠道という趣がある。

 同乗走行&試乗大会はこのコースを存分に楽しめるもので、用意された車は15台。同乗走行は吉田氏がルーテシア RSで、青木選手がトゥインゴ QSリミテ2で担当していた。青木選手はかつてオートバイのF1選手権とも言える、オートバイの世界選手権に参戦していた選手で、国内選手権ではチャンピオンも獲得している。1998年に事故で脊髄を損傷し下半身不随となった。

青木選手と、グイドシンプレックスを取り付けたトゥインゴ QSリミテ2

 青木選手は今シーズンからスーパー耐久に参戦するが、トゥインゴ QSリミテ2には青木選手でも運転可能なように身体障害者用の自動車運転補助装置「グイドシンプレックス」が取り付けられていた。このグイドシンプレックスには、各種のタイプがあり、ATモード付き5速シーケンシャルトランスミッション「クイックシフト5」を持つQSリミテ2には、AT対応タイプのものを搭載。ステアリング右側に位置する1本のレバーを引くことでアクセル操作を、押すことでブレーキ操作を行うシンプルな構造となっている。

 ルノーはこのグイドシンプレックスの取り付けを、神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町に13日に開店した「ルノー横浜青葉」で行っており、MT車にもAT車にも対応する。

 青木選手によるとその操作は容易で、自動車の運転免許を持っている人であれば、誰もが運転できる程度であると言う。青木選手は、「僕がこのイベントに参加したのは、世の中にグイドシンプレックスのようなシステムがあり、足の不自由な人でも車を使ってどこにでも行けるということを知ってもらいたかったから。僕は今年からスーパー耐久に参戦するけど、この十数年参戦できなかったのは、足が不自由なためモータースポーツのライセンスが発行されず、そのような状況を変える第一歩は踏み出せた」「ケガをして家に閉じこもってしまった人たちに『車で外に出かけよう』というメッセージを伝えていきたい。もう一度外に出てほしいと思う。このシステムと車さえあれば、どこにでも遊びに行けるし、どこにでもご飯を食べに行ける。外に出ることは気分的に全然違う」と語り、ルノー・ジャポンがこれまで以上にグイドシンプレックスの拡販に取り組んでいくことから、イベントに参加したとのこと。

 青木選手の横に乗り5kmサーキットを1周してもらったが、その運転は世界レベルのレーサーだけあってスムーズの一言。ステアリング右にある1本のレバーを使って、コーナーを駆け抜けていく。青木選手によると「ルノーの車はシャシーが抜群によい。トゥインゴ QSリミテ2は、1.2リッターのコンパクトカーなのに、コーナーでアンダーが出ることもなく運転が楽。これはボディー剛性が高く、きちんとサスペンションまで作り込まれているからだろう」と、その印象を話ながら、時には100km/hを超えるスピードでの同乗走行を体験できた。

グイドシンプレックスは、ステアリング右側に取り付けを行っているステアリング右奥にあるのが操作レバー。てこの原理を使っており、軽い操作感を持つ操作レバーから、アクセルとブレーキにコントロールレバーが伸びる。操作部の1本のレバーでアクセルとブレーキをコントロールする
グイドシンプレックスを操作しつつ、5kmサーキットを疾走する青木選手

 青木選手らによる同乗走行のほか、試乗車としてはメガーヌR26.R、ルーテシアRS、トゥインゴRS、新型ルーテシア、カングーなどを用意。来場者はクローズドコースで、思い切りルノー車のスポーツ性能を体感していたようだった。

1台1台スタートする形式で、同乗走行&試乗が行われたカングー
新型ルーテシアメガーヌR26.RトゥインゴGT リミテ2
和製スーパーバイクのエンジンを積んだレーシングカーRadical SR4による同乗走行も実施。これはルノー・ジャポンで販売されているものではなく、ゲスト車両として用意したものこのようなコーナーを持つコースを存分に試乗できるコース途中からメイン会場を望む。コース全長が5kmもあるので、遠くに見える

 このイベントには日本で夏に発売予定の「カングー Be-Bop」も展示。展示車は欧州仕様のためディーゼルエンジンを搭載していたが、日本導入モデルはガソリンエンジンモデルになると言う。ボディーサイズは、3870×1830×1840mm(全長×全幅×全高)と、カングー(4215×1830×1830mm)より全長が短く、スライディングルーフなどで開放感を高めている。

日本初展示となったカングー Be-Bop。展示車両は欧州仕様のため、国内仕様とは室内が異なる可能性がある

 閉会の挨拶において大極COOは、「ルノー・ジャポンは販売を行うだけでなく、車を運転する楽しみを提案していく。今後も5月23日に開催する『ルノーカングージャンボリー2010』など各種のイベントを予定しており、ぜひそちらも楽しんでみてください」と語り、ルノー車のスポーツ性はもちろん、ルノー車による自転車との生活、身体障害者でも車を使ってより豊かな生活ができることなどを訴えていく。

 フレンドリーな雰囲気の中開催されたルノー&インターマックス 6 Wheel Day。自転車で、そしてルノーの車で楽しんでいる来場者の笑顔が印象的なイベントであった。

トゥインゴGT リミテ2を使ったジムカーナ大会も実施
参加ゲストらによるトークショーも行われたカングーは全11色を展示

(編集部:谷川 潔)
2010年 3月 15日