「みんなのエコドライブ祭り」ファイナルステージ 「人に優しい運転=エコドライブ」 |
経済産業省 資源エネルギー庁による体験イベント「みんなのエコドライブ祭り」。Car Watchでもリポートをお届けした、昨年11月21日のイオンレイクタウン(埼玉県越谷市)での開催を皮切りに、福岡、名古屋、高知、広島、神戸で開催してきた。その最終ステージが3月20日、クイーンズスクエア横浜(神奈川県横浜市西区)で開催された。
みんなのエコドライブ祭りは当初、“エコドライブとはどのようなものか”を来場者に体験してらもらい、ドライブ方法によって燃費がよくなるということを理解してもらうということを主眼に置いていた。2010年1月から、低燃費タイヤの転がり抵抗やウェットグリップ性能が分かる「ラベリング制度」が始まったことから、エコドライブの普及とともに、ラベリング制度の告知にも力が入れられている。
また、イオンレイクタウンでは、実車を使った試乗コースなどが設けられていたが、クイーンズスクエア横浜では、ドライビングシミュレーターなどでの体験コーナーを設置。各タイヤメーカーのラベリング制度対応低燃費タイヤも展示されるなど、開催場所に適したイベント内容となっていたようだ。
■タイヤメーカーは低燃費タイヤを訴求
ラベリング制度対応の低燃費タイヤを出展していたのは、日本ミシュランタイヤ、ダンロップ(住友ゴム工業)、トーヨータイヤジャパン(東洋ゴム工業)の3社。ミシュランは、スタンダードタイヤ「ENERGY SAVER(エナジー セイバー)」と、より静かさを重視した「Primacy LC(プライマシー エルシー)」の2製品を展示。トレッド面のブロックがすり減ったトラック用タイヤのリグルーブ体験コーナーを設け、低燃費だけでなく、環境負荷の低減も訴えていた。とくに、リグルーブ体験コーナーは人気も高く、大人から子供まで楽しそうにタイヤカッターでタイヤの溝を再度刻んでいた。
トーヨータイヤは、葉っぱのトレッドパターンが印象的な低燃費タイヤ「ECO WALKER(エコウォーカー)」を展示。同サイズのスタンダードタイヤ「TOYO TEO plus(トーヨー・テオ・プラス)」との重さ体感コーナーを設け、低燃費につながるタイヤの重さの違いを実感できるようにしていた。実際に持ってみると、確かにECO WALKERのほうが軽いことが分かる。約10%ほど軽く、転がり抵抗の軽減とあわせて、約3.2%ほど燃費が向上すると言う。
トーヨータイヤは、ECO WALKERを展示。独特のトレッドパターンが特徴 | ECO WALKERとTOYO TEO plusの重さを体感するコーナー。軽いタイヤであれば、動く際の運動エネルギーが小さくてすむため、結果的に省燃費につながる。持ち比べれば、その違いはすぐに分かるほど |
ラベリング制度対応の低燃費タイヤを3製品ラインアップし、そのサイズ対応の豊富さをうたっていたのがダンロップ。スタンダードタイヤ「ENASAVE(エナセーブ) EC202」、ミニバン用「ENASAVE RV503」のほか、より転がり抵抗やウェットグリップ性能に優れる「ENASAVE 97」を展示しており、日本の車の装着可能サイズの約80%をカバーすると言う。そのほか、EC202と従来品の転がり抵抗の差が一目で分かるようなデモも行われていた。
ダンロップは、スタンダードタイヤENASAVE EC202と、従来製品の転がり抵抗の差が分かるデモを実施。左の従来品では168Wのエネルギーが必要なのに対して、EC202では134Wと20%ほど小さいエネルギーですむ。その結果、EC202のほうが0.5km/Lほど燃費がよいことに | 豊富なラベリング制度対応タイヤをアピール |
ENASAVE 97と、そのラベリング表示 | |
ENASAVE EC202と、そのラベリング表示 | |
ENASAVE RV503と、そのラベリング表示 |
■ドライビングシミュレーターでエコドライブを実感
クイーンズスクエア横浜では、エコドライブを実感してもらうために、ドライビングシミュレーターを用意していた。このドライビングシミュレーターは、本田技研工業のものがベースとなっており、エコドライブの要素となっている「ふんわりアクセル」(発進時は、5秒で20km/hに達する程度のアクセル開度)や、メリハリのあるアクセル・ブレーキ操作を学べる。
実際にチャレンジしてみたところ、1回ではなかなか覚えきることができないほどのコース設定がされていた。信号の厳守はもちろん、右折の指示や踏切があるなど、頻繁なアクセル・ブレーキ操作を要求される。加速は一定に、そして一度加速した後は一定速で走行することを心がけ、不必要なブレーキは踏まないなどしなければ、満足な結果とはならないだろう。
標準のエコドライブでは19.0km/Lという数値が設定されており、その差によって年間の得する(あるいは損する)ガソリン代も表示される。スタッフによると、この年間ガソリン代に反応している人が多く、燃費の数値よりも、ガソリン代という数値のほうがエコドライブを実感できるようだ。
シミュレーターのほかには、ラベリング制度のスタンプラリーも実施。キーワードを集めて、最後にガラガラ(回転抽選器)を回すと、5000円分の給油プリペイドカードが10名に当たる。このスタンプラリーには、子供が挑戦している姿をよく見かけた。
タイヤメーカー以外の出展としては、タイヤ空気圧モニター「TP-Checker」で知られるリンクアースが各種の製品を展示していた。
■盛りだくさんのステージイベント
屋内型のイベントとなったクイーンズスクエア横浜では、メインステージでのイベントが充実していた。モータージャーナリストによるトークショーをはじめ、各メーカーのPRステージ、そして子供向けの環境クイズや、空気圧チェック講習など。休みなしにステージ上でイベントが行われていた。
モータージャーナリストによるトークショーには、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会長の日下部保雄氏をはじめ、竹岡圭さん、丸茂亜希子さん、藤島知子さんの4人のモータージャーナリストが登場。2010年1月に開始されたラベリング制度などの解説をはじめ、それぞれの立場からエコドライブや、省燃費タイヤについて語っていた。
エコドライブに関しては、運転方法も大切だが、普段からのメンテナンスなども大切とのことで、とくに空気圧のチェックを推奨。3カ月に1度くらいは見てほしいと日下部氏は言い、「人に優しい運転=エコドライブ」であり、そのような運転をすることで環境にも優しい運転ができると結んだ。
環境クイズのステージには、愛・地球博の公式キャラクターである森の精「モリゾー」と「キッコロ」が登場 | モリゾー | キッコロ |
空気圧チェック講習。竹岡さんが空気圧の計り方を解説していた | メーカーPRステージでは各メーカーが低燃費タイヤを解説。これはサイズバリエーションNo.1を誇るダンロップのステージ |
みんなのエコドライブ祭りは、この横浜開催で全国キャラバンを終える。低燃費タイヤのラベリング制度は1月に始まったばかりのため、一般への認知度は低く、この会場でも初めて知ったという人を多く見かけた。燃費と直結する指標だけに、今後広く知られていくと思うが、エコドライブ祭りがその大きなきっかけになったのは間違いないだろう。
(編集部:谷川 潔)
2010年 3月 23日